2017.12.03暮らし

賠償金約1億の場合も。自転車関連の事故が急増 保険の加入が義務化?

Text : 塚越 菜々子

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普段、自転車に乗ることはありますか?

自転車は、買い物や通勤・通学などの日常生活で身近な場所への移動手段として、広く利用されています。観光地でのレンタサイクルやサイクリングなどのレジャーとしても身近な乗り物と言えそうです。

自転車交通安全対策に関する行政評価・監視(※)によると、近年は電動アシスト自転車やスポーツ車の販売台数が伸びるなど、自動車の保有台数と同程度に普及しているといえます。そのような中、自転車関連の事故から発生する高額損害賠償訴訟が増え、問題化しています。一部の自治体では、条例により自転車保険の加入が義務付けられる地域も出てきました。

自転車保険の義務化についてみてみましょう。

(※)自転車交通安全対策に関する行政評価・監視<調査結果に基づく勧告>
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/94984.html

自分が「被害者」ではなく「加害者」になった場合

自転車は便利な反面、免許などをとる必要がなく、ルールを知らなくても乗ることができます。また、日本では使用者の規模に対して、道路の整備が追い付いていないなど危険が伴う場所も多くあります。もちろん、正しい交通ルールを知る、ヘルメットを着用する、自転車を整備するなどの対策をとるように推奨されていますが、自転車環境はまだ整っているとはいいがたいようです。
 
そして私たちは、万が一、自分が事故にあったときに備えて、入院保険や傷害保険などに加入していることが多いと思います。それに対し、自分が「加害者」になってしまった場合の備えはどうでしょうか?
 

高額賠償の事例が増えています

●4,746万円(平成26年1月判決 東京地方裁判所)
男性が横断歩道を歩行中の75歳の女性に衝突。
被害者は死亡しました。
 
●9,521万円(平成25年7月判決 神戸地方裁判所)
11歳の男の子が62歳の女性と正面衝突し意識が戻らない状態に。
男児の「母親」が監督責任を問われ高額な賠償額となりました。
 
●9,266万円(平成20年6月判決 東京地方裁判所)
男子高校生が24歳の男性に自転車で衝突。
男性は重大な後遺症が残りました。
 
●5,438万円(平成19年4月判決 東京地方裁判所)
信号無視をして交差点に進入した自転車が55歳女性と衝突。
被害者は死亡しました。
 
●6,779万円(平成15年9月判決 東京地方裁判所)
男性がペットボトルを片手に持った状態で、下り坂で38歳の女性と衝突。
被害者は死亡しました。
 
このように、高額な賠償責任が問われた場合、簡単にその金額を払い出すことはできません。

加害者の経済的負担解消と同時に、被害者の救済の目的からも自転車保険が義務化される自治体が増えているのです。

「自転車専用」の保険である必要はない

義務化の目的は、被害者側に補償できる保険に加入してもらうことです。「自転車事故専用」である必要はありません。損害賠償に備えた保険で代表的なものは「個人賠償責任保険」です。自動車保険に加入していれば特約(オプション)などですでについている可能性があります。また、火災保険などに付帯しているかたも比較的多くみられます。
 
そのほかに子供などの場合は、学校などを窓口に入る保険にその機能が付いていたり、自転車を購入した時にTSマーク付帯保険がついていたりすることもあります。これらの保険は重複して加入しても意味がありませんので、すでに加入していないか必ず確認してみてください。
 
わざと加害者になるつもりはなくとも、起きてしまった場合はとても影響が大きく、また自分ではなく、子供・高齢者などの『監督者』が賠償を問われるケースもあります。一つ加入すれば「同居の家族全員をカバー」するなどもありますので、家族に自転車を使用する人がいる場合は一度必ず確認しましょう。
 
また、義務化は全国ではなくまだ一部の自治体です。「努力義務」の自治体もありますが、それでも自転車に乗る場合は備えておくべき保険と言えるでしょう。
 
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
https://mamasuma.com/

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塚越 菜々子

Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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