2017.07.06ローン

共働き夫婦のローン設計②「収入合算」のメリット&デメリット

Text : 内村 しづ子

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前回の「ペアローン」に続き、今回は夫婦で住宅ローンを組む方法「収入合算」を利用する際のメリットや注意点について紹介します。

夫婦の収入を合算し借入額を増やせる「収入合算」

夫または妻一人の収入よりも、夫婦二人分の収入を合算して申請し、その分借入額を増やす方法が収入合算です。合算できる金額は、合算者の収入の全部、または6割等、金融機関ごとに違います。また合算者は正社員だけでなく、安定したパートの収入なども合算できる場合がありますので、利用前に各金融機関に確認しておくと良いでしょう。
 

収入合算には「連帯債務者」と「連帯保証人」がある

ここで抑えておきたいのは、契約者を夫とした場合、妻の収入の一定割合を合算してローン申請をするため、妻の位置づけは契約上「連帯債務者」もしくは「連帯保証人」になる点です。どちらの立場になるのかにより、受けられる制度や団体生命信用保険(以下:団信)の加入の有無等が変わってきます。
 

住宅ローン控除やすまい給付金の対象になるのは「連帯債務者」

連帯債務者はその呼び名通り連帯して債務を負う、つまり契約者(主債務者)と同様の返済が求められる立場となります。図表のように負担割合に見合った「住宅ローン控除(※1)」や「すまい給付金(※2)」を受けることも可能です。ただし、契約者と同様の立場でありながら、加入できる団信が一部金融機関に限られている点は注意が必要です。

図表_ローン2

一方、連帯保証人は契約者(主債務者)と連帯して債務を保証する人であり、あくまで債務者は夫のみ。連帯債務者のように夫と同様に返済を請求される立場ではありません。そして連帯保証人は債務者とは立場が違うため、住宅ローン控除やすまい給付金を受けること、団信加入はできません。図表を見ても、連帯債務者に比べてメリットは少ないといえるでしょう。
 
※1 住宅ローン控除については以下の記事を参照
financial-field.com/loan/2017/02/17/entry-1256
 
※2 消費税引上げによる住宅取得者の負担を緩和するための制度
すまい給付金HP http://sumai-kyufu.jp/

妻の万一に備えることは必須

収入合算でローンを組む以上、夫婦二人の死亡等に備えておく必要があります。主債務者を夫とした場合、夫は原則団信に加入することができます。では妻にもしものことがあった場合はどうでしょうか?
妻が連帯債務者であれば、一部夫婦で加入できる団信があります(※)ただし、民間の金融機関の多くは団信加入を連帯保証人のみとしているケースがほとんどです。そのため連帯保証人で収入合算する場合、妻は団信に加入できない分、生命保険などで別途万一に備えておく必要がでてきます。
 
※2017年5月現在の主な商品
フラット35 夫婦連生団信「デュエット」
三井住友銀行「クロスサポート」等
 
共働き夫婦のローン設計について「ペアローン」「収入合算(連帯債務・連帯保証)」についてご説明してきました。どれがベストなのかは、ご夫婦の働き方や収入のバランスによっても違っています。住宅ローンの返済期間は決して短くありません。損得はもちろんですが、少し先の生活をイメージしながら、自分たちにとって無理のない設計をしていく事が一番のポイントになります。

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内村 しづ子

Text:内村 しづ子(うちむら しづこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、
FP事務所マネーサロンキャトル代表

「働く女性が楽しい人生を送るためのお金の知識」を発信。共働き世帯の家計管理やライフプラン実現のためのセミナーや相談、執筆に注力。運営している「みらい女性倶楽部」では、個人型確定拠出年金セミナーや加入サポートを積極的に行っている。
https://m-quatre.com/