更新日: 2019.01.10 介護

介護が必要になると、費用はどれくらいかかる?

執筆者 : 黒木達也 / 監修 : FINANCIAL FIELD編集部

介護が必要になると、費用はどれくらいかかる?
介護が必要な状態になると、在宅介護であれ、施設介護であれ、それなりの費用がかかります。
もちろん、その場合は介護保険を利用できますが、一部自己負担もあり、一定以上のサービスを受けるとなると、さらに自己負担が増えるケースもあります。
黒木達也

Text:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

FINANCIAL FIELD編集部

監修:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

在宅で受ける介護サービスの種類

心身の衰えが目立ち介護認定がされると、介護の度合いにより月々介護保険を利用できます。この制度を利用して各種の介護サービスを受けることになります。
 
介護サービスは、在宅であれ施設入所であれ、どちらでも受けることができます。
通常受けられる在宅介護サービスの中で、自宅に来てもらう訪問サービスとしては、

①訪問介護(ヘルパー派遣による生活援助)
②入浴介護(浴槽提供による入浴補助)
③訪問看護(医師・看護師による診療補助、夜間対応もあり)
④訪問リハビリ(専門家によるリハビリの実施)
⑤療養管理指導(薬剤師・栄養士による生活指導)、などがあります。

 
次に、自宅から施設へ出向いて受けられる通所サービスとして、

①通所介護(デイサービスによる食事・入浴の支援を受ける)
②通所リハビリ(デイケアを保健施設や医療機関で受ける)
③短期入所の生活介護(老人ホームなどへ短期間入所し生活支援を受ける)
④短期入所の療養介護(病院などへ短期入院し介護や機能回復訓練を行う)
などがあります。

さらに、介護が必要になったことによる派生的サービスとして、①福祉器具の貸与、②特定福祉用具購入の補助、③住宅改修費用の補助、などがあります。

介護度により利用限度額が決まる

訪問介護ではなく、老人ホームに代表される施設介護の場合は、主として介護サービス自体を施設から提供されることになります。介護度と合わせて希望するサービス内容を施設側と相談したうえで、それに応じたサービスを受けることになります。
 

実際には、在宅の場合と比べると、24時間介護が可能でより手厚い介護が受けられるため、介護保険の利用限度額を超えてしまうことが多いようです。

介護サービスを利用する場合、介護度の差により利用限度額が決められています。介護度は7ランクに分かれており、最も介護度の軽い「要支援1」の人(日常生活の一部に支援が必要)で月額5万円ほど、最も重度の「要介護5」の人(日常生活のすべてに介助が必要)で月額36万円ほどになります。

介護サービスにかかる実際の費用

在宅介護の場合、訪問サービスにかかる費用は、介護度や訪問頻度によっても変わりますが、およそ次のようになります。
 
1月あたりの平均的な目安として、訪問介護で6万円~9万円、入浴介護で5万円~8万円、訪問看護で5万円~6万円、訪問リハビリで7万円~8万円、療養管理指導で1万円~2万円かかります。
夜間の訪問看護であるとか、訪問の頻度が多くなれば、金額はこれより高くなります。

 
通所サービスについても、介護度や利用頻度によっても変わりますが、在宅よりも施設を利用するため、平均するとやや高くなります。
通所介護では8万円~12万円、通所リハビリで9万円~13万円、短期入所の場合は、入所期間にもよりますが、15万円以上かかることもあります。

 
介護保険を利用した場合、その人の年金を含めた年収額により、1割ないし2割は自己負担になります。単身世帯で年収が280万円以上、夫婦世帯で年収が346万円以上ある場合は、2割負担となります。

 
さらに2018年以降は3割の自己負担が予定されています。現在のところ、単身世帯で340万円以上、夫婦世帯で463万円以上の場合に、自己負担が3割になる予定です。

 
介護度により決められた月々の利用限度額を考慮した上で、サービスのメニューを決める必要があります。介護を必要としている人のニーズによりメニューを選び、利用限度額を超えた分は、すべて自己負担になります。

 
介護保険の範囲内でサービスを抑えようとすると、どうしても最低限の支援に限られてしまいます。その分周りの家族の負担が多くなります。訪問介護により十分な支援を受けようとすると、どうしても自己負担額が増える傾向にあります。

福祉器具レンタルや住宅改修も対象

派生的なサービスとしては、福祉器具のレンタルとしては、クルマいす、簡易トイレ、手すりなどが対象になります。1品1万円程度からの料金になります。
特定福祉用器具の購入は費用がかかります。介護用ベッドで20万円~45万円、電動クルマいすで30万円~45万円などかなり高額になります。

 
これらを指定された事業者から購入した場合、公的介護保険から同一年度につき10万円を限度に補助があります。
住宅の改修は、浴室や階段への手すりの取り付け、玄関や居間の段差の解消、滑り止めのための床材の変更などが中心となりますが、2階へ移動するためのリフトの設置なども含まれます。

 
住宅の改修の場合は、事前申請により20万円を限度に公的介護保険からの補助があります。しかし改修の内容によっては、費用がかなりかかります。

いずれのサービスを利用するにしても、どれを優先するかサービスの順序づけを行い、どの程度の費用がかかるのか、介護保険で賄える部分はどのくらいになるのか、費用を概算しましょう。
同時に、ケアマネジャーなどの専門家に相談しどのような介護サービスを受けるのかを慎重に決めましょう。
 
※2017/11/12 図の表記及び文章を一部修正させていただきました。
 
 
Text:黒木 達也(くろき たつや)
経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職

ライターさん募集