2017.10.08保険

「低解約返戻金型終身保険」は、貯蓄と同じなの?

Text : 森田 和子

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終身保険や養老保険などは「貯蓄みたいなもの」と言われます。
毎月お金を払い込み、将来はまとまった金額を受け取るので、積み立て貯蓄と大して変わらないようにも思えますが、保険と貯蓄は似ているようでも違います。

今回は低解約返戻金型終身保険について確認しましょう。

割安な保険料で一生涯の保障が得られる

伊藤さんご夫婦(仮名)に子供が誕生しました。学資保険に入ろうとして代理店で保険の相談をしたら、低解約返戻金型終身保険をすすめられたと言います。

「貯蓄のようなもの」と聞けば、気軽に加入してもよさそうに思えますが、簡単に契約して良いものか迷っています。
  
低解約返戻金型終身保険(低解約払戻金型終身保険)とは、死亡保障が一生涯続く終身保険の一種で、死亡した場合や高度障害を負った場合に保険金が支払われます。

終身保険を途中で解約すると解約返戻金が支払われますが、「払い込んだ保険料よりもずっと少ない金額しか受け取れなかった」というケースがあるように、解約する時期が早いほど返戻金も少なくなります。

  
低解約返戻金型終身保険では、一定期間、この解約返戻金が通常の終身保険よりも少なくなるように設計されています。そのため、保険料が割安です。

解約返戻金の少ない期間が終了すれば、通常の終身保険と同じ仕組みになるのですから、保険料が安く済むのは大きなメリットです。また、保険としての保障があるので、保険料を数カ月支払っただけでも、万一のことがあれば保険金が支払われます。

  
そのため、子供の進学時期に解約返戻金の少ない期間が終了するように設定し、解約返戻金が増えたところで解約して教育費にあてる、という使い方がよく提案されているようで、伊藤さんご夫婦に提案されたのも同じものです。

教育資金が準備できて、保障もあるのですから、積み立て貯蓄よりもむしろ良いのではないかと思えてきますね
  

解約のタイミングによっては損をする

しかし、保険としてのメリットがある一方で、デメリットもあります。解約返戻金の少ない時期に解約してしまうと大きく損をする可能性があることです。
  
例えば、通常の終身保険であれば解約返戻金が100万円であっても、このタイプの保険では70万円ということもあります。

積み立て貯蓄を途中でやめたとしても、予定より利息が減るだけで元本(払い込んだ金額)が減ることはありません。低解約返戻金型終身保険は貯蓄と同じ、とは言えないのです。
 
この保険は途中で解約をしない前提で加入すべき保険です。とはいえ、子供が生まれたばかりの時期に、支払い続けることのできる保険料がいくらなのかを把握することは難しいものです。

  
不安が残るなら、保険以外の方法で教育費を貯めればよいでしょう。少し不安はあるものの、それでもこの保険に加入したいと思うのであれば、保障額を減らし、保険料負担も少なくして契約する方法も考えられます。

 
低解約返戻金型終身保険は、使い方を間違えなければお得な保険です。加入するのであれば、マイホーム購入などライフプランをよく考えて、無理のない保険料で契約するべきです。教育資金作りの半分を保険で、半分を貯蓄にするなど、柔軟に考えてみましょう。

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森田 和子

Text:森田 和子(もりた かずこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)。FPオフィス・モリタ 代表

大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、独立。
保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。
企業・学校・イベント等で行うマネープランセミナー・講演も好評。
NPO法人日本FP協会、WAFP関東(女性FPの会)所属。
http://okane-net.com/