2017.09.06年金

「障害年金」とは? 病気やケガで働けない人を救済

Text : 中嶋 正広

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 病気やケガで就労が困難になると、仕事を辞めたりするケースも出てきます。そのときに頼りになるのが「障害年金」です。障害年金は、年金に加入中の人であれば受け取ることができます。そのため、老齢年金を受けている65歳以上の人の病気やケガには、障害年金の対象外です。障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。
 

「障害基礎年金」を受ける要件

 

 病気やケガに見舞われたとき、誰でも直後から障害年金を受け取れるわけではありません。受給のための要件が必要で、①病気やケガで最初に診察を受けた「初診日」、②その日から1年6カ月を経過した「障害認定日」(それ以前に治癒した場合はその日)、③それまで年金保険料を正しく納入していたか、の3点を確認した上で、障害が認定されます。少なくとも認定までに約1年6カ月かかります。

 

 障害等級には1級と2級の2段階あります。1級とは、日常生活が一人では全くできず、常時介護が必要な状態をいいます。これに対して2級とは、日常生活をするのがやや困難で、時により介護が必要な状態をいいます。障害の程度により、医師の診断書などを参考にしながら、障害等級表に照らして判断されます。ただし障害等級の認定と、身体障害者手帳の交付とは同じ基準ではありません。身体障害者手帳を持っているから、必ず障害年金が受け取れるわけではありません。

 

障害等級により受給額が異なる

 

 どの認定を受けたかにより受け取れる年金額が異なります。2級の認定を受けた人は、老齢基礎年金の満額と同じ金額(年額約78万円)を、1級の認定を受けた人は、2級の1.25倍の金額(約97万円)を受給できます。生計を維持している子も受給できます。65歳になると障害基礎年金は打ち切られ、通常の老齢基礎年金になります。

 

 20歳以前に病気やケガで障害状態になったときでも、条件を満たせば障害基礎年金を受け取ることができます。国民年金への加入は原則20歳ですが、その前が初診日であっても受給可能です。ただし20歳時点で国民年金には加入が必要です。このとき受給のためには所得制限があり、すでに一定額以上の収入がある場合には受給できません。

 

「障害厚生年金」を受ける要件

 

 厚生年金に加入している人には「障害厚生年金」があります。障害基礎年金と同様に、年金加入中に、診察を受けた「初診日」、1年6カ月を経過した「障害認定日」があり、さらに保険料納付が前提という受給条件があります。

 

 障害等級には1級から3級まであります。1級と2級の認定基準は、障害基礎年金と同じです。障害厚生年金の受給者は自動的に基礎年金にも加入していますので、1級、2級の人は、障害基礎年金も併せて受け取れます。3級は障害基礎年金にはない制度です。2級よりも軽いが通常の就業が難しい人が認定を受けられます。ただし、3級の人は、障害基礎年金はこの制度がないため受給できません。3級よりもさらに軽い障害の人をサポートとする「障害手当金」という一時金もあります。障害等級3級と障害手当金は、障害厚生年金だけにつくられた、より軽度な障害の人が資金を受け取れる制度です。障害厚生年金も65歳になった時点で打ち切られ、その後は老齢厚生年金になります。

 

障害厚生年金の受給額

 

 実際の受給額はどうでしょうか。等級が2級と3級については、本人が受給できる老齢厚生年金(報酬比例部分)と同額です。等級が1級の人は、その1・25倍の金額が受給できます。年金に反映される期間は、厚生年金に加入した日から障害認定日までの期間で、それ以降は厚生年金に加入し続けても、障害年金の受取額は増えません。ただし25年の最低保障期間があります。加入期間は25年に満たなくても25年加入として扱われます。例えば、障害認定日まで加入日から30年あった人は、そのまま30年加入分の年金ですが、障害認定日まで10年だった人は、最低保障の25年加入分にあたる年金が受け取れる仕組みです。

 

 1級と2級の障害厚生年金については、配偶者加算があります。受給権者によって生計が維持されていることが条件で、配偶者が65歳になるまで加算されます。配偶者加算の金額は年額約22万円です。

 

障害等級3級には最低保障金が

 

 障害等級が3級については、障害基礎年金が受給できません。加入期間が短い人は受給額が少なくなりますので、年額約58万円という「最低保障金額」が定められています。本人が65歳になるまで受給できます。これには配偶者加算はありません。障害年金の受給対象にならない軽度の人が対象の「障害手当金」という制度もあります。初診日より5年以内に、その病気やケガが治っており、障害等級表に該当する人などが対象になります。3級の人の障害厚生年金の2年分にあたる金額が、一時金で受給できます。受給できるのは1回だけです。

  

 こうしてみると、障害厚生年金は、現在働いている人にとっては、手厚い保障になっていることがわかります。

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中嶋 正広

Text:中嶋 正広(なかじま まさひろ)

社会保険労務士