2017.10.26相続

子どもに公平に財産を遺すことが困難な時代!考えておくべきこと

Text : 當舎 緑

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遺言、相続という言葉が、一般的にかなり浸透したように思います。

先日私が所属している行政書士会でも街頭無料相談を行いましたが、気軽に相談に立ち寄る方が数多くいらっしゃいました。

帰るときには、「相続の相談なんて必要ないかと思っていたけれど、聞いてよかった」と言われることがほとんどです。

今回はこの相続に関連して、子どもに公平に財産を遺したいという際の注意点についてお話しさせていただきます。

 

公平って人数で割ること?

 
例えば、夫婦と子ども二人の平均的なご家庭の場合、父親が亡くなると、まずは家と財産は母親にほぼ全てを相続してもらい、次に母親が亡くなると、子どもで均等に半分ずつ分ければという感覚をお持ちの方は多いでしょう。この配分、実は意外と不満が出てくるものなのです。

なぜか、それは、兄は家の資金を援助してもらった、妹は結婚資金を援助してもらった、姉の方が介護にたくさんの時間を割いているなど、生きている間に親子の付き合い方を公平にすることはほぼ不可能だからです。

ですから、最初父親が亡くなった時に、母親に財産が相続される際、不満を言う子どもはほとんどいらっしゃいませんが、母が亡くなって兄弟だけの相続人になった時に、そんな不満が噴出するというわけなのです。相続は、その都度その都度でなく、兄弟だけになる二次相続まで考えておくことが大事なのです。

 

兄弟で公平にできないワケ

 
一番相続を公平にするのを困難にしているのは、お墓、仏壇問題です。

子どもに財産を公平に遺したいと思っても、そもそもお墓や仏壇を分けるわけにはいきませんし、どうしても、誰かが責任を持って法事やお墓参りなどの管理をしないといけなくなります。そうなると、誰かに負担がかかりますから、財産は公平に分けたものの、その後、不満が噴出することがあります。

実際、長男の妻の方から「親の財産は、夫の兄弟3人が3等分ということで相続したが、実際、うちが法事も取り行っているし、一番費用と手間をかけているのに、今からでも、財産を上乗せで相続し直すことは可能でしょうか」というご不満をお聞きしたこともあります。

お墓、仏壇問題を片付けない限りは、相続を公平にするということは不可能なのです。

 

選択肢は色々広がっている

 
ただ、いまどきは子どもが結婚をしなかったり、結婚しても子どもがいなかったり、仕事や結婚のため、遠くで生活していることも多いことから、親が先祖代々と異なるお墓を選ぶケースも増えています。散骨や樹木葬、ビルの中の納骨堂、ペットと一緒のお墓など、生前に自分で納得のいく方法を模索できる選択肢が広がっているのです。

この場合でも、納骨後、最終的に寺が合祀をしてくださることもできますが、13年もしくは23年などの間、管理費の支払いが発生することもありますから、最終的に誰が管理をするのか、費用は法事を含めてどれくらいかをしっかりと見積もることが必要でしょう。

費用を見積もって、それも含めて、子どもたちに「公平に」相続させないと、不満が出るかもしれないということは、しっかりと覚えておきたいものです。

親は「ちゃんと子どもには納得してもらっている」、もしくは「うちには財産がないし、子どもたちでちゃんと話し合ってすると思う」と、相続に関しては、親子の話し合いを避けがちです。ところが、子どもに言ったつもりでも、それがしっかりと納得されていないことは多いものです。相続の上での「公平」はとても難しいものです。

書面で遺すなど、ちゃんとした思いを「子どもに公平に伝える方法」を考えておきましょう。

 

 

Text:當舎 緑(とうしゃ みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP®。

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當舎 緑

Text:當舎 緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP®。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。かながわ県民センターや横浜市の区役所での行政書士相談、金融機関での年金相談、病院でのがん患者就労支援相談員としても活動している。セミナーの得意テーマは、教育資金の準備方法、社会保険の仕組み、エンディングノートの作り方、これから始めるやさしい終活、成年後見の活用方法、家族信託の仕組みなど。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)など。子どもにかけるお金を考える会のメンバー、一般社団法人かながわFP生活相談センター理事。一男二女の母でもある。