最終更新日:2019.06.13 公開日:2019.05.08
資産運用

フィンテックで何が変わるのか(2) ロボアドとスマホ証券会社の現状

前回、フィンテックで身の回りにどんな変化が起きるのかについて、主に「キャッシュレス決済」に関することを中心に書かせていただきました。
 
今回は、ロボアドバイザー(ロボアド)、スマホ証券会社など、資産運用に関するフィンテックの現状について考えてみたいと思います。
 
西山広高

執筆者:

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
http://www.nishiyama-ld.com/

詳細はこちら
西山広高

執筆者:

執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)

ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役

「円満な相続のための対策」「家計の見直し」「資産形成・運用アドバイス」のほか、不動産・お金の知識と大手建設会社での勤務経験を活かし、「マイホーム取得などの不動産仲介」「不動産活用」について、ご相談者の立場に立ったアドバイスを行っている。

西山ライフデザイン株式会社 HP
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ロボアドとは

ロボアドは、いくつかの質問に答えることで、投資する人のリスク許容度などを分析・判定し、最適なポートフォリオ(資産配分)を提案してくれるシステムです。ひとくくりにロボアドと言いますが、大きく「アドバイス型」「投資一任運用型」二つに分類されます。
 
ロボアドは投資家にいくつか質問を行い、リスク許容度を3~5段階程度に分け、「現代ポートフォリオ理論」に基づいて、複数の資産に分散投資し、リスクを抑えながらリターンを得るためのものです。
 
分散投資運用を行うには、資産配分、投資対象の選択、入金、発注、積立て、見直し、リバランス(再配分)を行う必要があります。
 
「アドバイス型」は、資産配分と投資対象の選択を行い、「あなたに合った投資信託はこれです」と、金融商品を紹介し購入を促すのに対し、「投資一任運用型」ではさらにその先の「預けた資産を自動的に運用する」ところまで行ってくれることが魅力です。
 
「アドバイス型」は、さまざまな金融機関等が無料で提供していますが、その機能は主に「投資信託などの金融商品の紹介」がメイン。多くの金融機関が「営業ツール」として使っていると言えます。
 
「投資一任運用型」では、運用管理などの手数料はかかりますが、自動的に配分を決め、リバランスもしてくれるので、手間をかけずにリスク許容度に応じた投資が可能になります。
 

ファンドラップとの違い

一任投資運用型のロボアドと似たサービスに「ファンドラップ」があります。
 
主に大手の金融機関(銀行や証券会社)が窓口で取り扱っていますが、富裕層向けサービスと位置付けられ、最低投資金額が300万円程度以上(各金融機関によって異なります)などに設定され、手数料も3%程度と高めです。
 
長年の取引がある金融機関に、手間をかけずに運用を依頼するということであればよいですが、ロボアドの方が手軽に始められ、手数料も安いので、新たに投資を始める20~40代の投資家には訴求しにくい商品と言えそうです。
 

ロボアドを選ぶ基準

ここでは、「投資一任運用型」のロボアドに絞り、その機能について考えます。ロボアドの最大の魅力は「自分自身の投資スキルをあまり気にすることなく、比較的安い手数料で自動的に運用してくれる」ことです。
 
すでにサービスを開始している主な投資一任運用型のロボアドには
・WealthNavi(ウェルスナビ)
・THEO(お金のデザイン)
・楽ラップ(楽天証券)
・MSV LIFE(マネックス・セゾン・バンガード証券)
・クロエ(エイト証券)
などがあります。
 
ロボアドはAI(人工知能)を活用しています。AIが本領を発揮するには多くのデータを蓄積している必要があります。
 
ある条件を入力し、その条件を満たす人に共通した「傾向」を大量の蓄積されたデータから分析し、判定することができます。一見、全く関係ない質問からその人の価値観を推定する、といったことが得意な機能です。
 
多くのロボアドの質問は投資に対する直接的なものがほとんどです。
 
よくある質問には「株価が1ヶ月で20%下落したら?」
1.投資資産をすべて売却する
2.投資資産を一部売却する
3.何もしない
4.追加投資を行う
 
「あなたの投資に対する考え方は?」
1.とにかく損しないのが大事
2.安全性と収益性のバランスを重視
3.不安定であっても収益性を重視
というものもあります。
 
これらの質問は、どれが正解というわけではありませんが、投資家としての適性や心理、リスク許容度を試す質問だと思われます。アドバイス型のロボアドの一つ「野村のゴールベース(野村證券)」で「投資家タイプ診断」を試した時、面白い質問がありました。
 
