2016.12.09スペシャルインタビュー

達人が教える「家庭でできる節約術」①

〈料理研究家〉まとめ買いした食材で「作りおき」を極めれば、 外食が減って節約になる!

Interview Guest : きじまりゅうた

Text : 村田 保子 / Photo : 新美 勝

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Interview Guest

きじまりゅうた

きじまりゅうた

1981年 東京生まれ。祖母は料理研究家の村上昭子、母は同じく料理研究家の杵島直美という家庭に育ち、 幼い頃から料理に自然と親しむようになる。立教大学卒業後、アパレルメーカー勤務を経て 料理研究家の道を目指す。杵島直美のアシスタントを努めて独立。趣味はサーフィン、ブラックミュージックを中心とした音楽鑑賞。 現在、書籍、雑誌、Web、テレビを中心に活動中。

≪きじまりゅうたのダイドコログ≫
http://www.daidokolog.com

祖母も母も料理研究家という環境で育ち、自らも料理の道へ進んだきじまりゅうたさん。定番の家庭料理にちょっとした工夫やアイデアを加えた簡単で美味しいレシピ、男子ならではの視点やセンスを活かした料理が人気を集め、雑誌やテレビなどでも活躍しています。女性雑誌などの節約レシピを担当することも多いというきじまさんに、食材や調理法などの工夫でできる節約術についてお聞きしました。

雑誌の企画などで節約レシピを考案される機会も多いと思いますが、家庭で料理を作るときにできる節約術にはどんなことが考えられますか?

外食をやめて自炊するだけでも大きな節約になりますよね。ダイエットや健康のためにもメリットは大きいし、とくにお酒を控えると効果が大きい(笑)。自炊するときにかかるお金は、材料費、光熱費、道具代ですが、節約効果が高いのはやっぱり材料費。毎日のことだから積み重なると大きいと感じます。
材料費の節約ということで、まず考えられるのは、材料をまとめて買うことです。小分けのものを買うより安いし、特売の日に買っておくこともできます。買ってきたらすぐに保存することも大切。野菜によって冷蔵や常温など適した保存法を調べて、きちんと保存することで日持ちが格段によくなります。
例えば一週間分のスケジュールをなんとなく考えて、外食する日や出張の日など、自炊できない日を省いて、何日分かまとめて作っておくといいですね。「作りおき」はまとめて作ることで労力や手間も省けますからね。さらに、家に帰ってから食べるものがあると安心できます。「食べ切りたい」という気持ちにもなるから、精神的にも外食に行く気がそがれ、結果的に節約につながるんです。

最近「作りおき」が流行っているみたいですが、慣れていないとまとめてたくさん材料を買ったり、作ったりすることが難しく感じます。

最初に料理の設計図を作るとラクですよ。3日分くらいから始めてみるといいです。主菜は肉×2、魚×2、野菜の副菜×3とか、大まかに何を作るか考えて、必要な材料を紙に書き出します。それから買い物に行って、白菜が高いならキャベツにするとか、豚肉じゃなくて特売の鶏肉にするとか、売場で価格に合わせて臨機応変に調整します。あと、近所のスーパーの特徴や傾向を知りつくしておくこと。肉はどこが安いとか、特売の日はいつかとか、頭に入っていると無駄に買い物をしなくなります。
調理についても、手順を簡単にメモしてタイムスケジュールを考えるといいですね。一品ずつ作るのではなく、複数の料理を並行して進めるイメージです。塩漬けとか茹でるとか、時間がかかりそうなものから順序立てて調理していくと、時間ってすごく短縮できるんですよ。

「作りおき」をするときの調理法のコツなどはありますか?

水分をいかに抜いておくかが重要です。材料ごとに適した方法を考えてもらうと分かりやすいかもしれない。小松菜なら茹でてから、大根なら塩漬けにしてから水分を絞っておく。完成させてしまうと同じ味が続いて飽きるので、料理を仕上げ切らないで途中段階まで作っておいて、毎日味を変えるのもおすすめです。例えば、薄めの塩味で野菜スープを3日分つくって、1日目はそのまま、2日目は味噌を入れて味噌汁に、3日目は豆乳を入れて豆乳スープにという感じで、味を足していくと楽しいですね。野菜も塩茹でしておいたものをストックしておいて、ゴマ、醤油、マヨネーズなどの調味料を変えていくことで、毎日違う味が楽しめます。

節約のための「作りおき」にはどんな食材がおすすめですか?

