2017.08.26年金

「老齢年金」とは? 原則65歳受給の基本的な年金

Text : 中嶋 正広

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 高齢になってから受け取ることのできる老齢年金は、老後の生活には不可欠です。実際に国民年金、厚生年金などの公的年金に加入している人は、何歳から年金が受け取れるでしょうか。公的年金では、一定の年齢に達すると受給できるのが「老齢年金」ですが、以前と比べ受給開始の年齢が、しだいに遅くなっています。その年齢に達した時点から生涯、年金を受給することができます。

「老齢基礎年金」は65歳から受給

 自営業者やフリーランスの人などが加入する「国民年金」の場合、年金を実際に受け取ることができるのは65歳からです。「厚生年金」とも一体的に運用されており、年金体系のベースになる1階部分の年金です。受け取る際の名称は「老齢基礎年金」となります。厚生年金加入者も、この老齢基礎年金をベースとなる年金を受け取ります。

 国民年金加入者の多く、実際に「定年退職」がある会社員などとは多少事情が異なり、一定年齢に達しても仕事を続けることができます。そのため年金の受給開始も、65歳からで、それ以前に受給できる制度はありません。受取額も基礎年金部分だけですので、厚生年金加入者に比べると額は少なくなります。

 

 国民年金は40年間納めて満額となります。40年分の保険料を納めた際の受取額は、年額で約78万円(2016年時点)です。加入期間が40年よりも短期の場合、受け取る年金額も、それに応じて減額されます。受給のために必要な保険料の納付期間は10年です(2017年8月から実施、それ以前は25年納付が必要)。必要加入期間に満たない人は、老齢年金を受給できません。原則60歳まで保険料を納付します。40年の加入期間を満たしていれば、65歳から老齢基礎年金を満額受給できます。60歳になった時点で、加入期間が40年に満たない人は、60歳以降(原則65歳までで特例も)も任意で加入し、受け取る年金額を増額することが可能です。ただし、40年を超えて保険料を納めたとしても、40年分以上の基礎年金は受給できません。

 

老齢厚生年金、一部は65歳以前から受給

 

 厚生年金(民間の会社員、公務員などが加入)は、以前60歳から「老齢厚生年金」を満額受給できました。しかし、定年延長の進展や高齢化社会の進行に伴い、65歳受給へと制度が変更され、現在はその移行過程にあります。年金財政自体の問題も、もちろん関係していると思われます。

 ある年から突然受給開始を65歳に移行を実施すると、5年間の年金空白期間ができるため、大きな混乱が起きます。定年退職により収入が大きく減った後に、年金が全く受け取れない期間が発生するからです。そのため、一気に移行するのではなく、段階を追って徐々に65歳受給へ移行する仕組みがつくられました。この移行期間に受け取る年金を、「特別支給の老齢厚生年金」(「報酬比例部分」と「定額部分」がある)と呼び、生年月日、男女別に、それぞれ何歳から受け取れるかが決まっています。

図3-特別支給の厚生年金の受給開始時期

 この「特別支給」の厚生年金は、生年月日の違いにより、65歳以前に年金を受け取ることが出来る仕組みです。特別支給の形が今後数年続くと、1963年4月2日以降に生まれた男性(女性は5年遅れの1968年4月2日)からこの仕組みはなくなり、老齢厚生年金は、すべて65歳受給になります。

 

老齢厚生年金 すでに定額部分は65歳受給

 

 65歳以前に受け取れる厚生年金部分を「報酬比例部分」と呼びますが、基礎年金にあたる部分は「定額部分」といいます。国民年金受給者が受け取る基礎年金に対応します。厚生年金の受給者は「定額部分」を、かつては60歳から受給できた時期もありました。しかし現在では受給できません。この「定額部分」は、老齢基礎年金の形で65歳からの受給となります。

 例えば、1949年4月1日以前に生まれた男性(女性は1954年4月1日)は、この「定額部分」を64歳から受給できました。当然ですが「報酬比例部分」も受給できました。しかし、1949年の4月2日以降に生まれた男性からは、定額部分がなくなり、すべて65歳から老齢基礎年金としての受給になりました。現在の段階で受け取れるのは、特別支給の「報酬比例部分」の年金だけです。

 

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中嶋 正広

Text:中嶋 正広(なかじま まさひろ)

社会保険労務士