2017.01.06年金

会社勤めの人が個人型確定拠出年金(iDeCo)を始めるハードルとは?

Text : 福島 えみ子

キーワード :

税制優遇を受けながら、有利に老後のお金を準備できる確定拠出年金。中でも、個人型確定拠出年金(iDeco)は、来年2017年以降、基本すべての人が加入できるようになるとあって注目が集まっています。ところが、この個人型確定拠出年金、「確定拠出年金を始めます!」と意気込んでも、「結局まだ始められていないんです」となってしまう人もいます。その原因は意外なところにありました。

 

会社等にお勤めの人だけにあるハードルとは?

じつは、個人型確定拠出年金を始めるにあたっては、会社等にお勤めの人に必要となる1枚の書類があります。人によってはこれがハードルともなり得るのです。その書類の名前は、「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」。なぜ、一見何でもなさそうな書類がハードルとなる場合があるのでしょうか?それは、この書類が、事業主つまり勤務先の会社等で記入・押印してもらう書類だからなのです。

どこがハードルとなる?

この書類、「どの部署に申し出ればいいのかわからない」「総務の人っていつも忙しそうなので言い出しにくい」といって迷っているうちに、どんどん月日が経ってしまうこともめずらしくありません。多くの会社の場合、総務部や人事部で(会社によっては総務人事部などその名称は異なります)その書類に記入してもらえるようです。これが、仕事上の必要書類ならば躊躇する人は少ないはずです。
ところが、個人の資産形成のためのものであることから、職場で”言い出しにくい”という感覚を持つ人は多いようです。「どこの部署の誰に聞けばいいのか躊躇する」「確定拠出年金のような個人のお金のことで会社の人に手間をかけるのは気がひける」という声、ご相談のお客様から何度聞いたことでしょうか。従業員規模がさほどではない会社等では、「『確定拠出年金、何それ?』と言われてしまいました。」という話も聞くほどです。
このように、「確定拠出年金の書類」と申し出てピンと来てくれる勤務先ならよいのですが、「確定拠出年金って何ですか?その書類はどうすればいいのですか?」と聞かれたら自分で説明しきれないと感じる人にとっては、もう言い出すこと事態がおっくうに思えてしまうようです。

では、どうすればいい?この書類の内容は?

しかし、個人型確定拠出年金を始めるにはこの書類は必須です。では、このハードルをなくすにはどうすればよいでしょうか?そもそもこの書類に何を記入してもらうのか?をあらかじめ知っておけば、スムーズに説明できて勤務先の手間を軽減できそうです。
この「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」で、「事業主」=勤務先の会社等で記入するのは、申出者が間違いなく厚生年金保険の被保険者であることや、その会社等の企業型確定拠出年金の有無、掛金の納付方法についてなどです。
このうち、「掛金の納付方法」がポイントです。「事業主払込」か「個人払込」と2つの方法があり、「事業主払込」は、会社等から確定拠出年金の掛金を給与天引きにしてもらう方法、個人払込は個人の銀行等口座から直接口座振替とする方法です。納付方法は、希望により選択できます。ただ、申出者が「事業主払込」を希望しても、事業主側で給与天引き事務にすぐに対応できないような場合には、「個人払込」となります。

会社等が事業主登録をしていれば手続きはスムーズ

この書類には、事業主が国民年金基金連合会への確定拠出年金の「事業所登録」がすでにあるかどうかの記入欄があります。すでに事業主登録がされている勤務先であれば、手続きはスムーズに進むことでしょう。事業所登録をすませているということは、以前に個人型確定拠出年金に加入した人が他にもいて、事業主に過去にも書類記入経験があります。ですから、前もって、会社等で誰か他の人が個人型確定拠出年金に加入しているかまわりに聞いてみるのもひとつの方法です。もしすでに加入している人がいれば、ハードルは一気に姿を消すことでしょう。

会社がまだ「事業所登録」をしていない場合

一方で、会社がまだ「事業所登録」をしていない場合は少し事情が異なります。この書類が「事業主登録申請」を兼ねているため、勤務先に別途登録作業の手間が増えるわけではありませんが、確定拠出年金とは?事業所登録とは?という説明が必要になる場合もあるかもしれません。そのような場合は、自分で説明するだけではなく、勤務先の担当者に国民年金基金連合会HPの「事業主の方へ」のページを見てもらうのもひとつの方法です。

http://www.npfa.or.jp/401K/owner/

また、一人ではなかなか確定拠出年金について説明しづらいという人は、同僚にも確定拠出年金の話をして一緒にスタートし、何人かで会社に書類記入のお願いをするのも心強いかもしれません。

ファイナンシャルフィールドの最新記事を
毎日お届けします

福島 えみ子

Text:福島 えみ子(ふくしま えみこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表

大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

http://mdtheory.co.jp/