更新日: 2019.08.29 損害保険

うっかり火の消し忘れで、住んでいるアパートが全焼。損害賠償はどうなる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 豊田賢治

うっかり火の消し忘れで、住んでいるアパートが全焼。損害賠償はどうなる?
寒い季節になりましたが、こたつやストーブの消し忘れに気をつけていますか?冬は空気が乾燥しているうえに暖房器具を使うことも多いので、火事が起きやすくなります。

平成28年(1月~12月)における総出火件数は36,773件。これは一日あたり約100件、14分に1件火災が発生したことになります。これはかなりの頻度ですね。

自分の家が燃えてしまうのもショックですが、恐ろしいのは周りの家を巻き込んでしまうこと。もし、火の消し忘れで自分が借りて住んでいるアパートを全焼させてしまったら、損害賠償はどうなるのでしょうか。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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豊田賢治

監修:豊田賢治(とよた けんじ)

弁護士

開成高校卒、東京大学法学部卒。弁護士登録後、大手渉外法律事務所、外資系法律事務所での勤務を経て独立。現在は弁護士16名を擁する東京桜橋法律事務所の所長として、多数の企業や個人の法務顧問として活動。どんな相談に対しても「わからない」とは言わないことをスタンスに、日々クライアントのために奮闘中。
【東京桜橋法律事務所】

出火原因がタバコやガスの消し忘れでは賠償請求されない

日本には火事を発生させてしまった場合に、重過失でない限り免責される「失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)」という法律があります。

これにより、もし自分のミスが原因でアパートを全焼させてしまっても、周りの人に生じた損害を賠償しなければいけないということは基本的にありません。
 
燃やされてしまったアパートの所有者は火災保険金をもらい、近隣に飛び火して火事になった場合もその建物の所有者が火災保険金を受け取ることで、収束することが多いようです。これは、企業がオフィスを借りて使っている場合も基本的に同じです。
 
ただし、「重過失でない限り」という所がポイントで、過失の度合いによっては免責されません。タバコの火の消し忘れ、ガスの消し忘れでは免責されることが多いですが、例えば家の中でバーベキューをしていたというようなことが原因であれば重過失とされる可能性が高くなります。
 
重過失の場合、燃やしてしまったアパートの所有者に対する賠償はもちろん、他の居住者や近隣の建物の所有者や住人に対しても賠償責任を負うことになります。それらの人たちが火災保険金を受け取った場合、保険会社から賠償請求されることもあります。
 
また、重過失でなくてもアパートの大家さんとの関係では、賃貸借契約上の義務違反となって賠償責任を負うことになります。こちらは免責されませんので、注意が必要です。

アパートの大家さんに対する賠償の費用を補償する「借家人賠償責任保険」

借主は、最終的に部屋を原状回復して大家さんに返す義務があります。火事を出してしまった人が原状回復の費用を支払わなければいけない時に使えるのが「借家人賠償責任保険」です。
家や部屋を借りる際に、大家さんから火災保険とセットでの加入を勧められることが多いようです。

自分の家財が損失した際に安心の「家財保険」

アパートを借りている人が入っておきたい火災保険が「家財保険」です。前述の「借家人賠償責任保険」はこの家財保険の特約として付帯することが多くあります。
 
家財保険は自分の過失による火事や、もらい火などで自分の家財が損失を受けた際に、その復旧のために使える保険です。この場合の家財とは、テレビや冷蔵庫などの電化製品、タンスやベッドなどの家具、洋服や靴、アクセサリーなどを指します。
 
火事だけでなく水漏れや落雷などが原因でも補償を受けることができることもあるので、入っていない人は検討してみてください。

平成28年の火災による死亡者は879人。火事は命も奪う

重過失でない場合は基本的に免責されるということが分かりました。「家財保険」、「借家人賠償責任保険」などの保険に入っておくことで、万一火事を出した場合でも高額の賠償をしなければならないという事態は避けられそうです。
 
しかし、当然のことながら防災意識は大事です。
 
住宅火災による死者(放火自殺者などを除く)は年間879人。業務上の過失や重過失による火事で人に危害を加えた場合は、最悪刑務所に行くケースもあります。
 
火事は自分の、そして他人の大事な物、命までも奪うことがあります。
決して自分の不注意で火事を起こすことがないように、日ごろから火の元、火事の原因になりそうなものには気を付けましょう。
 
 
著:ファイナンシャル フィールド 編集部
監修:東京桜橋法律事務所 豊田賢治 弁護士


 

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