2017.10.24相続

財産もあるが相続人も多い、生前から準備することは?

Text : 黒木 達也 / 監修 : 宮﨑 真紀子

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相続財産をめぐっては、親族間で多くのトラブルが発生しています。相続人が多い場合は、それぞれの主張が相容れず争いに発展することも珍しくありません。こうした事態を未然に防ぐためにも、関係者が事前に相談し「イザというとき」に対応しなければなりません。そのためは、①相続財産の評価を下げる、②生前贈与で若い世代への所得移転を進める、③トラブル防止のために「遺言状」を作成する、などの準備が必要です。

相続財産の評価額を下げる

多額の現金・有価証券を保有するより、不動産で保有したほうが評価額は低くなります。不動産の評価額は実勢の価格より、低く査定されているためです。ただし、その不動産が売却しやすいか、将来評価が下がらないか、などを慎重に見極める必要があります。
もし所有する空き室などがあれば、人に貸すことで賃貸物件となり、さらに不動産評価額を下げられます。さらに空いた土地にアパートを建てると土地の評価額は下がります。ただアパート経営は収入が確約されている訳ではなく、リスクもあります。借金だけで建設するのは避けたいものです。

生前贈与で若い世代へ移転

子供や孫などに対し、持っている現金や不動産を贈与するもので、年間110万円までは無税です。生前にできるので、贈る側の意志も反映できます。贈与額が増えた際に納める贈与税は、相続税とは逆に減税されています。また一般的な贈与と比べ、子供や孫など直系卑属への贈与には、特例税率(2015年分から実施)が適用され、課税価格が300万円を超えると有利になります。
贈与するためには、契約書をつくり相互の意志を確認します。110万円以上の贈与を受け、贈与税を支払ってでも、移転を進めることは相続対策として賢明です。さらに教育資金として孫への贈与は、通常の贈与以上に、多くの金額が非課税となります。

贈与税の速算表(暦年課税の特例税率)

正確な遺言状の作成をする

仲の良い家族だから財産でもめない、と考えるのは早計です。また高齢の親に相続の話
をするのをためらう方もいるかも知れません。しかし、親を交え親族で相続の件を話合うことは大切です。親が自分の意向を反映させるために、遺言状は有効な手段です。
法律通りに相続させるならともかく、相続人間でトラブルが多い、兄弟間で遺産に差をつけたい、世話をかけた嫁にも財産を分けたい、といったケースでは、正式な「遺言状」が不可欠です。本人が書いた自筆遺言状は、記載漏れなどで無効になることもあるため、多少経費はかかりますが、公正証書遺言をつくり公的機関で保管してもらいましょう。

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黒木 達也

Text:黒木 達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職

 

 

宮﨑 真紀子

監修:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい…。そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。