更新日: 2021.03.12 その他資産運用

超長期上昇相場が終わるストーリーを考えてみる

執筆者 : 重定賢治

超長期上昇相場が終わるストーリーを考えてみる
リーマンショック後、アベノミクスを経て、2021年2月15日(月)、日経平均株価指数は3万円を突破しました。この背景には大規模な金融緩和政策がありますが、この状況がいつまで続くのかといった話題が紙面をにぎわすようになっています。
 
皆さんは、この状況をどのように考えているのでしょうか。人によってはまだまだ続く、逆に、このような実体経済の伴わない状況はいつか終わる、おそらく意見が二分されているように思います。

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重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

株価の上昇局面がいつまで続くかは、金融緩和政策がいつ変更されるかという話

前提になる話として、まず「期間」の話をします。
 
株価は株式の値段のことだというのは誰でも分かりますよね。だから、株価が上昇する、株価が下落するといった表現で株式市場では株価を中心に見ていくことが一般的ですが、実をいうと、この見方は不十分で、期間、つまり、時間軸というチャート上の横軸も同時に見ていく必要があります。
 
株価の上昇局面がいつまで続くかという話なので、この文章では「株価」と「期間」の2つが話題になっています。
 
今のように株式市場が活況を呈している理由には、単純に新型コロナワクチンの普及により、実体経済が回復するだろうという期待があります。
 
その背景に大規模な金融緩和政策による潤沢なマネーの供給があるわけですが、株価の上昇局面がいつまで続くかという話題の焦点は、つまるところ、この大規模な金融緩和政策がいつ終わるかについていっています。
 
チャート上の縦軸にある株価は、極端な考え方をすると、横軸の時間を無視するなら、潤沢な資金供給のおかげでおそらく一方的に上がり続けるでしょう。
 
しかし、横軸の時間を伴って株価は動くため、いつ金融緩和政策が終わるのかを考慮しておく必要があります。そして、株価と時間で構成される角度、つまり、傾き(微分)の程度によってトレンドの転換点が決まることになります。
 
傾きの話をすると数学的な話題になってしまうため、ここでは割愛しますが、要するに、金融緩和政策がいつ終わるのかを模索することが、株価の上昇局面がいつまで続くかという問いに必要不可欠であることは前提として知っておく必要があります。
 

金融緩和政策を終えるための目安

日本の場合、物価がある程度回復するまでは金融緩和政策を維持していく方針です。
 
現状、日本の金融緩和政策の中身は、2020年4月に始まった「金融緩和の強化」というタイトルのもと語られていますが、具体的には、(1)CP・社債など買い入れの増額など、(2)新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの拡充、(3)国債のさらなる積極的な買い入れ、の3つの方法が柱になっています。
 
これら3つの方法を維持するかどうかの目安として、「金融市場調節方針」と「ETFおよびJ-REITの買入れ方針」が決定されていますが、内容としては、(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)による金利水準、(2)ETFおよびJ-REITの買い入れ額が変更されました。
 
これらについて、意味を詳しく説明するとかなり難しくなるため割愛しますが、ポイントを整理してみます。
 
(1)については、短期金利を▲0.1%水準に保ち、長期金利(10年物国債利回り)をゼロ%程度で維持するとしています。
 
(2)については、ETFとJ-REITの買い入れ額をそれぞれ年間約12兆円、年間の残高増加ペースの上限を約1800億円とするとしています。要するに、金利を低水準に抑え、資産をたくさん買い入れることを今後も続けるということです。
 
気になるのは、この方針をいつまで続けるかですが、もともと、アベノミクス以来、物価安定の目標を2.0%としていて、これが安定的に持続するまでとなっていますが、これが現実的には難しいため、季節調整済みの消費者物価指数(前年比)の上昇率(実績値)が安定的に2.0%を超えるまでマネタリーベースを拡大していくことを追加しました。
 
要するに、物価の目安として2.0%というのがキーワードになっています。
 
日本の物価は、アベノミクスが始まって以来、安定的に2.0%を超え続けることはいまだに実現されていないため、かなりハードルが高いだろうと推測できますが、このような目安に達するまで金融緩和政策を維持するとするならば、金融政策が変更されるタイミングは相当後の話になるだろうと予測できるかもしれません。
 

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金融緩和政策は終えられるのか

これに、先ほどのチャート上における縦軸:株価、横軸:時間の話を絡めると、極端な想定として、実質的に金融緩和政策が終わらないシナリオすら考えられてしまうため、株価は一方的に右肩上がりになる可能性が高いといえてしまうかもしれません。
 
つまり、日本の場合、物価がなかなか上がりにくく、金融緩和政策が効きにくくなっている可能性があるため、抜本的な政策転換が必要な段階に来ている可能性があるように考えられます。
 
仮にそうであるとすると、この場合、景気を良くするために今のような金融緩和政策に頼っているだけでは駄目だということになります。
 
財政政策により財政出動の規模を拡大したり、今後のコロナ収束に向けて消費活動を後押しするような政策を積極的に打ち出したり、また、増税をせず、老後の社会不安を増幅させるような社会保障制度を抜本的に見直すことが考えられますが、これらは、日銀ができることではなく、あくまでも政治マターになります。
 
ということはつまり、これらの政治的に行われる何らかの法制度改正を伴う金融政策の見直しならば、株価は長期的に上昇し、逆に、これらが伴わないならば、効果に限度が見えてきている金融緩和政策を見直そうとしても、実体経済の回復は見込みにくいことから、この点についてマーケットに嫌気が差し、どこかの時点で株価が売られやすくなる可能性があるかもしれません。
 
現実的には、しばらくは現状維持で進んでいくと思いますが、日銀が金融政策の点検を行い、その結果、将来的に金融政策をどのようにするかが伝わってきたら、ある程度の方向性が見えてくるのではないでしょうか。
 

まとめ

株価が上昇する理由は、例えばSDGsと呼ばれる持続可能な開発目標に関連する投資が政策的に推し進められていることを踏まえると、ここにもマネーが流れていると判断できます。このため、ここ10年でさらに優良企業の時価評価額は増加していくだろうと考えられます。
 
こういった政策的な投資も存在するため、一概に株価がどうなるとは言いにくい側面もありますが、日本の場合は、前述の話がストーリーとして考えられるかもしれません。
 
東京株式市場の主なプレーヤーは、今や外国人投資家と日銀になっています。この状況が今後、どのように変化していくのか、日本の株式市場にとっては、投資家は、この点も注目しておく必要があるのではないでしょうか。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
 

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