2017.10.27暮らし

田舎にある先祖の墓を閉じて住まいの近くに移したいのですが?

Text : 黒木 達也 / 監修 : 宮﨑 真紀子

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これまでは、地方に住む両親が元気だったので、先祖の墓が地方にあっても支障はありませんでした。その両親が亡くなり、兄弟も都会で暮らしているため、墓参りに行くのがおっくうで、墓を移したいと考えている方も多いと思います。墓を移すことを「改葬」といい、手続きが必要になります。

改葬をするための諸手続き

お墓を整理または移転するためには、現在の「墓地埋葬法」で定められた手続きが必要です。まず、新しく移転する墓地の管理者から「受け入れ証明書」を、それと合わせて、現在の墓地の管理者から「埋葬証明書」を発行してもらいます。それを入手した後、現在の墓地のある市町村役場に行き「改葬許可申請書」を提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。
現在の墓地管理者に「改葬許可証」を提示して、遺骨の取り出しを行います。寺院墓地の場合は、お墓の「開眼供養」を行ってから遺骨を取り出す必要があります。そして墓石の撤去を行い現在の墓地の原状回復を行います。新しく移転する墓地の管理者には「改葬許可証」を提出し、遺骨を埋葬します。
新しく墓を建立した場合は「開眼供養」を実施します。また子どもなど後継者がいない場合などは、これまでのお墓を閉じると同時に、新たなお墓は作らず、永代供養墓にする方法や、自宅で供養する方法も考えられます。

改葬のための費用も計算する

地方にある墓地を整理する際は、墓石の解体作業、骨壺の回収作業、行政手続きなどを業者に一括依頼するのが一般的です。その際の費用は、墓地の面積、墓石の大きさなどで異なりますが、行政手続きを含め20万円から80万円程度かかります。また、遺骨が骨壺ではなく土葬になっている墓は、採骨に手間がかかるため別途料金がかかります。
寺院墓地の場合は、以上のほかに開眼供養の費用、檀家を辞めるに際しての離檀料がかかります。離檀料は、地域慣行や寺院の格などにより、金額的には差があります。その寺院との相談になりますが、相場としては3万円から10万円程度です。公共の墓地の場合は、離檀料は不要です。

永代供養墓を選ぶことも選択肢に

最近では、墓の継承者がいない人や、子どもに墓の維持費で負担をかけたくないと思う人が「永代供養墓」を選ぶケースが多くなっています。地方の墓を改葬し、永代供養墓にするケースも増えています。公共の墓所だけでなく、都会の寺院でも積極的に造営しています。区画を確保し、墓石を建てることはしないため、コストも安く、気軽にお参りに行けるメリットがあります。
納骨堂も、仏壇形式(位牌と遺骨を同時の収める)、室内ロッカー形式(室内収蔵庫に個別に収める)などがあります。納骨の方法も最初から1ヵ所に遺骨を安置する形式(合祀墓)から、一部を分骨して一定期間(例えば33回忌まで)は個別に安置し、その後合祀する形式など、いくつか選択可能です。これらにかかる費用は、墓所の構造や立地によって差はありますが、およそ25万円から100万円くらいになります。

都会に墓地を新たに確保し墓石を購入すると費用は膨らみます。公営の霊園などは比較的安く購入できますが、例えば東京都内の公営霊園は、空きが非常に少ないのが実情です。公営墓地は、1区画30万円くらいから購入できる所もありますが、民営や寺院墓地の場合は、1区画で100万円前後、広い場所を確保すると400万円以上になります。
墓石についても、小さなサイズであれば100万円以下でも十分つくれますが、大きさや石材を吟味すると300万円を超える場合もあります。地方から墓石をそのまま移動させるにしても、移動のための経費も結構かかります。

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黒木 達也

Text:黒木 達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職

 

 

宮﨑 真紀子

監修:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい…。そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。