2017.06.27相続

<相続税対策>これも相続財産です 死亡保険金・死亡退職金

Text : 黒木 達也

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被相続人死亡後に、死亡保険金や死亡退職金が発生します。これらは相続財産として相続税の対象になります。これを「みなし相続財産」といいます。これらは、被相続人が生前に保有していた本来の財産ではありません。そのため、相続という観点からすると、多少の違和感があるかもしれません。

誰が保険料を負担したか

相続人の立場では、死後に発生したために、死亡保険金が相続財産となることには、かなり違和感もあるはずです。死亡保険金には、納税資金の確保という役割がありますが、相続税申告の対象でもあるので注意しましょう。とくに多額の現金が、直接支払われるため、納税などの資金手当てには最善です。また保険金は遺産分割の対象にならないため、他の相続人との協議がまとまらなくても、手許に残すことができます。
生命保険契約は、保険契約者、被保険者、受取人の3者で構成されます。この組み合わせがどうなるかで、課税される内容が、所得税、相続税と変わります。場合によっては贈与税になります。自分で掛けた生命保険の保険金を受け取ると、一時所得として認定され、相続税ではなく所得税が課せられます。相続税となるのは次のケースです。
相続税の対象になる構成要件は、亡くなった被相続人本人が保険契約者(全額掛け金を負担する人)となり、自らを被保険者(死亡した際に保険金が出る人)として、法定相続人を受取人(実際に保険金を受け取れる人)となっている生命保険です。こうした保険契約で、相続人が死亡保険金を受け取ることで、これが「みなし相続財産」と認定され、相続税の対象になります。

保険金の控除額は1人500万円

また、被相続人が掛け金の一部を負担していた場合は、その掛け金の割合に応じて、一部保険金が相続税の課税対象になります。被相続人の経営する会社・勤務する会社などが、掛け金を負担していた場合も、相続税の課税対象になります。もし相続人自身が保険契約者として保険料を支払い、被相続人を被保険者としていれば、相続人が保険金を受け取っても、相続税の課税対象とはなりません。
保険金の受取人が、相続人ではなく第三者となる場合もあります。この場合は、保険金は「一時所得」として扱われ、相続税の対象にはなりません。受け取った人は、所得税の課税対象になります。
相続人が保険金を受け取ると、その保険金額が課税対象になります。ただし相続税の非課税枠も認められています。これが「生命保険控除」です。その額は法定相続人1人につき、各500万円までが非課税です。1人当たり500万円に、法定相続人の人数を掛けた金額が控除されます。

保険金の非課税枠は大きい

受取人となっている法定相続人が多ければ、この生命保険料控除額も大きくなります。保険金を受け取れる法定相続人が、3人ならば1500万円、4人では2000万円の控除額になります。相続権のない人については、非課税枠の対象にはなりませんが、法定相続人が多い場合は、かなりの節税効果が期待できます。
ただし生命保険に関しては、節税効果が出ない方向での法改正も予想されます。今後は法定相続人でも非課税枠に数えられる人が限定され、すでに独立し生計を立てている子については、除外される可能性もあります。年金型の保険でも、従来に比べ評価額の圧縮など課税が強化されるかもしれません。とくに富裕層が、これまで相続税対策として利用してきた保険による節税が、今後思い通りに出来ない可能性があります。
 

死亡退職金、相続課税か一時所得課税に

会社に勤務する人が在職中に亡くなった際に、遺族に対して「死亡退職金」が支払われます。この死亡退職金は、支払われる時期によって課税内容が変わってきます。死亡退職金の規定が会社にあり、死亡してから3年以内に支払われる死亡退職金は、みなし相続財産と認定され相続税が課せられます。
しかし本人の功績などの評価や労災認定の可否などが短期間にできない事情で、死亡後すぐに金額が確定しないこともあります。死亡後3年以降に確定し支払われた死亡退職金は、「一時所得」として計算され、所得税の対象になります。相続税の対象ではなくなります。死亡時期によって課税方法に違いがあります。死亡退職金にも、控除額があります。相続人1人につき500万円に相続人数分を掛けた金額が非課税になります。これが「死亡退職金控除」です。
また在職中に死亡すると、死亡退職金とは別に、多くの場合、勤務先から「弔慰金」が支払われます。この弔慰金にも、非課税枠があります。業務上の事故で死亡した場合は、給与の36ヵ月分以下、業務外で死亡した場合は、給与の6ヵ月以下の金額が、非課税になります。

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黒木 達也

Text:黒木 達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職