公開日: 2021.02.28 資産運用

それでも株価の上昇は止まらない!? 日銀の行う金融緩和政策の意味とは

執筆者 : 重定賢治

日経平均株価指数がなぜ、こんなにも上昇し続けているのか。
私たちにとって、この現象は不可解なものに映るでしょう。
 
単純に新型コロナウイルス感染症拡大による経済の減速がワクチンの接種によって落ち着きを取り戻し、今後は回復に向かっていくだろうと考える投資家が多いからというのがその主だった理由かもしれません。
 
しかし、その背景にあるのは、大規模な金融緩和政策であると考える投資家が多いことも事実でしょう。
 
重定賢治

執筆者:

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

重定賢治

執筆者:

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

日銀の金融緩和政策の主な内容

金融緩和政策について説明するにはかなり紙面を割く必要がありますが、事の本質を分かりやすくするために、平易な文章でまとめていきたいと思います。
 
2020年4月、日銀は金融政策決定会合において「金融緩和の強化」を決めました。
これはかなり大きなニュースになりましたが、マーケット関係者や投資経験を積んだ投資家でなければ、おそらくスルーされた内容かもしれません。
なぜ、このニュースが注目を浴びたのかというと、その内容が今まで行っていた金融緩和政策よりも大きく踏み込んだ内容だったからです。
 
金融緩和政策は、原則的に、景気の悪化を食い止め、回復軌道に乗せるために行うものです。
方法としては、例えば金利を下げたり、市中にお金を流し込んだり、とにかく、世の人々がお金を多く使うことで経済が回りやすくなる環境を整えることを目的に行われます。
 
2020年4月から行われている金融緩和の強化は、主に次のような項目が柱になっています。

(1)CP・社債など買い入れの増額など
 
(2)新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの拡充
 
(3)国債のさらなる積極的な買い入れ

CPはコマーシャル・ペーパーのことで、いわゆる約束手形です。約束手形は企業にとっては短期的な資金の決済に使われますが、新型コロナウイルス感染症拡大による経済環境の急変で企業の行う決済業務に支障が出ないよう、日銀が買い入れ額を増額させました。これと同じく、企業の社債についても日銀が買い入れ額を増やしています。
 
また、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペですが、これは簡単にいうと、融資の拡大です。新型コロナウイルス感染症拡大により企業が事業を継続するのが難しくなる恐れがあるため、金融機関により積極的に融資を行わせる代わりに日銀が支援するといった目的があります。
そして、国債をさらに多く買い入れることが決まりました。国債の買い入れは、例えば、市中、つまり、マーケットで取引されている国債を日銀が買うことでマネーを市中に供給するという試みです。
 
いずれにせよ、この3つの方法は、企業に流れるお金の量を減らさない、または、家計に流れるお金の量を減らさないために、これまで以上に強化された内容となっています。
中央銀行としての日銀の役割は物価と雇用を金融面から支援し安定させることです。その方法論がこのような3つの方法で、世の中に流れるお金の量を減らさないために日銀が調整弁となって働いてくれています。
 

金融緩和政策の数値的な意味とは

ここまでが2020年4月から始まっている金融緩和政策の主な内容ですが、このような資金供給は実体経済だけでなく、株式市場といった資産市場にとっても下支えとなっています。
つまり、日銀が投資環境を整えてくれているわけですが、その根拠になっているのが「金融市場調節方針」と「ETFおよびJ-REITの買い入れ方針」の2つです。
 
これも話が難しくなるのでポイントを押さえるようにしますが、この2つは、先ほどの3つの方法をうまくかじ取りするための目安のようなもので、金融市場調節方針は金利を、ETFおよびJ-REITの買い入れ方針はマーケットに流し込むお金の量について目安を示しています。
先に結論をいうと、金利は低く抑えます、ETFやJ-REITはたくさん買いますということなんですが、具体的には次のような目安で行われています。
 
(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
〇短期金利
日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
〇長期金利
10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けずに必要な金額の長期国債の買い入れを行う。
 
(2)ETFおよびJ-REITの買い入れ方針
ETFおよびJ-REITについて、当面はそれぞれ年間約12兆円、年間約1800億円に相当する残高増加ペースを上限に、積極的に買い入れを行う。
 
(1)については、日銀が金利を意図的に低い水準で抑えますといっているわけですが、これは、企業や家計にとっては、借入金利が低くなることを物語っています。
短期金利は、無担保コールレートといった政策金利がもともとあるのですが、これを▲0.1%に抑え込み、また、長期金利である10年物国債の利回りをゼロ%程度の水準で維持するといっています。
 
景気が悪いときやこれから景気をよくしていこうというとき、つまり、金融緩和政策を行う際の金利は、通常、短期金利<長期金利という関係で推移していきます。
短期金利は今すぐにでもお金を借りたいという人にお金を貸し出すときに適用される金利、長期金利は将来に向けて設備投資などのためにお金を借りたいという人など向けにお金を貸す際に適用される金利です。
 
このため、貸出期間の短い金利(短期金利)を貸出期間の長い金利(長期金利)よりもあえて極端に低く設定することで企業や家計の資金ショートを防ぐことが狙いとなっています。
その目安が、短期金利では▲0.1%、長期金利ではゼロ%程度ということです。
要するに、日銀は、物価がある程度上がってくるまでは金利を低く抑え続けますといっているわけです。
 
そうなると企業にとってはプラスです。資金調達のコストが抑えられるため、新型コロナウイルス感染症拡大でダメージを受けていない企業の場合、余計に利益率が高まりやすくなります。
 
金利面から見ると、株式市場にお金が流れやすくなる背景はここにありますが、次の(2)については、その理由として、より直接的な要因といえるでしょう。
ETFは上場されている投資信託です。また、J-REITは不動産投資信託のことです。
 
これを日銀が買い支えているわけですが、その金額がそれぞれで年間約12兆円、そして、毎年の残高増加ペースを上限で1800億円とするということなので、巨額な日銀マネーが株式市場や不動産市場を買い支えていることになります。2020年3月までは、この目安が半分であったことを考えると倍増です。
久しく日本の大企業の株主は日銀であるといわれているのはこういうことをいっていますが、このような投資信託の買い入れを日銀が行っているため、日本の株式市場が異様なほど活況を呈しているのはある意味うなずけます。
 

まとめ

このように見ていくと、1994年に始まった金利の自由化が、つまるところ、今日のように巨額なマネーで資産市場を支えているという構造的な問題に発展しているようにも見受けられますが、おそらく、当初はここまでの事態を想定していなかったのではないでしょうか。
日銀の肩を持つわけではありませんが、むしろ、バブルの崩壊からいかに経済を回復させるかで試行錯誤を積み重ねた結果、結局、長期化したデフレからなかなか抜け出せず、今に至っているように思います。
 
果たしてこのような状況は是正されるのか。
ここが最も気になる点ですが、1994年から今年で27年目、この国ではひょっとしたら金融政策に頼らない経済運営はもう不可能なようにも思えます。
そう考えると、今のような株式市場は、長期的に見て大きな揺れは伴うものの右肩上がりで持続することになるのでしょうか。
株式市場の持続的な開発目標が仮に存在するとするならば、その意味が一体何なのか、考えさせられます。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
 

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