2017.06.14暮らし

有機農業を通じた交流のかたち。世界をつなぐWWOOF

Text : 中澤 浩明

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photo:Kimidori Farm&Kitchen

日本を訪れる外国人観光客が増加していますが、有機農業を実践する農場で、農作業などの手伝いをしながら、宿泊場所と食事を提供してもらうWWOOF(ウーフ)というシステムを利用して、日本を旅する外国人も増えています。
WWOOFとは、World Wide Opportunities on Organic Farms(世界に広がる有機農場での機会)の頭文字からとったもの。このシステムは、食事・宿泊場所を提供する側を「ホスト」、作業などの手伝いをする人を「ウーファー」として、ともに登録してもらい、両者を結び付けるものです。1971年にイギリスで生まれ、現在は60カ国以上で活動が行われています。
WWOOFの特徴は、ホストとウーファーとの間にお金のやりとりはなく、ホストが食事と宿泊場所を、ウーファーは労働などの力や知識を互いに提供し合い、交流を深めるというもの。手作業が多く人手不足になりがちな有機農業を行う農家を応援することで、人と人との交流が生まれ、地方におけるグローバル化にも貢献しています。

農家で生活を共にしながら日本を体験

群馬県高山村で農園「Kimidori Farm&Kitchen」を経営する平形清人さんは、有機農業を行いながらホストとして国内外のウーファーを年間20人程度受け入れています。
5月にウーファーとして「Kimidori Farm&Kitchen」に滞在していたアイザック・ハヴェカスさん(オランダ、18歳)は、今年の夏から大学に入学するため、その前に日本を訪れてみようと来日しました。すでに日本に来てから半年ほど。そのうち約2カ月間、北海道と高山村、計3箇所のホストに滞在してきました。
「有機農業を体験するだけでなく、生活に入り込み日本の暮らしそのものを経験できると考えて、初めてWWOOFを利用しました。それに、ウーファーならお金を使うこともありまりないですから」
とウーファーになった理由を語ってくれたハヴェカスさん。
「ことばと文化が違う中で、最初のうちはホストとの”距離感”がよくわかりませんでした。でも、一緒に仕事をし、生活を共にすることでいつしかコミュニケーションが取れるようになり、交流も深まりました」
あまり人と話すのが得意ではないというハヴェカスさんでしたが、ウーファーとしてホストと交流することで、「会話が苦手」という性格にも変化が現れたようです。
「ホストを含めて日本の印象は”とても心地よい”ということです。みなさんが親切にしてくれますし、いろいろな食べ物があって多くの楽しい経験ができました」

photo:Kimidori Farm&Kitchen

ホストとウーファーの結び付きから生まれるもの

10年ほど前には、自らもウーファーとしてカナダに滞在したことがある平形さんは、ホストとしての立場をこう語ってくれました。
「なんといっても、手間のかかる有機農業を手伝ってもらえることが大きいのですが、いろいろな国の人から、その国の文化はもちろん、日本ではあまり知られていない食べ物や食べ方、食生活の違いを学ぶことができ、いつも新しい発見や、教えてもらうことがたくさんあります」
日々の農作業の手助けはもちろんですが、新しい食品や料理に関するヒントを与えてくれることもあるそうです。訪れる人の国籍はさまざまで、滞在期間も数日だけの短期から1カ月近くにおよぶことも。生活を共にすることでさまざまな交流も生まれ、ウーファーとして受け入れた人と、その後も長く連絡を取り合うこともあるそうです。

WWOOFジャパンによると、現在の国内の登録ホスト数は約450カ所、ウーファー数は約4000人におよび、その数は年々増えており、日本を訪れる外国人ウーファーの割合は約77%になるとのこと。
すでに、日本を訪れる外国人観光客は、有名観光地以外の地方にも足を運ぶケースが増えていますが、有機農業を通して人と人が密接に交流することのできるWWOOFは、日本の習慣や文化を知ることのできる旅のかたちとして、人気が高まっていく可能性があります。

WWOOFジャパン https://www.wwoofjapan.com

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中澤 浩明

Text:中澤 浩明(なかざわ ひろあき)

エディター

群馬県に農地を借り、自身で農業を行うと同時に、雑誌&ネットメディアの編集を行うユニークなエディターとして多方面で活躍中。