2017.11.27暮らし

狙われる高齢者。悪質投資勧誘にご注意ください!

Text : 上 玲子

キーワード :

今回の記事は、行政機関の消費者電話相員として、消費者の方々からの切実な思いにご対応した経験をもとに、悪質投資勧誘への注意喚起を目的に、みなさんへ情報をお伝えするものです。悪質投資勧誘の手口は、未公開株、FX、ファンドから仮想通貨へと多様化しています。被害に遭わないためのポイントを、ぜひ覚えておいてください。

詐欺的被害は、知人にだまされるケースもあります。

 
ある日、「知り合いが、これからお金を取りに来るの。どうしらたいいですか、渡しても大丈夫ですか?」「3時までに入金するからお金を取りに来ると恫喝されているの、怖くて、怖くて、家から出られない」と、か細い声で電話の向こうから高齢女性の電話が入りました。
 
何度も恫喝されて、怖くなって104の番号案内から必死の思いで相談窓口に繋がったようでした。事情を聞くと、数年前から主に未公開株を、当該事業者の担当者を名乗る知人を通して購入していたとのこと。金融庁のウェブサイトより登録を探したところ、無登録業者と思われる事業者名だったということです。

「落ち着いてください。高齢者に横行している詐欺的被害のようです。詐欺に遭ったと思われたらまず、警察に通報してください」
「もう少しで3時です。このまま事情を聞かせてください。お金は絶対に払わないでください。怖かったですね」
「被害回復型詐欺もあるので今後も気をつけてください」
 
と念押しをして、被害がこれ以上広がらないようにご対応しました。
 
資産運用や投資経験は全くなく、知人といっても結局は全て嘘を言われて信じ込んでいたとのことでした。孫と同じくらいの年齢で、成人式の着付けまでして可愛がっていたと泣きながら話してくださいました。
 
親密な付き合いをしていたので詐欺的な事業者だったとは気づかなかったと後悔されていました。相談窓口で情報提供を受けていると、電話口で泣き出す方、騙されたと気付かず激昂する方など様々です。
 
被害に遭った方の共通点を考えると、「独居」もしくはご夫婦のみの世帯が多くなっています。
 

「おかしいな」と思ったら警察や消費者センターに相談を

 
悪質投資勧誘の怖さは被害額が大きい事です。時間を掛けて確実に騙す準備をしているのです。ほとんどの方は「詐欺の手口を知らなかった」「もっと早く相談すればよかった」と話されます。詐欺には「公的機関装い型、劇場型、被害回復型、発展型」などのタイプがありますので、手口を知っておくと、たとえ詐欺の電話を受けてもピンとくる可能性が高まります。
 
被害拡大を防ぐ為に、必ずお伝えしているのは「おかしいなと思ったらすぐに家族や警察、消費者センターに相談してください」というご案内です。
 
しかし「いつも話をしたくても一人で話し相手がいない」「上さんまた電話かけてもいいですか」と仰る方も沢山いました。そんな時は「また悪質投資勧誘でご不安になることがあればいつでもお電話してください」とお返事しています。
 
最後の砦といっては大げさですが、その一言で『相談力』がついてくださるのであれば、私を相談の練習台にしてほしいと思い業務に就いています。
 

詐欺に遭わないための対策

 
詐欺的手口は固定電話を使用する勧誘行為が横行しているので、極論を言ってしまえば固定電話に直接出ないのが一番です。しかし自宅に居る時間が長い高齢者は電話には直ぐに出ることができます。
 
具体的な対策としては、留守番電話、自動通話録音機の設定、設置をおすすめします。一番の未然防止策は定期的に直接、家族や地域包括支援センター、民生委員、ケアマネジャー、アクティブシニア(お元気高齢者)同士が励ましあって見守っていくことです。
 
高齢者の第三の居場所は安心して過ごせる地元地域です。地元ボランティア、地域カフェ、老人会、など幾つも入っていれば様々な防犯的な情報も入ってきます。
 

「絶対に儲かる話」はありません

 
悪質投資勧誘で高齢者消費者被害に遭われた方は「孫の為に資産を増やしたかった」「息子の為に財産を少しでも残してやりたかった」「騙されたなんて、恥ずかしくて家族には言えない」と呟かれることが多いです。高齢者のご不安の3Kとは「金、kane」「健康、kenkou」「孤独、kodoku」。消費者被害を少なくする為に高齢者にも消費者啓発が必要であると実感しています。
 
数年前まで未公開株、FX(外国為替証拠金取引)、ファンド等が悪質投資勧誘で主流でしたが、最近の手口としては「仮想通貨」を投機的に投資される方法が散見されます。仮想通貨交換業者も登録制で監督されています。スマホを利用するアクティブシニアも沢山いらっしゃいますが、「絶対に儲かる話」は決してありませので、くれぐれもご留意ください。
 
しつこい勧誘があれば是非、自治体の消費者センター等に情報提供し相談力を発揮していただきたく思っています。詐欺に遭わない、賢い消費者として、消費者市民社会は高齢者から大いに発信してほしいです。微力ですが私もその一端を地元自治体で継続して見守って行きたいと思っています。いつまでも高齢者の笑顔を見ていたい一人として。
 
Text:上 玲子(うえ・れいこ)
八王子市在住
2010年 行政機関 証券監督業務、無登録担当として勤務
2015年 消費者コンサルタント取得
2016年 NACS 研修委員会 研修委員

ファイナンシャルフィールドの最新記事を
毎日お届けします

上 玲子

Text:上 玲子(うえ れいこ)

八王子市在住
2010年 行政機関 証券監督業務、無登録担当として勤務
2015年 消費者コンサルタント取得
2016年 NACS 研修委員会 研修委員

行政機関証券監督業務、無登録業者対応業務を経て、現在も行政機関の消費者啓発を中心に活動中。NACS研修委員会では、2017年10月に消費生活相談員向け講座「悪質投資勧誘、仮想通貨について」の講座を企画。消費者目線を第一に消費者啓発とは何か、消費者市民社会とは何か、地域自治体の活動に多く参加し、高齢者の見守りを通して現在奮闘中。