更新日: 2019.01.10 ライフプラン

主婦だけじゃない 大学生にも適用される103万円の壁

執筆者 : 塚越菜々子

主婦だけじゃない 大学生にも適用される103万円の壁
大学生というと、学業以外は比較的自由な時間が多く、アルバイトやサークル活動などを楽しんでいると思われがちですが、私が大学に入ったとき一番初めに感じたのは「思ったより忙しいな…」でした。とはいえ、中学生や高校生に比べると年間の休みは多いもの。その期間も含めてアルバイトなどしている人も多いのではないでしょうか。

大学生がアルバイトをした場合に税金や社会保険の知識がなく、うっかり扶養から外れてしまうことがあります。アルバイトをする場合、こんなことに気を付けてください。
塚越菜々子

Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
https://mamasuma.com

年間103万円以上働くと、親の税金が上がり、自分も税金を納めることに

子どもを養っている親には、税金が安くなる仕組みがあります。この仕組みのことを扶養控除といいます。あなたが19歳から23歳の場合は特定扶養といってさらに安くなっています。この「税金のルール上、養っている」という基準は、年間のアルバイト金額が103万円以下と決められているのです。
 
あなたの1月〜12月のお給料の合計が103万円を超えている場合、親はこの仕組みを使うことができず、税金が上がってしまう(正確には、安くならなくなる)ことがあります。この状態のことを一般的には「扶養を外れる」というのですね。複数のバイト先がある場合は全部の分を合算して考えます。
 
あなたのアルバイト収入が103万円を超えていることを親が知らなければ、誤ってこの仕組みを使ってしまっている可能性があります。あなたのお給料はアルバイト先から税務署や市町村に報告が行きますから、間違って使ってしまっていた場合は、親が勤める会社に税務署から連絡が行きます。
 
103万円を超える予定の場合、もしくは超えてしまった場合はすぐに伝えましょう。親の税金が上がるとともに、あなたも所得税や住民税を払う必要が出てきます。
 

130万円を超えると、親の保険証が使えなくなる可能性

いま、あなたの保険証は親の会社を通じて発行されていると思います。収入がない、または少ない子どもの保険証は親と一緒に発行されて、それを使って病院にかかることができます。しかし収入が増えると、親と一緒に保険証を発行してもらうことができなくなります。その基準がおおよそ130万円です。
 
ただし、このルールは保険証の発行元が決めているので、誰もが一律というわけではありません。たくさんアルバイトをするようなら、よく確認してください。
 
もし、親のところから保険証をもらうことができない場合、日本人は誰でも保険証を持てるように、必ずどこかの保険組合に加入しなくてはいけないルールになっています。病院に行く、行かないにかかわらずそういうルールになっているのです。ですので、今度は自分でお金を払って加入し、保険証をもらわなくてはなりません。アルバイト先で保険に加入できればいいですが、そうでない場合は国民健康保険という、住んでいる市町村が運営しているものに入る手続きが必要です。
 

自分の税金は勤労学生という制度で安くできる可能性も

103万円を超えて働くと、親の税金が上がり自分も税金を納めることになると書きましたが、一定の学生の場合は勤労学生(※)という制度が使える場合があります。この制度を使うと103万円~130万円までは“自分の税金は”かからなくなります。
 
ただし、103万円を超えた時点で親の税金上の扶養からは外れていまうので、注意が必要です。この制度を使う場合はアルバイト先の年末調整のときに申告するか、もしくは確定申告を行うことで使うことができます。

※国税庁:勤労学生控除
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1175.htm
 
一昔前なら、大学生のアルバイトでそれほど収入を得るということはなかったかもしれませんが、今は最低賃金が上がっています。首都圏など時給が高い場合は大学生であっても時給900円を超えます。長期休みにたくさん働いたり、普段から継続してアルバイトをしている場合は意外に収入が増えるケースも出てきました。
 
社会に出て働く以上、アルバイトであっても「知らなかった」では許されないこともあります。まず親としっかり話し合い、どれくらい働いて平気なのか、よく確認するようにしましょう。そして、現状で自分がどれくらいの収入があるのかについても、バイト代をもらうたびにしっかり確認したいですね。
 
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者