公開日: 2021.01.14 資産運用

家計を会社としてとらえ、投資家の目で見てみよう

執筆者 : 重定賢治

老後のお金を準備しよう。だから、資産形成をしましょう。今やそんな考え方が当たり前のように語られています。確定拠出年金制度や各種NISAが推奨されるのも、その表れといえるかもしれません。
 
でも少し考えてみると、資産形成はそんな小手先の方法論ではなく、むしろ広い意味での家計戦術であることに気がつきます。
 
重定賢治

執筆者:

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

重定賢治

執筆者:

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

狭義の資産形成と広義の資産形成

資産形成を大別すると、「狭義の資産形成」と「広義の資産形成」の2つに分けられるかもしれません。狭義の資産形成は、いわゆる「貯蓄や資産運用」と呼ばれる類いのものですが、広義の資産形成は、それよりももっと幅広い大局的な視点で捉えた「わが家への投資」といえます。
 
貯蓄や資産運用は、家計では資産表における「資産」の中のお話です。預貯金や株式、投資信託などで貯蓄・運用を行い、そこから得られた利益を増やしていくことで、結果的に家計の体力を示す「純資産」を蓄えていくことに寄与します。
 
一方、広義の資産形成であるわが家への投資は、家計全体でお金の流れを把握し、結果的に「純資産」を蓄えていくという「総合的な家計運営術」です。
 

家計を企業のように考えることが広義の資産形成

家計を運営するにあたって、その目的は「純利益」を増やし、「純資産」を高めることにあります。純利益は「収入」から「支出」を差し引いた残りの金額、純資産は「資産」から「負債」を差し引いた残りの金額です。
 
家計力を高めるには4つの視点で捉えることが必要ですが、4つとは「収入」・「支出」・「資産」・「負債」を指します。そして、収入-支出=純利益が増え、資産-負債=純資産が増えれば、家計力はおのずと高まります。
 
純利益を増やすには、(1)収入を増やすか、(2)支出を減らせばいいですし、また、純資産を増やすには、(3)資産を増やすか、(4)負債を減らせばいいわけです。ここで覚えておきたいことは、「純利益=家計の成長性」、「純資産=家計の信頼性」を表しているという点です。
 
収入が増え、支出が減れば、必然的にその差額である純利益は増えます。これは言い換えると、「家計の成長性が高まった」ということができます。一方、資産が増えて、負債が減れば、必然的にその差額である純資産は増えます。これを言い換えると、「家計の信頼性が高まった」ということができるでしょう。
 
この視点がとても重要で、企業経営に照らし合わせてみると意味がよく分かります。家計と企業経営とでは、純利益と純資産の捉え方の順序が逆になりますが、企業経営では純資産という元手を原資に純利益を生み出し、その純利益がまた純資産に戻ってくるという発想になります。
 
純資産の中には資本金と呼ばれる、いわゆる「出資」が含まれています。出資は株主である「投資家」から集めたお金ですが、これらを元にして材料を買い、設備を整え、売り上げをたたき出し、利益を生むといった経営活動を行っていきます。
 
そして、企業の社長も資金を出資している場合、その社長も1人の投資家として企業を支えていくことになります。つまり企業の社長は、経営者としての自分と、投資家としての自分の二足のわらじを履いているわけです。
 
このとき、一投資家である社長が経営者としての自分に問いかけます。
 
「あなたの会社はこのままでいいのでしょうか」、「もっと会社を成長させたいなら、いろいろと方法を考える必要があるのではないでしょうか」と。
 
経営者としての自分は会社の内側にいます。これに対し、投資家としての自分は会社を外側から見ています。つまり、経営者には「主観的な視座」と「客観的な視座」が必要ということですが、このような捉え方は家計運営においても同じといえます。
 

投資家の視点で家計を見てみる

あなたはわが家のあるじです。主であるため、家族のみんなで協力しながら責任を持って家計を管理・運営していく必要があります。
 
このとき、わが家の内側から「収入を増やさないとなぁ」、「支出を減らさないとなぁ」、「資産を増やさないとなぁ」、「負債を減らさないとなぁ」と漠然と考えるかもしれません。は家計を内側からの視点で捉えてしまっているため、どうしても判断の幅が狭まってしまいます。そこで、客観的な視点で捉えるために、もう1人の自分に登場してもらいます。
 
それが、わが家という家計に出資している「投資家」としてのあなたです。
 
あなたの稼ぎによって家計は運営されていきます。つまり、出資した投資資金によって家計が運営されているわけですが、ここでこんな問いを投げかけてみます。
 
「出資金は生かされていますか?」
「もし、生かされていないとしたら、投資家として、株主として、あなたはわが家の経営者としての自分に、どんな言葉を投げかけますか?」
 
例えば、こんなことを考えるかもしれません。
 
「収入としての出資金が少ないから家計の成長力が満たされていないのかもしれない」⇒「転職するか、なにか副業でも検討するか、それとも自分の能力を生かして起業しようか」など、収入を増やす方法を具体的に考え始めるかもしれません。企業にとっては、この部分は売上向上のための戦術ですね。
 
また、「出資金の使い道として、必要のない経費に資金を振り分けているから家計の成長力が乏しいのではないか」と考えるかもしれません。その結果、「基本生活費や住宅関連費、教育関連費、生損保の保険料などの家計支出について、工夫・見直しをどのようにしていくべきか」と考えることになるでしょう。
 
さらに資産や負債についても、投資家の視点で自問自答を繰り返すかもしれません。
 
「毎月上がった純利益をどの資産に振り分け、貯蓄・運用していけば、投資家として評価できるだろうか」、「住宅ローンなどの残債が家計の信頼性である純資産を毀損させている可能性がある。投資家として負債の早期解消を図るには、わが家の経営者である自分にどう提案していけばいいだろうか」と。
 
そして、このような客観的な視点でわが家という企業の経営上の課題を克服し、家計の成長性や信頼性を高めていくことになるでしょう。
 

まとめ

このように、家計を外から見ることで客観的な視座が生まれます。
 
投資家という目線がわが家を客観視させるわけですが、広義の資産形成に必要なのはまさにこれで、この視点があると、家計の成長性である「純利益」をいかに増やせばいいかが分かるようになり、また家計の信頼性である「純資産」をいかに増やしていけばいいかも見えやすくなります。
 
資産形成とは、長期的に純利益を増やし、純資産を高めていくことです。フローとストックという言葉でも語られますが、資産運用などの狭い意味での資産形成は単なる純資産を高めるための手段です。大局的な視点を持ち、純利益を増やし、純資産を高めていくための総合的な戦術を組み立てる過程に、いわゆる資産運用が位置づけられています。
 
確定拠出年金制度や各種NISAにより、資産運用が当たり前の時代になってきました。資産運用とは何か、資産運用をする上で重要なことは何かをあらためて考えてみるのも大切ではないでしょうか。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
 

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