更新日: 2019.08.07 その他暮らし

<身近な電気の話> 家庭用電力の全面自由化。消費者が選べる時代になりました。

執筆者 : 藤森禮一郎

<身近な電気の話> 家庭用電力の全面自由化。消費者が選べる時代になりました。
2016年4月から電力小売りが全面的に自由化されて、私たち消費者が電力会社や提供されるサービスを自由に選べるようになりました。電気が身近な商品だと感じられるようになりましたね。会社によってサービス内容は変わっても、スイッチオンすれば電気がつくのはこれまでと変わりません。自由化で何が変わるのでしょうか、何を変えられるのでしょうか、「商品としての電気」について知らないことがたくさんあります。電気の世界をやさしくご紹介しましょう。
いまホットな話題の電力自由化から話を進めますが電力自由化の全体像、その仕組みや内容は多岐にわたっていて複雑です。「家庭用電力の自由化」を中心にお話しをしましょう。
藤森禮一郎

執筆者:藤森禮一郎(ふじもり れいいちろう)

フリージャーナリスト

中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。

電力流通革命の始まり

東京に住む人は東京電力、大阪・京都に住む人は関西電力、九州に住む人は九州電力といったように、電力の小売りは、地域ごとに会社が決まっていて選べない時代が半世紀以上も続いていましたが、2016年4月、「電力全面自由化」に移行してからは、消費者が地域の電力会社以外の、異業種から新しく小売市場に参入してきた100社以上の会社(小売り事業者)から、自由に選べるように制度が変わりました。消費者にとっては会社もサービスも選択肢が一挙に増え、自分の生活スタイルやニーズに合わせて電力会社の提供するサービスを選べるようになりました。電力流通革命の始まりです。

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小売り自由化のいきさつ

電力会社の地域独占規制を緩和し、異業種からの参入を促し、企業や個人に選択肢を増やそうという一連の電力改革は90年代末に始まりました。「国際的にそん色のない電気料金」を実現するために、まず卸発電市場の自由化から改革はスタートしました。市場開放により新市場には独立発電事業者(IPP)と呼ばれる発電専業の会社が相次いで誕生しました。事業の多角化で発電ビジネスに鉄鋼、石油精製、石油化学など異業種から参入してきました。発電原価の抑制競争が始まったのですね。
「電力小売市場」の自由化がスタートしたのは、卸市場改革が一段落した2000年からです。電力は生活に直結するライフラインです。政府も電気事業者も制度改革には慎重でした。「電力の安定供給を維持」するため、急激な改革による市場の混乱を回避するため小売自由化は、電圧や需要規模で区分する需要家群ごとに段階的に検証をしながら進められました。

慎重にスタート

最初は、比較的規模の大きなビルや工場、商業ビルなどの産業用需要家だけに対象を限定して、電力会社以外の新電力からの電力購入を認めました。
その後対象となるビルや工場は次第に増やしコンビニや中小ビル、商店など業務用需要家も、電力会社との契約変更できるようになりました。全国の自治体や学校、飲食チェーン店、病院なども新電力を選ぶようになりました。産業用と業務用の需要家だけで、市場の60%を超えていて、40%弱の低圧需要家が最後まで規制料金下に残されていました。昨年4月から自由化され、一連の自由化政策は最終段階を迎えました。

巨大な市場の登場

コンビニ、病院、学校、商店、事務所ビルや一般家庭など「低圧需要家群」は、全体の需要量では40%弱ですが、需要家数は2000万軒を超え、市場規模は7・5~8兆円にも達しますから、安定した顧客の抱え込みを狙っている異業種にとっては魅力的な市場です。
ですから新規参入者がどっと押し寄せました。選べる会社の数が一挙に増えました。既存の電力会社はもちろんですが大手ガス会社、鉄道会社、ソフトバンク、auなど大手通信会社、石油元売り会社、自治体など300社以上です。

小売り事業者は届け出制に

昨年4月の制度変更でわが国の電気事業は、発電・送配電・小売りを一貫経営の地域独占電力会社は法的になくなり事業は発電、送配電、小売りの3事業に分類され、小売事業は届け出制になりました。要件を満たせば、誰でも電気の小売事業を営めるようになりました。コンビニ並みの数です。

戸惑う消費者

全面自由化から1年が経ちますが様子はどうでしょう。地域電力会社から新規参入会社に契約を変更(スイッチング)した消費者は全国で1割弱だといいます。テレビなどを通じた契約切り替えキャンペーンCMなどを頻繁に目にしますが、スイッチングは予想していたほど進んでいないように思われます。
その理由の一つは消費者の戸惑いにありそうです。電気代が安くなります、便利でお得なサービスを用意しましたと言われても、選択肢が多すぎて、どの会社のどのサービスが良いのか、さっぱりわかないといった声が聞かれます。例えば、東京電力エリアの関東・甲信越地域には50~60社で約220プラン以上、関西・近畿地方には30社・80プラン以上、中部地方には25社・90プラン以上がひしめいていますから当然でしょう。新規参入会社やサービス内容の詳細は事業者のホームページ等で調べていただくとして、登録事業者の概要を分類して以下に紹介してみましょう。

■旧一般電気事業者 ・・・・・(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州、沖縄の10電力会社)   
■特定規模電気事業者(PPS)・(企業向けに電気を販売していた実績のある会社でイーレックス、ミツウロコグリーンエナジー、Loooでんきなど)
■都市ガス・LPガス・・・・・・(東京ガス、大阪ガス、西部ガス、静岡ガス、中央セントラルガス、日本瓦斯など)
■石油元売り・エネルギー関連・(ENEOSでんき、昭和シェル石油、東燃ゼネラルなど)
■大手通信・テレビ・・・・・・(auでんき、ソフトバンクでんき、J:COM電力、eo電気など)
■運輸・旅行社・・・・・・・・(東急エナジーサプライ、HTBエナジーなど)
■自治体・地域・・・・・・・・(みやまスマートエナジー。水戸電力など)
■小売業・生協・・・・・・・・(丸紅新電力、まちエネ、スマ電@など)

以上電力自由化の概要はお分かりになったかと思いますが、さて、どうやって会社を選んだら良いか、様々考えることが必要になります。