公開日: 2020.07.05 資産運用

安全資産にもリスクはある。資産運用の分析で見かける「μ」と「σ」の意味って?

執筆者 : 重定賢治

リスクは、日本語でいう危険という意味ではなく、不確実性という意味です。資産運用をする場合、まずこの意味を理解しておく必要があります。
 
というよりも、これを理解していなければ、確率で覆われている資産運用の世界の意味すら分からず、ドルコスト平均法が素晴らしい、長期投資が当たり前などと誰かに言われてうのみにしたまま資産運用をやり続ける結果に終わってしまいます。
 
必ずしもこれが良くないということではありませんが、金融経済の世界は、ときとして数学を使って分析が行われることが多いため、不確実性の意味について数学的に考えてみたいと思います。
 
 
重定賢治

執筆者:

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

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重定賢治

執筆者:

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

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リスクをグラフで見ると?

下の正規分布のグラフの形は「標準偏差」によって決まっています。いきなり標準偏差といわれても記憶のかなたにあるだけという人も多いかもしれませんが、このグラフの形がリスクを表しています。
 
資産運用の世界では、見方としては、横軸にリスク、縦軸に収益率(リターン)を取り、真ん中にある点線の位置を平均値と考えます。平均的な収益率からどれだけ乖離しているかを示す度合いが資産運用上のリスクを表しています。


 
リスクは「不確実性」という意味ですが、グラフで見ると「平均値からの乖離率」、もう少し柔らかくいうと「平均値からどれだけ離れているかの程度」を示すものです。
 
これを「ばらつき」と呼びます。学校では標準偏差について学ぶ際、よく「偏差値」を題材に習うと思いますが、例えば、クラスの平均点が50点だとすると、真ん中の点線の位置が50点になります。
 
平均点である50点から右側には、60点の人、70点の人、80点の人、90点の人、100点の人が存在し、左側には、40点の人、30点の人、20点の人、10点の人、0点の人が存在します。
 
これが「ばらつき」という言葉のイメージです。一番多い人数は50点を取った人たちですが、それ以外の点数を取った人たちも分散して存在している(分布)という意味です。
 
そして、平均点である50点を基準に見た場合、50点を取った人の「ばらつき」は0で、偏差値は0+50=50となります。資産運用の場合、「ばらつきの大きさ(程度)」を示すものが「リスク」と表現されます。
 
このようなことから、リスクは、平均的でない、平均から外れていること、つまり、確実性が乏しい、不確実なことという意味で使われます。
 
リスクのイメージはなんとなく理解できたでしょうか。標準偏差とは、あるグラフの「平均値からの乖離率」です。標準偏差が小さければ小さいほど、幅が狭い細長いグラフになり、大きければ大きいほど、幅が広いグラフになります。幅が狭ければ当然リスクは小さく、幅が広ければリスクは大きくなります。
 
実際の運用では、平均値を「μ(ミュー)」、標準偏差を「σ(シグマ)」で表します。そしてリスクの度合いは「標準偏差=σ」で表現されます。
 

安全資産とリスク資産の違い

数学的にリスクの意味が分かったら、安全資産とリスク資産の意味もおのずと理解できます。
 
例えば、安全資産とされる預貯金では、今のようなデフレ経済の下では、ほぼゼロ金利が長く続いており、おおよそ、多くの方が金利は何パーセント? と聞かれれば、ほぼゼロと答えると思います。
 
このような状況では、先ほどの正規分布のグラフでは0.0%が平均値となり、右側・左側に広がる分布は、例えば、右側なら0.1%、0.2%、0.3%、左側なら-0.1%、-0.2%、-0.3%と徐々に下がっていくでしょう。
 
とはいえ、普通預金の金利にしろ、定期預金の金利にしろ、ほとんど0.0%に近いため、日本国債の利回りを含めたグラフを作成すると、おそらく急峻な山の形を示すと思われます。
 
これとは対照的にリスク資産について考えると、リスク資産についても、もちろんリスクは存在します。リスク資産は、安全資産と比べて標準偏差が大きいという意味で、安全資産よりもリスクが高いと判断できます。
 
また、安全資産はリスクがないと思われがちですが、このように標準偏差を理解していると、金利の分布状況が異なれば、安全資産といえどもリスクは存在すると判断できます。
 

まとめ

安全資産にも、リスク資産にも、リスクが存在していることが分かりました。それは標準偏差「σ」という形で表されます。
 
運用報告書においても、「μ」や「σ」といった記号が出てくるケースがあるため、「リスク=安全でない=危険」といった解釈をしていると、資産運用を行う上では間違いの元になります。
 
あくまでもリスクは不確実性であり、平均値からの乖離率、つまり、ばらつきを示すということは覚えておきましょう。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)

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