更新日: 2019.01.08 株・株式・FX投資

〈柴沼投資塾〉個別株②。株主優待を投資のきっかけにするときの判断基準

執筆者 : 柴沼直美

〈柴沼投資塾〉個別株②。株主優待を投資のきっかけにするときの判断基準
 前回は、個別株投資を始めるにあたって、【1】興味のあるものにする、【2】数字的な目安としてROE10%以上で、PERが20倍以下のものに絞り込むということをお伝えしました。ROEというのは、自己資本でどれだけ利益を出しているかをみる指標、PERは「今の株価が利益の何倍まで買われているか」を見る指標でした。
 今回は、数字的な指標ではなくて、もっと嗜好に素直な行動=株主優待で買ってみたらどうなるかについて考えてみようと思います。

 

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柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

興味をもって銘柄を見守ることができるか?

 
 日本の証券取引所に上場している銘柄数は3,500以上あり、これはだいたい33業種のどれかに入ります。この中で、例えば今は「スマホ」の時代だからということでハイテク関連銘柄に投資をするのも選択肢としてはありかと思いますが、「どうして」買われているのか?「どうして」上がっているのか?「どうして」下がっているのか?といった値動きの理由が自分で説明できなければ、結局フラストレーションを抱えたり、疑心暗鬼に陥ったりして、長続きしないと思います。何事もそうですが「好きこそものの上手なれ」で興味があれば、周辺知識を身につけたくもなりますし、会社説明会に足を運んだり、会社資料に目を通したりする機会も増え、知らないうちに投資の勘どころが身につくものです。
 

身近な商品で長期保有したいかどうかを決定

 

 例えば、家の中を見渡してみましょう。最近は、汗をかく季節ですし、そうでなかったとしても日本人は「匂い」に敏感で、消臭剤を常備されているご家庭も多いのではないでしょうか。消臭剤=小林製薬の消臭力が目に入ったとします。日ごろは見過ごしていたかもしれませんが、ちょっとここのホームページをのぞいてみましょう。

 魅力的な株主優待パッケージが掲示されていますね。2017年6月末現在ですが、100株以上の保有で(1)5,000円相当の自社製品詰め合わせセット(複数ある自社製品セットまたは社会貢献団体への寄付からより1つ選択。)(2)通信販売製品の10%割引(割引は期間限定で受付)となっています。300株以上かつ3年以上保有であればさらに追加での優待パーケージが用意されています。

 さてこの株主優待いかがですか? 魅力的とみるかどうかは、株価と比べてみる必要があります。2017年6月26日時点ですが、6,780円、100株単位です。そうすると、必要投資資金は67万8,000円。これで5000円の株主優待がうけられるとなると、0.7%のおまけがつくことになるわけで、これが魅力的かどうか? を最終的に判断する時に数字の基準と照らし合わせましょう。
 

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数字で確認:ROE10%以上、PER20倍以下が投資のタイミング

 

 小林製薬と検索すれば、現在の株価と同時に、ROEやPERといった数字的な指標も同時に確認することができます。ちなみにこれを書いている2017年6月26日現在であれば、ROEは9.58% PERは35倍となっています。ROEは前回の復習ですが、自己資本でどれだけ利益を上げたかということを示すので、高ければ高いほどいいのですが、10%を上回れば稼ぐ力が大きい企業として二重丸がつきます。一方PERというのは、利益の何倍まで株が買われているかということを測る指標で、この値が髙ければ、利益の割に人気が出すぎ、低ければ、利益(稼ぐ力)は強いのに、まだ人気が出ていないのか、別の理由で(例えば企業のスキャンダルや買収など)敬遠されているために投資家からの評価が低いということになります。

 

結論:投資対象としては魅力的だが、「今は」投資タイミングではなさそう

 

 この両面から考えて最終的な判断を下すことになります。さて、今回のケースですが、「投資タイミングではない」ということになります。理由はただ一つ、PERが高すぎるということです。言い方をかえれば、人気が出すぎなのですね。たくさんの投資家が「いい銘柄である」と判断しているので、小林製薬に投資したいという直観はまさに当たりなのです。同社のキャッチコピーの1つでもある「あったらいいな」という商品を開発し市場導入を続ける「商品開発力」、それを魅力的に市場に訴える「マーケティング力」は高い評価を得ています。この流れは長期的にも続くでしょうし、一般消費者からの意見を採り入れて、思いもよらないような画期的かつ身近な商品を提供する同社の強みはゆるぎないと考えられます。しかしいかに魅力的な投資対象であったとしても、投資する側からしてみれば「高値掴み」は避けたいですよね。今、株価チャートやネットでの情報をみても、52週(52週というのは1年365日÷7≓52ということから直近1年間という意味です)高値をつけています。加えて、小林製薬の業種は消費財で、もともと半導体や電子機器・郵送用機器(自動車や自動車部品)のように、急激に付加価値が上昇して価格帯が大きく変わるということが見込まれないため、緩やかに売り上げ・利益が推移する、「ディフェンシブ・セクター」と呼ばれる業種になります。

 このようなディフェンシブ・セクターのPERが30倍を上回ってまで買い進められるというのは、異常と言わざるを得ません。理由としては相場の先行き全体が見通し辛い今の状況の中では、上にも下にも値動き幅が小さい銘柄に投資をしておくほうが下がったときのリスクが回避できるという思惑からかもしれません。投資家が自信を失っていることのあらわれでもあるかと思います。したがって、年後半、米国でトランプ政権による財政政策が本格出動されるに伴って、世界の投資環境が強気に傾いたときに、このようなディフェンシブ・セクターからは資金が流出する可能性が高いです。そこで下がったときに、投資するのがベストタイミングと言えそうです。

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