2017.03.17保険

子どもに医療保険は必要?

Text : 加藤 梨里

キーワード :

大人よりも体が小さな子どもは、免疫力もまだ弱く、さまざまな病気にかかるリスクも低くありません。各自治体では、子どもの医療費助成制度を設けて、医療費の自己負担が大きくならないようにしていますが、それだけで十分? 子どもには医療保険はなくてもよいのでしょうか?

子どもの入院は大人よりも少ない

厚生労働省の患者調査(平成26年)で入院をする人の割合を年齢別にみると、0歳では約1.1%であるのに対して、1~4歳になると約0.2%と5分の1程度に少なくなります。さらに5歳以降から15歳までは約0.1%と少なくなります。これに対して大人はというと、30~40歳代で約0.3%、50代で約0.6%、60代で1%を超える水準です。つまり、生まれたての赤ちゃんの時には入院のリスクが比較的高いものの、その後は子どもが入院するリスクは大人ほど高くないことがわかります。

ここで挙げた数字は「受療率(※)」といって、調査を行った日に病院などの医療機関に入院している人、通院している人などの人数を、年齢別の人口で割ったものです。ある一時点で病気である人の割合を示しているので、たとえば1歳から4歳までの入院の受療率が約0.2%だからといって、「1歳から4歳までの4年間で入院する確率は0.2%しかない」という意味ではありません。とはいえ、30代以降の大人よりは少ないと考えられます。


出典:厚生労働省「平成26年患者調査」

※受療率とは
ある特定の日に疾病治療のために、すべての医療施設に入院あるいは通院、又は往診を受けた患者数と人口10万人との比率を「受療率」という。
患者調査によって、病院あるいは診療所に入院又は外来患者として治療のために通院した患者の全国推計患者数を把握し、「受療率」を算出する。

子どもの入院費は15歳まで無料のところが多い

子どもの医療費の自己負担は、義務教育就学前の6歳まで2割とされています。また、都道府県や市区町村が補助をする「乳幼児等医療費助成制度」があるため、実際にはさらに自己負担が軽減されます。保険証とは別に、お住まいの自治体から交付される「医療証」を病院の窓口で提示すると、支払う医療費の額が軽減されたり、ゼロになったりします。

負担が軽減される年齢条件は、お住まいの地域によって異なりますが、一般的には通院よりも入院のほうが充実しています。たとえば神奈川県横浜市では、通院については小学校3年生までですが(平成29年4月からは小学校6年生へ拡大)、入院は中学を卒業する15歳年度末まで、自己負担がゼロになるしくみです(ただし所得制限があります)。入院の自己負担が軽減される年齢は、多くの自治体で12歳あるいは15歳としています。つまり、子どもの入院は大人よりも低いうえ、もしも入院をしたとしても、公的医療保険の対象になる医療費ならば、負担が大幅に軽減されるというわけです。

子どもでも病気になったら保険に入れない

このように、子どもの入院への備えは、基本的には公的な制度でカバーできるようになっています。ただし、保険がきかない治療を受けた時には全額が自己負担になります。また実際に入院をしたら、差額ベッド代やお見舞いのための家族の交通費、パパやママが看病のために仕事を休むことによる収入ダウンなど、思わぬ出費も出てきます。こうした経済的ダメージに備えるなら、子どものうちから医療保険に加入しておくのも有効です。

また、子どもであっても、医療保険に加入するには健康にかかわる告知が必要です。持病があると、保険に入れないこともあります。先述のように、子どもの入院リスクは大人よりも低めとはいえ、近い将来に保険に入ろうとしたときに入れないリスクを防ぐうえで、早めに加入しておくという考えもあります。

ファイナンシャルフィールドの最新記事を
毎日お届けします

加藤 梨里

Text:加藤 梨里(かとう りり)

CFP(R)認定者
マネーステップオフィス株式会社代表取締役

保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーの相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。テレビ、雑誌取材多数。日経WOMAN ONLINE、東洋経済オンライン、マイナビニュースなどにて執筆多数。趣味は料理。2008年にはNHKきょうの料理クッキングコンテストにて優勝経験も持つ。大学では、食事や運動による健康増進とライフプランの関係について研究中。慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科特任助教。

http://moneystep.co