更新日: 2019.01.10 その他資産運用

それって大丈夫!?知らない人が陥りがちな投資行動

執筆者 : 小沼鮎子 / 監修 : 福島えみ子

それって大丈夫!?知らない人が陥りがちな投資行動
陥りがちな投資行動シリーズ、第3弾です!
 
皆さんは買い物をしているときに、特に買うつもりがなかったものでも「定価より○割引!」という表示を見て、「そんなに安いなら買わなきゃ!」と思うことはありませんか?
 
今回は、株式投資でも陥りやすい、そうした心理行動について考えてみます。

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小沼鮎子

Text:小沼鮎子(こぬま あゆこ)

ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者

大学を卒業後、大手証券会社に就職。約10年間、個人のお客様への資産コンサルティング業務に主に携わる。勤務中に、資産コンサルティング業務の延長線上に、ファイナンシャルプランナーという仕事があることを知り、お客様に寄り添ったコンサルティングができることに共感し、資格を取得。アメリカでは資産管理の一生涯のパートナーとして時には金融に詳しいお茶飲み友達として身近な存在であるファイナンシャルプランナーという仕事を、日本でも普及させたいという志を持って一般の方への情報発信をしている。

福島えみ子

監修:福島えみ子(ふくしま えみこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

http://mdtheory.co.jp/

その値段、何を基準にしていますか?

「アンカリング」という言葉をご存じでしょうか。アンカリングのアンカーは船の錨(いかり)のことです。
 
そして、船を錨で一度固定したら容易に動くことができないということから、先に見たものを基準(アンカー)に、その後の判断が強く影響されるということを、行動経済学ではアンカリングと呼んでいます。
 
冒頭にお話しをした「定価より○割引!」というのは、定価を掲げることによって、それを基準に高いのか安いのかを判断しているということになりますね。
 
このように、人は一度提示された値段を基準に、その後の判断をしてしまう傾向があるといわれています。
 
でも果たしてその価格は本当に安いのでしょうか。
 
定価を基準にしている例を考えてみます。例えば何年も前に発売した型落ちモデルなど、そもそも現在の商品価値が定価の値段に見合わない場合がありますね。
 
こういった場合、定価の値段と比べて安いから買おうと判断するのは、どうもおかしな話になってきます。その商品の現在の価値はどの程度が妥当なのかということを基準に、判断するようにしましょう。
 

株式取引で陥りやすい行動

そして、株の売買をする時もまたアンカリングに惑わされやすい、といわれています。いったいどのようなときでしょうか。
 
例えば買いたい銘柄があるときに、過去の値段に振り回されているケースを考えてみます。狙っていた銘柄が、今年に入ってつけていた安値を下回った時、「こんな安い価格は見たことがない! 今すぐ買わないと!」と即座に飛びつきたくなりませんか?
 
これは、以前に見た安値が基準(アンカー)になっていますね。でも果たしてその値段は本当に安いのでしょうか。一度考えてみましょう。
 
売却するときも同じように、過去の値段に振り回されてしまうことがあります。
 
極端な例を挙げると、基準にしている価格が何年も前の最高値をずっと引きずってしまっているケースもあります。
 
「以前は今の値段の5倍以上あった。その値段にならないと売りたくない」と思っている人、ひょっとするとその高値とは、バブル時代の最高値ではないですか?
 
当時の日経平均の水準や日本の経済環境、そして保有銘柄の業績などは現在とかけはなれているので、同じ銘柄でも当時の高値と現在の価格を比べて判断するのは無理がありますね。
 

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高値覚え安値覚え

株式取引の例をもう少し詳しく考えてみます。
 
相場の格言にも「高値覚え安値覚え」という言葉があるのをご存じでしょうか。「高値覚え」とは過去の高値が忘れられなくて、その高値を超えないと売りたくないと思っているうちに、売り時を逃して損をしてしまうということです。
 
「安値覚え」とは過去の安値を忘れられなく、その水準まで下がらないと買いたくないと買い渋っているうちに、値段が上がってしまい買いそびれるということをいいます。どちらも過去の値段に振り回されていますね。ではどうしたらいいのでしょう。
 
確かに以前の安値や高値も判断の1つに入れなければならないのですが、大切なのは現在や将来に向けたその銘柄の価値が、現在いくらなのかということです。
 
以前の安値を下回っていたとしても、もしかすると業績が落ち込んだという発表があって下がっており、今後も株価は下がり続けるかもしれません。以前の安値をつけていたときと、現在または将来見込める会社の業績や見通しが変わっている可能性があります。
 
同様に、以前の価格を上回らないと売りたくないと思っていたとしても、そこまでの価格に上がる価値が現在その会社にあるのか、一度考える必要があります。
 
買うときも売るときも過去の値段に捕らわれるのではなく、現在から将来へのその会社の見通しを考えたうえで、今の価格が割安だと考えられる時には買い、割高だと感じられる時には売るように心がけましょう。
 
いかがでしたでしょうか。全3回にわたって株式取引で陥りがちな投資行動について考えてみました。すべての話に共通するのは、意思決定をする時に感情を持ち込んでしまうということです。
 
ロボットのようにはいかないかもしれませんが、自分や人の思考の癖を意識することで、「あの時こうしてればよかった……」と悔やむような、もったいない取引を避けられるかもしれません。
 
Text:小沼 鮎子(こぬま あゆこ)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
 
監修:福島 えみ子(ふくしま えみこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表