保育士と幼稚園の先生では違う資格が必要って本当? |ファイナンシャルフィールド

保育士と幼稚園の先生では違う資格が必要って本当?

終更新日: 2020.07.31 公開日: 2020.07.20

米山伸郎

執筆者: 米山伸郎

中小企業診断士。国家資格キャリアコンサルタント。通訳案内士(英語)。
1958年生まれ。1981年東京工業大学卒業。同年三井物産入社。航空・防衛部門を経て2008年同社ワシントン事務所長就任。   2013年日賑グローバル株式会社設立、代表取締役就任。中堅・中小企業の海外展開を支援中。その一環で外国人材を日本企業に紹介の上、定着と戦力化を図るカウンセリングと研修を提供。   詳細は外国人材アクセス.com (http://www.gaikokujinzai-access.com/) 参照。


保育士になるにはどのような資格が必要でしょうか。幼稚園の先生とは違うのでしょうか。保育士の資格についてみていきましょう。

保育士資格について



保育士資格の種類
保育士の資格には何種類あるかと聞かれて、即答できますか? 実は、保育士の資格は1種類しかありません。その資格の名称は、ズバリ保育士です。

保育士資格について
保育士資格は、厚生労働省が所管する児童福祉法の第7節に規定された国家資格です。保育士の資格は国家資格であるため、国家試験を受けて合格することで得られます。

また、保育士試験を受けなくても、都道府県知事の指定保育士養成施設を卒業すれば保育士の有資格者となれます。

厚生労働大臣が定めた基準によって都道府県知事が実施する保育士試験は、毎年1回以上行われることが規定されています。

試験運営は都道府県知事が指定試験機関に委任しており、現在は前期と後期の年2回実施されています。現在の指定試験機関は、一般社団法人全国保育士養成協議会となっています。


保育士資格が必要になる業務を行う者、つまり保育士について、児童福祉法の第18条の4では以下のとおり定めています。

“この法律で、保育士とは、第18条の18第1項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。”

第18条の18第1項の登録とは、簡単にいえば保育士の有資格者が保育士として働くための登録のことです。つまり、国家試験に合格して資格を得ただけでは保育士として働くことはできません。


受験資格、どうやって取るの?

保育士試験の受験資格は以下のとおりです。

保育士試験の受験資格
  • 学校教育法に基づく大学を卒業した者
  • 学校教育法に基づく大学に2年以上在学して62単位以上取得済みの者
  • 上記以外で学校教育法に基づく大学に在学中の者
    従い、在学2年に満たなかった場合や2年以上在学しても取得単位数が62単位に満たない場合は受験資格がありません。
  • 学校教育法に基づく短期大学を卒業した者
  • 学校教育法に基づく短期大学に在学中の者
    ただし、年度中に卒業できない場合は受験資格がありません。
  • 専門学校卒業者で同校が学校教育法に基づく専修学校であることと修業年限2年以上の専門課程を卒業したことの2点を満たした者
    ※上記の2点のうち1つだけ満たす者は高校卒業年月日によって受験資格の有無が分かれます。
  • 専門学校在学者で同校が学校教育法に基づく専修学校であることと修業年限2年以上の専門課程に在学していることの2点を満たした者
    ただし、年度中に卒業できない場合は受験資格がありません。
    ※上記の2点のうち1つだけ満たす者は高校卒業年月日によって受験資格の有無が分かれます。


その他の学校を卒業した人の場合は、細かい条件によって受験資格の有無が分かれます。

また、勤務経験によって受験資格を得る方法もあります。高校卒業者の場合は、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設での勤務期間が2年以上で2880時間以上の総勤務時間があり、児童等の保護または援護に従事していれば受験可能です。

高校を卒業していない場合は勤務期間が5年以上、総勤務時間が7200時間以上と厳しくなります。この条件に該当しない場合でも受験資格を得られるケースはあります。

保育士試験の受験資格として年齢は問われていません。従って、上記の受験資格要件のいずれかを満たせ次第、受験は可能です。

試験会場

試験会場は各都道府県に1ヶ所以上設けられます。北海道と沖縄では複数の試験会場からの選択が可能です。他の都府県を受験申請地とした場合、試験会場はそれぞれ1ヶ所のみです。

 

受験申請地を現住所のある都道府県にする必要はありませんが、筆記試験と実技試験は同じ都道府県での受験となります。申請後に受験申請地の変更はできませんので注意しましょう。また、都道府県知事による受験資格認定を受けた人は、当該都道府県での受験が必須です。

 

試験会場は保育士試験に場所を提供しているだけであり、問い合わせなどは禁止されています。


 

必要書類

受験したい人は受験申請書に加え受験資格等によって異なる必要書類を郵送します。

 

例として、初めて受験する大学卒業者の場合は大学所定の卒業証明書が必要です。同じく高校卒業者で平成3年3月31日以前に卒業した人と平成8年3月31日以前に保育科を卒業した人も高校所定の卒業証明書を提出します。



資格取得スケジュール

1年で合格/2年で合格


保育士試験に合格して資格を取得するまでの期間は人によって異なりますが、1年または2年で合格を目指せる資格試験です。保育士試験は学科試験と実技試験の2本立てで学習すべきことは多いといえます。

一方で、3年間有効の科目合格制度があるため、1回の試験ですべて合格しなくても次回残りの科目を合格することで資格取得は可能です。一気に合格まで進めたい人は1年で、じっくり狙いたい人は2年でスケジュールを組むといった考え方ができます。

独学と通学のどっちがいい?
独学と通学のどちらでやるかは、本人の性格によるところが大きいといえます。

ただし、科目数の多さや実技試験対策も考えると通学にメリットを感じる人も多いでしょう。


保育士と幼稚園教諭の必要資格の違い

必要資格、業務内容の違い


保育士と幼稚園教諭が同じような資格、業務だと思われているケースがあります。

 

しかし、この2つはまったく異なる資格であり業務です。前述のとおり保育士は厚生労働省所管の児童福祉法に根拠を置きます。幼稚園教諭は文部科学省の管轄で、根拠法は学校教育法で第27条に規定があります。

保育士の業務内容は児童の保育と児童の保護者に対する保育に関する指導です。幼稚園教諭の業務内容は幼児の保育をつかさどることで、学校教育法第27条第9項に規定されています。

どちらも保育ですが、対象年齢は保育士が0歳児からで、幼稚園教諭は3歳からです。保育と幼児教育の違いといった方がわかりやすいでしょう。

認定こども園って?

認定こども園は、保育士が働く「保育所」と幼稚園教諭が働く「幼稚園」のよさを一緒にしたような施設です。

保育と教育を一体化して行うことと、子育て支援を目的としています。施設には一体型のものと、保育所機能を備えた幼稚園型、幼稚園機能を備えた保育所型などがあります。


まとめ

■自分の受験資格を確認して合格を目指す

保育士の資格を取得するには保育士試験を受けて合格するか、都道府県知事の指定保育士養成施設を卒業するかの2つの方法があります。多くの人にとって、保育士試験を受ける方が現実的ではないでしょうか。

大卒など一部を除いて受験資格が複雑になっているため、自分の受験資格を確認し、合格に向けて必要な勉強を始めてください。

条件別で転職サイトを探す

「保育士求人」についての新着記事

「保育士求人」についての人気記事

サイト一覧