更新日: 2021.08.10 資産運用

額面金額ではなく、発行体以外の株式で戻ってくることもある不思議な債券

額面金額ではなく、発行体以外の株式で戻ってくることもある不思議な債券
債券は満期時に額面金額が戻ってくるもの、という認識が一般的かと思います。ですが、実は額面金額ではなく、発行体以外の株式で戻ってくることもある不思議な債券も、この世には存在します。
 
今回は「債券」なのに「株式」で返ってくるかもしれない、「EB債(他社株転換可能債)」について取り上げます。
 
 
FINANCIAL FIELD編集部

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EB債とは?

まず、EBとは英語でExchangeable Bond=転換可能な債券という訳になります。この「転換可能」という部分が、特定の条件になった場合の満期時に、債券が株式に転換されて償還されるという仕組みを表しています。
 
大きな仕組みとしては「Bond=債券」と名付けられている通り、定期的に利子が支払われ、満期には額面金額が償還されます。
 
しかし、条件によっては他社株式で償還する場合や、早期償還をする場合などのさまざまな仕組みを付加することで、支払われる可能性のある利率が上がる一方、通常の債券よりも損失が発生する可能性も大きくなります。EB債は、「仕組債」の一つとして存在しています。
 
日本証券業協会も一時期、EB債に関するトラブルが多かったことから、Webサイトでも解説しています。
 

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EB債の仕組み

EB債は、表面的には債券のような性質を根底に備えています。提示される金利が高く、一見とても魅力的な部分も持っていますが、注意すべき点は、金利が高くなる仕組みです。
 
EB債の仕組みは、債券でありながら株価に連動するという性質を持つため、大変複雑になっています。その代償として、高い金利を得る可能性がありつつも、株価の変動によっては満期償還が株式となる、早期に償還される、といったデメリットも兼ね備えているのです。
 
実際に販売されるEB債は、「〇〇社 2019年1月31日満期 他社株転換条項・早期償還条項付 円建て社債」というような名前が付けられています。債券でありながら、株価に連動するため、さまざまな結末を迎えます。
 
「額面金額1万円、発行価格1500円、早期償還価格1575円、基準価格1050円、利率(年利)6%、対象株式△△社」という例を用いて解説します。
 

 
A 早期償還価格に到達
図のAのように、早期償還価格に株価が到達した場合は、債券の額面金額と、その期間の金利(1.5%が2回)が強制的に支払われ、それ以降は債券が消滅します。
 
B 基準価格にも早期償還価格にも抵触しない
図のBのような値動きの場合は最も購入者に利益が大きくなります。満期時には額面金額が戻り、それまでの判定期間ごとに金利を受け取ることができます。
 
C 基準価格に抵触
Cの場合は大きく損失を出す可能性があります。その理由は、基準価格に抵触した場合、満期に現金でなく株式で償還されるためです。
 
株式なら値上がりを期待できると思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、EB債で注意すべきなのは、株式の数量を計算するのは「発行価格」、つまり、販売時の値段で計算されるということです。そのため、株価が値下がりした後も、数量は変わらずに損失を抱えた状態になってしまうのです。
 
今回の例では、基準価格を下回り1000円で満期を迎えたとします。その場合、額面金額1万円なので、10000円÷1000円=10株が帰ってくるような印象を受けます。しかし、発行価格で計算されるため10000円÷1500円=6.66株になってしまうのです。(端数分は現金の場合あり)
 
確かに利息はBと同様、毎回受け取ることができますが、利息の合計額よりも損失額の方が大きい場合が多数になります。
 
その株式が上昇すれば、最終的に利益という可能性もゼロとは言い切れませんが、EB債を保有している期間で大きく値下がりした銘柄が、その後V字回復するという状況は極めてまれではないかと考えられます。
 

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仕組債は非常に複雑

仕組債は債券に分類されるものの、利益は限定的、損失は無制限のハイリスクなものです。債券=元本保証という先入観と、高い利率に飛びつくと予想した通りの結果にならず財産を毀損することになりかねません。
 
投資をするときは、自分が投資する対象をしっかり理解してから、が大原則です。理解できないものには手を出してはいけません。今後投資がより重要になる時代です、一人ひとりが知識をつけて、将来につなげていきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部