2017.09.14暮らし

親の介護、施設入所を思い立ったら。冷静にプラスとマイナスを判断

Text : 柴沼 直美

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親御様の介護の負担は日々重くなっていきます。この下向きカーブの傾斜をなだらかにすることはできますが、上向きに反転させる(すなわち回復させる)ことはできません。そこでどこかのタイミングで自分自身が体力的にも精神的にも限界を感じる時が必ず出てきます。老後資金と同様で、こういった介護に関しても、限界点に到達しそうになってからご相談に見えるケースが実に多いです。今回はそういったご相談に対する回答です。

 

自分の傍で一緒に過ごすことがベストソリューションではない

 

このようなケースで、どうしてぎりぎりまで放置していたのかをお尋ねすると、決まって「一緒に過ごしてあげることがお互いのために一番いいから」という答えが返ってきます。いろいろな場面で回答していますが、筆者は「一歩引いて冷静にプラスとマイナスを比べてみる」ことの大切さを強調したいと思います。

一緒に過ごせば、介護をする人は外で仕事をする時間を十分に確保することはできません。そうなれば収入の心配が出てきます。また仕事をしなくても(例えば家賃収入などで)収入が賄えるとしても、日々世話をしなければならないことが増えていく中(昨日まではできたのに今日から入浴の世話をしなければならなくなった等)、それを適切に提供してあげることはできるでしょうか?さらに元気で皆さんの面倒を見てくれていたときの親御様と今の親御様を比べて感傷的にならずに淡々とこなすことができるでしょうか。

この考え方を「世知辛い」と解釈するかどうかは、人それぞれのとらえ方ですが、そんな世の中でも生計をたてていくための収入を確保し続けれなければなりません。

 

お手付きでも見切り発車でも、思いついたらすぐにアクションを起こす

 

まだ大丈夫と思ったときがずばり入所時です。なぜなら入所を決めてから実際に入所するまでには施設選びから見学、手続きなど思いのほか時間がかかります。施設が新規にオープンする場合は多くの入所希望者を受け入れることができますが、それ以外は退所者が出て空きが出た場合にはじめて入所できます。待機の時間は場合によっては相当長期になります。

「ちょっとここは、庭が広くない」とか「自宅から少し遠い」などケチをつけだすときりがありません。とりあえずお手付きでもいいので、入所を決めたらすぐにアクションをおこしましょう。どうしても合わないと思ったら、また別の施設を探すぐらいの気持ちで(実際には入所先を何度も変更することは難しいですが)見切り発車でエントリーすべきです。共倒れになる前に、介護される親御様の症状は悪化していくという現実と向き合う勇気を持つことが必要です。

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柴沼 直美

Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

大学を卒業後、日本生命保険に入社。保険営業に従事したのち渡米。米国アリゾナ州、Thunderbird School of Global ManagementにてMBAを修得。帰国後外資系証券会社、投資顧問会社にてアナリスト、日本株ファンドマネジャーを経験。出産・母親の介護を機に退職。三人の子育ての中で、仕事と主婦業の両立を図るべく独立。キャリアカウンセラー、CFPの資格を活かしつつ、それぞれのライフステージでのお金との付き合い方を、セミナーや個別相談により紹介。子どもの教育費・留学費から介護に至るまで経験を交えた実行可能な幅広いストライクゾーンで対応。
http://www.caripri.com