季節によって安い材料が違ってきます。旬の食材は安くて美味しいので、ぜひ覚えておくといいでしょう。冬なら白菜、キャベツなどですね。年間通して価格が安定している食材は、野菜ではモヤシ、豆苗、カイワレ、水菜、エノキ、シメジなど。肉類では鶏胸肉、合挽肉です。なかでもモヤシは節約レシピで一番使うことが多い、王道の食材です。日持ちしないので、買ってきたらすぐに茹でて、水気を絞り、ペーパータオルを敷いたタッパーで保存すると若干は長持ちします。もしくは茹でて、塩、ゴマ油であえて、すりゴマを散らしてナムルにしておく。どちらにしても3日以内には食べ切りたいですね。ナムルのような野菜の常備菜を4〜5品つくっておくだけでも、毎日の献立がラクになるし、ずいぶん節約になると思いますよ

家で料理をつくる回数を増やすために、いつも常備しておきたい便利な食材や調味料などはありますか?

冷蔵庫には卵、ソーセージやハムなどの加工肉、常温保存可能な野菜として、タマネギ、ニンジンはまとめ買いして常備しておいてもいいかな。チャーハンとかオムライスとか、とりあえず何か作れるし、そこそこ日持ちもするから、日々の料理に付け加えながら使っていける食材でもあります。
調味料は、砂糖、塩、酢、醤油、味噌、みりん、酒、マヨネーズ、ケチャップ、ソース、コンソメや鶏ガラスープの素などの顆粒だし、オイスターソース、豆板醤、チューブのワサビや柚子コショウなど。雑誌のレシピに登場するのはそれくれいだと思います。
例えば、さっき話したモヤシを茹でておいたものに、これらの調味料を組み合わせて副菜を作れば、いろいろなパターンが考えられます。マヨネーズ、オイスターソース、柚子コショウなど、毎日味を変えていけるし、オイスターソースとマヨネーズを合わせてあえても美味しい。また、モヤシを他の野菜に置き換えていってもいいですね。基本的な調味料だけで、かなりのバリエーションが考えられますから、上手に活用するといいと思います。一品の料理のために滅多に使わない調味料を買って、その後ずっと使わずに賞味期限切れにしてしまうのはもったいないですから。

よくレシピに出てくる麺つゆはどうでしょうか?

麺つゆはあってもいいと思うのですが、それだけで味を決めようとすると、同じ味になるからつまらないですよね。調味料としては、麺つゆをベースとして使って、味を足してアレンジしていくのがいいと思います。

これは使わなくてもいいんじゃないかという調味料はありますか?

鍋の素は買わなくてもいいかなと思います。料理が苦手な人は、味が決まるから助かるというのですが、味が強めだし、最初から最後まで同じ味で飽きるんですよね。鍋はダシとして昆布を一枚くらい入れてもいいけれど、いろいろな食材を入れることでよいダシが出ますから、面倒ならダシをとらなくても十分美味しいと思います。それに鍋って、卓上で調理しながら、味を決められる数少ない料理なんですよ。好みに合わせてポン酢や薬味で食べたり、「薄くなってきたら醤油を足して」とか「煮詰まってきたから水を足そうか?」とか、皆で相談して、食べながら味を変えて楽しめるのが良いところ。最初の段階で味が決まってしまうのは残念だなと思います。これからの寒い季節、一品で完結できて野菜をたくさん摂れる鍋は、食費を節約するという意味でも心強いメニュー。ぜひ、それぞれの家庭の味を楽しんで欲しいですね。

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村田 保子

Text:村田 保子(むらた やすこ)

Financial Field エディター

 

 

新美 勝

Photo:新美 勝(にいみ まさる)

フリーランス・フォトグラファー