最終更新日:2019.01.08 公開日:2017.09.11
資産運用

〈柴沼投資塾〉少額インデクス投資入門⑨。テーマものファンド

2017年はAI(人工知能)やIoT(インターネットオブシングス)関連の銘柄が値を飛ばしています。NYダウが2017年8月に22,000ドルを突破したと騒がれていますが、その主因はアップル(2017年初来36%上昇)とボーイング(同56%)で説明できてしまうほど、特定の銘柄に依存した上昇であることを確認する必要があります。そのうえで、「それでは、これからはAIやIoT関連銘柄を組み込んだファンドを持っていれば安心なのか?どこまでなら持っていていいのか?」といった疑問をいっしょにみていきましょう。

テーマものファンドは設立の時代背景が魅力的でストーリー性に富む

少し前ですが、バイオ関連ファンドが花盛りでした。ファンド設立の背景として、世界中に広がる高齢化や食生活の乱れからくる糖尿病、脂肪代謝異常といった生活習慣病患者およびその予備軍の人数激増により、当該治療薬の継続的増収増益が予想される。患者数(消費者数)は減少することはないことから、治療薬のリーディングカンパニーを組み込んだファンドの購入(投資)・保有は十分に意義のある投資だというものです。

もっと以前には、SRIファンド(企業の社会的責任に貢献度が特に高い企業を集めたファンド)も注目され次々とこのようなファンドが設立されていきました。

地域的には分散されているがテーマでの偏りは避けられない

このようなテーマものファンドはたいていグローバルベースで銘柄(企業)を選定しますから、地域的には十分分散されています。日本企業だけが組み入れられているとか米国企業だけで構成されているものと違って為替が大きく動くことによってファンドの値動きが損失を被るという可能性は低くなります。

しかしながら、バイオなり、SRIなりその時のタイムリーな話題に沿ったテーマから最も恩恵を受けそうな銘柄を集めているので、そのテーマのブームが去ると、買い手は極端に少なくなります。またバイオ関連のように、未来永劫このテーマが廃れることはないと思われていても、例えば儲けすぎの企業に規制をかけるなど、政策運営上の思惑から利益に対して下押しプレッシャーがかかることがあります。医薬品については特に国が薬価のガイドラインを定めるので、国のさじ加減でも収益は上下します。

SRIについても、社会的貢献度が高い企業(例えば環境に配慮している、ゴミの排出量を抑制している、等)は、顧客から支持されて増収増益を達成するとの期待から当初は注目を浴びましたが、収益へ直結するわけでもないと思われたか、いつのまにか蚊帳の外に追いやられた状態になりました。つまり、市場参加者がこのテーマに基づいた銘柄の売り買いを積極的に行わなくなったので売買高が先細ってしまったのです。

あまりにも注目を集めると、必ず反動が来る

このように、あまりにも、旬な話題に基づいたコンセプトによるファンドに投資をすると、地域的には分散されているかもしれませんが、テーマが偏っているため、売買高が急激にしぼんでしまうリスクを伴います。幅広く分散されているし、何十もの銘柄が組み込まれているから大丈夫と思うのは短絡的で、降り時を逸してしまうと、まったく取引が成立しない状態が続き、収益を上げた分がすべて帳消しになったうえで塩漬けになってしまいます。現に今国内では6,000ほどのファンド(投資信託)が上場されていますが、休眠ファンドの数も非常に多いことが問題視されています。

早めに「一抜けた!」。後ろ髪を引かれるぐらいでちょうどよい

そうは言っても、今のAIやIoT関連のファンドは全世界のファンドの上げを背負っているほどのパワーがありますから、乗らない手はないでしょう。リスクをとらないリスクは100%です。怖がっていては収益を獲得する機会はゼロ%という意味です。

ですが金融商品による運用の格言である「まだはもうなり、もうはまだなり」の通り、特にテーマものについては、通常のインデクスファンド以上にブームが去ってしまうと、処理のしようがありません。NYダウや日経平均(日経225)などはその国全体の金融市場を凝縮したインデクスファンドであれば、「国の経済が盛り返せば」また上昇するという可能性があります。市場参加者もその期待のもとに売り買いを行っています。

これに対して、テーマものファンドのテーマがまた新たにスポットライトが当たったとしても、10年前のITと今のITでは主役もコンセプトも違うことからもわかるように、ファンドの設計図そのものを大々的に取り換えなければならないケースがほとんどです。全く別のファンドを新たに企画・設計することになるのが一般的です。10年前に旬だったファンドを掘り起こすよりも新しいファンドを組成したほうが手っ取り早いのです。したがって、収益が購入時より○○%獲得できたら、利益確定すると、ご自身でしっかりしたルールを決めて臨むようにすることが大切です。

柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表
大学を卒業後、日本生命保険に入社。保険営業に従事したのち渡米。米国アリゾナ州、Thunderbird School of Global ManagementにてMBAを修得。帰国後外資系証券会社、投資顧問会社にてアナリスト、日本株ファンドマネジャーを経験。出産・母親の介護を機に退職。三人の子育ての中で、仕事と主婦業の両立を図るべく独立。キャリアカウンセラー、CFPの資格を活かしつつ、それぞれのライフステージでのお金との付き合い方を、セミナーや個別相談により紹介。子どもの教育費・留学費から介護に至るまで経験を交えた実行可能な幅広いストライクゾーンで対応。
http://www.caripri.com



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