2017.08.30スペシャルインタビュー

エキスパートに聞く「仕事とお金の話」⑭

日本におけるスポーツの価値を高め、多くの人に素晴らしさを伝える。スポーツ通訳・翻訳者の仕事

Interview Guest : 中曽根俊(スポーツ通訳・翻訳者)

Text : 村田 保子 / Photo : 岩田 えり

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Interview Guest

中曽根俊(スポーツ通訳・翻訳者)

中曽根俊(スポーツ通訳・翻訳者)

1964年生まれ。1987年ウェストヴァージニア大学卒業。近畿日本ツーリスト株式会社、株式会社矢野経済研究所、海外のホテル勤務などを経て、1993年よりフリーランスの通訳・翻訳者として、NHK衛星スポーツでのアメリカ3大スポーツ中継番組やCNNワールドスポーツでの翻訳・ボイスオーバーなどに携わる。千葉ロッテマリーンズ球団でボビー・バレンタイン監督専属通訳、WBCでのインタビュー通訳、プロ野球オールスターゲームのオフィシャル通訳など多方面で活躍中。

 
 スポーツ通訳・翻訳者として、NHK衛星スポーツなどの中継番組を中心に活躍する中曽根俊さん。ボビー・バレンタイン氏が千葉ロッテマリーンズの監督をしていた時代には、専属通訳も務めました。さまざまなトップアスリートの言葉を伝え、世界のプロスポーツの現場を追いかけ続ける中曽根さんに、通訳・翻訳者の仕事について詳しくお聞きしました。
 

好きなスポーツを追いかけていられる夢のような仕事

 

——通訳・翻訳者になるまでの経緯を教えてください。

もともと英語が得意だったので、高校3年生の時に他の分野に進むよりはいいだろうという程度の気持ちでアメリカの大学に留学しました。卒業後は、日本の旅行会社に就職しましたが、ある時、ミクロネシア連邦のポナぺ島にあるホテルで働く機会を得て、再び海外へ移住。そこで通訳コーディネーターとして日本人のお客さまのサポートをしていました。この時初めて通訳という仕事を経験したことになります。そろそろ帰国して日本で働きたいと思っていたところ、旅行会社時代の元同僚がNHK衛星放送の大リーグの中継の翻訳・通訳をやっていることを知り、「すごく羨ましいな」と思って空きがないか聞いてもらい、たまたま仕事をいただくことができました。スポーツはすごく好きだったので、ずっとスポーツを観ていられるし、英語が活かせるということで、夢のような仕事だなと思いました。

その仕事を続けるうちに、横のつながりができて別の現場の仕事も任されるようになりました。男性の通訳が少ないということもあり、声をかけていただく機会が多かったんです。ちょうど、アメリカのメジャーリーグに注目が集まり出した時期で、WBCや日米野球など通訳・翻訳のニーズが増えたタイミングでもあってラッキーだったと思いますね。

 

——2004年〜2009年は千葉ロッテマリーンズで、ボビー・バレンタイン監督の専属通訳をされていました。専属通訳を任された経緯を教えていただけますか?

2000年のメッツとカブスの開幕戦で、チーム付きの通訳をやりました。当時のメッツの監督がボビー・バレンタイン監督だったんです。それ以降も監督が小学生を対象にしたスポーツイベントのために来日する時などに、通訳をやらせていただき、お付き合いが続いていました。そのご縁があったので、千葉ロッテマリーンズの監督に就任する時にも声をかけていただいたんです。

 

——スポーツ通訳・翻訳の仕事の面白さを教えてください。

好きなスポーツをずっと追いかけていられることです。アメリカではスポーツが文化のひとつとして尊重されていて、携わる人も競技のレベルを高めていこうとする意識が高く、観客もそれを見守ることに誇りをもっています。そのような良いスパイラルの中で、ときには考えられないスパープレーが生まれる。そこに一緒に参加し、感動を分けてもらえることが醍醐味ですね。また、イチロー選手をはじめとした、日本人選手がそのような世界に入り込んで活躍する姿を、リアルタイムに伝える役割を担えていることにやりがいを感じています。

 

 

知らないことを追い求める姿勢が、いい通訳・翻訳につながる

 

——仕事をする上で大切にしていること、心がけていることを教えてください。

通訳をする時にその人らしさを失わないように伝えることを意識しています。監督が選手に話す言葉には、威厳が必要な場面もあれば、ザックバランに話す場面もあります。その場面場面で相応しい話し方や言葉を選び、相手が意図を汲み取りやすいように工夫をすることは欠かせないと思います。できるだけ漏れなく分かってもらいたいという気持ちが強いので、そのための努力をしています。

 

——スポーツ通訳・翻訳の仕事に憧れている人は多いと思います。どのような資質が必要ですか? また仕事を獲得していくために必要なことを教えてください。

スポーツの分野でやっていくなら、スポーツを観るのが好きなことは大切です。自分が関わるスポーツに関連する用語や言い回し、歴史や過去の試合などを調べて、より深く掘り下げていくことが必要になってきます。興味をもてれば自然に次々と知りたいことが出てきますから、好きであることは強みになる。研究を重ねいくことが、いい通訳・翻訳をすることにつながり、自信と実績になっていきます。知らないことをとことん追い求める姿勢は、この仕事に最も必要なことかもしれないですね。

通訳・翻訳の仕事全体にかかわることでいえば、口が堅いこと、秘密が守れることも必要な資質です。会議通訳などでは、取引や契約にかかわるとても重大な決定事項などが交わされる場面に立ちあいますから、守秘義務を果たせる通訳であることが絶対条件になります。通訳・翻訳の仕事はフリーランスでやっていくことが多くなるので、信用を一つひとつ積み上げていくことでしか、次につなげることはできません。地道にその努力ができることは、成功するために欠かせないと思います。

 

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村田 保子

Text:村田 保子(むらた やすこ)

Financial Field エディター

 

 

岩田 えり

Photo:岩田 えり(いわた えり)

フリーランス・フォトグラファー

日本舞台写真家協会・会員。タレント・舞台俳優など人物写真を得意とする。