更新日: 2021.05.11 その他保険

子供の自転車事故が心配……。保険に加入したほうがいい?

執筆者 : 森田和子

子供の自転車事故が心配……。保険に加入したほうがいい?
森田和子

執筆者:森田和子(もりた かずこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)。FPオフィス・モリタ 代表

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、独立。
保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。
企業・学校・イベント等で行うマネープランセミナー・講演も好評。
NPO法人日本FP協会、WAFP関東(女性FPの会)所属。
http://okane-net.com/

被害を受けた場合には自動車保険や傷害保険が役に立つ

自動車保険の中には「人身傷害保険」が組み込まれているものがあります。この保険は自動車搭乗中の事故によるケガを保障するものですが、それに加えて家族が自転車に乗っていて交通事故にあい、ケガをした場合に補償してくれるものもあります。
また、こども共済や傷害保険などに加入していれば入院、骨折、交通事故による後遺障害への保障などもあります。
本人がケガをした場合にはこれらの保険が役に立ちますが、自転車で他の人や物を傷つけてしまう場合も心配です。近年、高額の賠償を命じられた判決には以下のような例があります。
これを見ると、自動車事故と変わりないほどの高額な賠償を求められる可能性もあることがわかります。気軽に乗れる自転車ですが、法律上は軽車両です。乗るなら保険が必要です。

<自転車事故での高額賠償の例>

①判決認容額9,521万円
《事故の概要》
男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。
(神戸地方裁判所、平成25(2013)年7月4日判決)

②判決認容額9,266万円
《事故の概要》
男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。
(東京地方裁判所、平成20(2008)年6月5日判決)

③判決認容額6,779万円
《事故の概要》
男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさず走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。
(東京地方裁判所、平成15(2003)年9月30日判決)

④判決認容額5,438万円
《事故の概要》
男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。
(東京地方裁判所、平成19(2007)年4月11日判決)

⑤判決認容額4,746万円
《事故の概要》
男性が昼間、赤信号を無視して交差点を直進し、青信号で横断歩道を歩行中の女性(75歳)に衝突。女性は脳挫傷等で5日後に死亡した。
(東京地方裁判所、平成26(2014)年1月28日判決)

※判決認容額とは、上記裁判における判決文で加害者が支払いを命じられた金額です(金額は概算額)。上記裁判後の上訴等により、加害者が実際に支払う金額とは異なる可能性があります。
※出典:日本損害保険協会「知っていますか?自転車の事故 〜安全な乗り方と事故への備え〜」
https://www.sonpo.or.jp/protection/jitensya/pdf/jitensya/jitensya.pdf

自転車の乗り方

TSマークには有効期限がある

自転車を購入する時に何かの保険に入ったはずだと思っている方もいるのですが、購入時に手続きしているのは自転車防犯登録です。法律により加入が義務付けられているので、500円程度の登録料で誰もが加入していますが、これに保険は付いていません。
それとは別にTSマークを取得している方がいます。点検整備した安全な自転車が対象になるもので、これがあれば、自分のケガや死亡、重度後遺障害には10万~100万円の保障があります。また、相手のケガや死亡、重度後遺障害を負わせた場合には、10万~5,000万円の補償があります。しかし、TSマークの有効期限は1年間です。少なくとも年に一度は点検整備を受ける人でなければ適していません。

個人賠償責任保険に加入しているかを確認する

加害者になってしまった場合に備える保険の一つとしては、人や物に損害を与えてしまった場合を補償する「個人賠償責任保険」があります。補償限度額が1億円やそれ以上であれば、現在のところ補償額は十分と言えるでしょう。自動車保険、火災保険、勤務先で加入する団体保険などにも付けることができるので、あまり意識することなく加入している方も少なくありません。保険証券などをチェックしてみてください。
これらを確認してみたけれど、補償が不足しているようだという場合にはシンプルに自転車保険への加入を検討してはいかがでしょうか。保険料が月数百円と負担の軽いものもあります。

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