2017.10.27相続

相続税、現金納付以外の納税方法は?

Text : 黒木 達也 / 監修 : 宮﨑 真紀子

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納税はすべて現金で支払うことが原則です。相続税も納付期限までに、現金で一括納付しなければなりません。納付が遅れると、高利の延滞税がかかってきます。相続税の性格上、納税額が非常に多くなる、不動産があると現金化がしにくい、といった事情があるため、延納や物納が認められています。現金が手許になく一括納付できない場合は、この二つのどちらかを検討しましょう。

延納が認められる要件

相続税の額が多く、一括して納められないときに利用できるのが「延納」です。この延納が認められるためにはいくつかの要件が必要です。それは、①相続税額が10万円以上、②期限までに金銭での納付が困難と認められる、③延納額と3年分の利子税に相当する担保財産を提供できる(税額100万円以下、延納期間3年以下は該当せず)、になります。延納制度を利用する場合、延納の期間は5年以上20年以下、支払いは年に1回と定められています。延納の場合は利子税もかかります。
延納申請期限までに「延納申請書」と担保関係の書類を所轄の税務署に提出し、審査を通れば許可されます。担保として認められる財産の優先順位は、以下のとおりです。

1)土地・建物など不動産
2)国債・地方債
3)税務署が認めた社債・有価証券

物納が認められる要件

手持ちの現金も少なく延納の要件も満たせない場合、相続した不動産や有価証券などを物納することができます。不動産の物納に関しては、以下のことが条件になります。

1)当該不動産が日本国内にある
2)他に担保権が設定されていない
3)権利の帰属を巡り係争の対象になっていない

物納できる財産の優先順位は以下の通りです。

1)不動産、国債・地方債
2)社債、株式、投資信託、貸付信託
3)自動車などの動産

申請期限なでに「物納申請書」を物納関係書類とともに税務署に提出し、許可を求めなければなりません。

最近では、相続で不動産を取得した人が、延納か物納のどちらが有利かを判断する際、物納志向が強まりつつあります。相続した不動産を売却して納税する場合には「譲渡所得税」がかかりますが、物納にはかかりません。物納の際に基準となる宅地の「路線価」が、実際の実勢価格に近づいているためで、物納を選択する流れは今後続くと思われます。

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黒木 達也

Text:黒木 達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職

 

 

宮﨑 真紀子

監修:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい…。そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。