2017.03.17保険

入院給付金を受け取っても高額療養費制度は使うことができる? 

Text : 森田 和子

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医療費が大きくなった場合には負担を軽減してくれる公的な制度があります。忘れずに使いたいものですが、いくつかの制度があるだけに内容を勘違いしてしまうことも。これらの制度と保険の関係について確認しておきましょう。

生命保険の入院給付金は公的な高額療養費制度に影響しない

山田さん(仮名)は30歳の会社員です。虫垂炎の治療のために入院して手術を受け、病院には10万円程を支払いました。医療費が高額になったので高額療養費制度を使いたいのですが、加入している医療保険から給付金を受け取ったので、この制度が使えないのではないかと心配しています。
医療費が高額になった場合に、所得などの条件に応じた一定額を超えた部分が払い戻されるのが高額療養費制度です。年収450万円の山田さんの場合、この制度を利用すると約2万円が戻ってくることになります。これは加入している生命保険などから給付金を受け取っても変わりありません。

医療費控除は給付金を差し引いて申告する

山田さんが勘違いしていると思われるのは、確定申告で手続きをする医療費控除のことでしょう。こちらは1年間に支払った医療費が一定金額(※1)を超えた場合に、超えた部分を所得から控除してくれる制度です。その部分を所得から差し引いて納税額を再計算すれば、既に納めた税額よりも少ない金額になるため、差額は還付してもらえます。
ただし、医療費控除の計算では、生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などを、支払った医療費から差し引かなければならないことになっています。山田さんは加入している医療保険から手術給付金2.5万円と入院給付金3.5万円の合計6万円を受け取ったので、実質的な負担額は4万円です。この他の医療費がないとすれば、医療費控除で還付される対象にはなりません。
しかし、医療費控除の計算では同居家族など(※2)の医療費も含めることができます。家族の分も加算すれば、給付金を差し引いても10万円を超えるかもしれません。毎年医療費控除を使っているご家庭もありますので、確定申告の時期には、昨年にかかった家族の医療費を合計してみることをお勧めします。
(※1)一定額は10万円。ただし総所得金額等が年200万円未満の人は、総所得金額等の5%。
(※2)同居家族=生計を一にする配偶者やその他の親族。

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森田 和子

Text:森田 和子(もりた かずこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)。FPオフィス・モリタ 代表

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、独立。
保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。
企業・学校・イベント等で行うマネープランセミナー・講演も好評。
NPO法人日本FP協会、WAFP関東(女性FPの会)所属。
http://okane-net.com/