「部屋の中央と窓際にソファが置いてあります。あなたはどちらに座りますか?」
「食事はできるが雑音があるファミリーレストランと、静かな図書館。勉強するならどちらですか?」
 
これらの質問で果たして何がわかるのか?と思いますよね。しかし、これこそがAIのすごいところとも言えます。私も、この質問にどう答えたらどんな影響があるのかわかりません。
 
しかし、投資家のタイプによってこのような質問に対する答えに、考え方やリスク許容度に関する何らかの傾向があるということだと考えられます。本当の意味でAIを活用するのであれば「ソファ」や「ファミリーレストラン」のような質問の方が、深層心理を引き出し、性格を分析できるのではないかとも思います。
 
ロボアドでは、質問内容に少し違いはあるものの、これらの条件を組み合わせ、最適な投資方針を導きだそうと試みています。
 

ロボアドは長期投資のためのツール

どのロボアドも少なくとも5年以上の長期投資を前提にしています。すべてのロボアドが投資家の年齢や年収、現在の預貯金の額を質問します。
 
年齢の若い人は長期投資が可能ですし、年収が多い人は余剰資金が多いと考えられます。預貯金が多い場合には、短期的な下落の場合にも日常生活に与える影響が軽微と考えられます。こうした人たちは投資に対するリスクを取りやすくなります。
 
一方、高齢者、低年収、預貯金額が少ない人は安定的な投資を行うべきと判断されるでしょう(これはAIでなくてもできる判断ですが)。
 
購入する金融商品にもよりますが、ロボアドでも、運用管理手数料と信託報酬と税金、海外投信などの場合には為替手数料、一部では売買手数料がかかる場合もあります。
 
長期投資においては、手数料が安く抑えられているほうが圧倒的に有利です。ロボアドの多くは手数料が抑えられており、同様の長期投資手法であるファンドラップなどより有利と言えます。
 

ネット証券の普及とスマホ証券の登場

多くの証券会社がすでにインターネットによる売買や口座の状況、残高の確認などができるようになっています。店舗を持たないネット証券会社もいくつも存在しています。
 
大手の証券会社は、店頭や営業担当者による売買とインターネット経由での売買で手数料に差をつけ、ネットを使えない顧客のニーズには窓口で対応し、重要顧客への情報提供などを行ってきました。
 
今後は、インターネットやスマートホンでの取引が中心になり、店頭や営業担当者経由の取引は減っていくことでしょう。フィンテック、AIはいずれ、証券会社などの金融機関の窓口業務担当者を不要にすると言われています。
 
さらに、最近はスマートホンのアプリでの取引を専業にしている証券会社(スマホ証券)が出てきています。
・One Tap Buy
・folio
・STREAM
などがすでに営業を始めているほか、LINE証券やSBIネオモバイル証券などがサービス開始を準備しています。
 
比較的少額の資金から始められる、手数料が既存の証券会社より安い、他のサービスのポイントなどを投資に回せる、などに加え各社それぞれに特徴を出しています。
 
「One Tap Buy」は米国、日本の厳選した銘柄と数本のETFから投資対象を選び、1000円から始められます。
 
「Folio」は株式投資ですが、株の銘柄ではなくテーマを絞り、そのテーマに関連した株式を組み合わせて購入します。
 
「STREAM」はSNS機能を備え会員が様々な発言をしているほか、売買手数料を無料にするなど、画期的なサービスと言えます。
 
スマホ証券を選ぶときは、どのような投資対象に対応しているかを確認するとともに、サービスの内容、使いやすさも考慮し、自分に合ったものを選択するとよいでしょう。今後出てくるサービスもそれぞれ特徴を出してくると思われ、選択肢は増えそうです。
 

まとめ

投資は経験が重要ですが、ロボアドはそのハードルを下げてくれます。スマホ証券は手軽に少額から株式投資できるのが魅力です。
 
投資に興味はあるものの「何を買ってよいかわからない」「どのように銘柄選定をすべきかわからない」という人は少なくありません。そのような人は、まずロボアドを活用して投資を始めるのは手軽だと思います。
 
さらに、自分で投資対象を選びたいという人は、スマホ証券を活用するのもよいでしょう。フィンテックによって、資産運用が身近になりつつあります。
 
次回は「フィンテックで何が変わるのか」のまとめとして、資産運用が身近になるからこそ我々ひとり一人が備えておきたいことについてお伝えしたいと思います。
 
執筆者:西山広高(にしやま ひろたか)
ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、西山ライフデザイン代表取締役
 

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