2017.11.28保険

税制優遇を受けるために必要な「保険料控除証明書」が届く時期 その仕組みとは

Text : 町田 萌

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10月を過ぎると、民間の保険に加入している方のお手元に、保険会社から「保険料控除証明書」が届きます。この保険料控除証明書は、「保険料控除」という税制優遇を受けるために必要な書類です。
今回は、この保険料控除の中の「生命保険料控除」について解説します。

生命保険料控除とは?

 
生命保険料控除とは、所得税・住民税の「所得控除」の一つです。そもそも、所得税や住民税を計算するにあたっては下記の流れで計算が行われます。所得税・住民税は「課税総所得金額」が課税の対象になり、この金額をもとに税金が計算されます。

所得から所定の金額を差し引き、課税総所得金額を引き下げて税金を安くするのが「所得控除」で、複数種類ある所得控除のうちの一つが保険料控除なのです。
 


 
ちなみに、副業をしていないサラリーマンの場合、
・収入…給与(額面金額)
・所得金額…収入から「給与所得控除」を差し引いた金額
となります。
 

生命保険料控除の対象について

 
生命保険料控除は平成24年1月に制度が改正され、その改正前後で旧契約と新契約に分けられ、それぞれ取り扱いが異なります。
・旧契約…平成23年12月31日以前に契約した保険
・新契約…平成24年1月1日以後に契約した保険
保険会社から送られる保険料控除証明書に、旧契約か新契約かが記載されています。
 
生命保険料控除は、保険の種類によって3種類に分類されて計算されますが、同じ保険でも上記の契約時期により分類が異なる場合があります。
具体的な分類は以下のとおりです。

・一般の生命保険料控除…死亡保障、遺族保障、旧契約の医療保障
・介護医療保険料控除…医療保険、生命保険のうち医療保障の部分
・個人年金保険料控除…個人年金保険
これら3種類に該当する保険の年間払い込み保険料から、口述の計算式に従って生命保険料控除が計算され、所得が控除されます。
 
保険料控除の対象とならない保険に、財形保険、団体信用生命保険、保険期間が5年未満の貯蓄性保険があるので注意しましょう。
 

生命保険料控除の計算

 
生命保険料控除を計算するにあたって、新契約と旧契約で計算式が異なります。また、所得税と住民税でもそれぞれ異なる計算式になります。
 
■所得税■
◎旧契約
・25,000円以下:払込保険料の全額
・25,000円超50,000円以下:支払保険料×1/2+12,500円
・50,000円超100,000円以下:支払保険料×1/4+25,000円
・100,000円超:一律50,000円
旧契約は、上記の式で一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除をそれぞれ求めます。2種類の控除を合計して10万円が上限になります。
 
◎新契約
・20,000円以下:払込保険料の全額
・20,000円超40,000円以下:払込保険料×1/2+10,000円
・40,000円超80,000円以下:払込保険料×1/4+20,000円
・80,000円超:一律40,000円
新契約は、上記の式で一般の生命保険料控除と介護医療保険料控除、個人年金保険料控除をそれぞれ求めます。3種類の控除を合計して12万円が上限になります。
 
■住民税■
住民税も新契約と旧契約で計算式が異なりますが、控除合計の上限は新旧とも7万円になります。
 
◎旧契約
・15,000円以下:払込保険料の全額
・15,000円超40,000円以下:払込保険料×1/2+7,500円
・40,000円超70,000円以下:払込保険料×1/4+17,500円
・70,000円超:一律35,000円
 
◎新契約
・12,000円以下:払込保険料の全額
・12,000円超32,000円以下:払込保険料×1/2+6,000円
・32,000円超56,000円以下:払込保険料×1/4+14,000円
・56,000円超:一律28,000円
 
実際には、旧契約と新契約の保険両方に加入されている方も少なくないと思います。この場合は、一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除において、
(1)新契約の控除額+旧契約の控除額(最高4万円)
(2)旧契約の控除額(最高5万円)
これらのどちらか大きい方が適用されます。ただし、3種類すべての合計額は12万円が上限となります。
 

生命保険料控除の申告を忘れずに

 
以上が、生命保険料控除の仕組みです。生命保険料控除は、お勤めで年末調整を受けられる方は勤務先に提出し、自営業の方は確定申告で申請して初めて適用されます。保険料控除証明書はなくさずに保管し、忘れずに申告を行いましょう。
 
Text:町田 萌(まちた もえ)
AFP認定者 宅地建物取引士 FPサテライト代表

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町田 萌

Text:町田 萌(まちた もえ)

AFP認定者 宅地建物取引士 FPサテライト代表

大学在学時より外資系損害保険会社、eラーニング専門企業に勤務。卒業後、税理士法人に勤務を経て、FP事務所を開業。独立までにAFPの他、日商簿記2級、証券外務員一種、損害保険募集人、宅地建物取引士等の資格を取得。現在は、金融商品を取り扱わず、お客様の立場に立った中立な相談業務、不動産・相続・税金・保険等幅広い分野での執筆、FP資格対策講座の講師等、幅広く活動を行なっている。
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