2018.02.27 家計

「共働きVS夫だけ働く」将来的な貯蓄額の差は1000万円以上

Text : 宮出まり / 監修 : 福島 えみ子

「一億総活躍社会」、最近この言葉を耳にする機会が多いのではないでしょうか。

ある海外の研究を基にすれば「日本では、2007年に生まれた子どもの半数が107歳より長く生きる」と推計されているそうです。

人生100年時代が現実味を帯びてきた今、現在の収入の格差だけではなく、働き方までもが将来の収入の格差にもつながることを知ったうえで、人生100年時代を見据えた働き方を選択していく必要があります。

夫婦共働き世帯のほうが、毎月の黒字が6万円も多い

総務省統計局による家計調査年報(平成28年)によると、夫のみが働いている世帯の実収入は498,019円で、可処分所得は400,280円、そのうち消費支出は302,894円で黒字は97,386円となっています。
 


 
一方、夫婦共働き世帯についてみると、実収入は601,524円で、可処分所得は491,058円、そのうち消費支出は331,872円で黒字は159,186円となっています。
 

 
これをもとにすると、毎月の収入の差は103,505円となり、共働き世帯のほうが、収入が多いことがわかりますが、同時に消費支出も28,978円多くなっています。ここで特に注目したいのは、そのうち黒字額の差が毎月61,800円にもなるということです。
 

夫婦共働き世帯のほうが、教育にかける支出が多い

では、消費支出の差28,978円の内訳はどのようになっているでしょうか。
 
それぞれの世帯では、時間の使い方や生活スタイルが違うため、例えば消費支出のうち、夫婦共働き世帯の外食割合5.5%が、夫のみ働いている世帯の外食割合4.9%よりも多くなるなど、消費支出に占める内訳も違ってきます。
 
注目したいのは消費支出の差28,978円のうち、教育に占める費用が、夫婦共働き世帯は26,882円、夫のみ働いている世帯は19,385円となっており、その差は7,497円です。これは消費支出の差額のうち25.9%、つまり1/4以上も占めているということになります。
 

退職までに蓄えられる金額差は?

仮に65歳まで同じ収支で働くと仮定した場合、夫のみ働いている世帯と夫婦共働き世帯では、蓄えられる金額にどれくらいの差が生まれるのでしょうか。
 
本データの世帯主の年齢は、夫のみ働いている世帯は47.1歳、夫婦共働き世帯は46.0歳であるため、65歳まではそれぞれ18年間と19年間とした場合に、夫のみ働いている世帯では約2,104万円、夫婦共働き世帯は約3,629万円とその差は1,525万円となります。(金利は考慮せず)
 
もっと若い年齢から貯蓄をしていると考えると、少なくとも65歳までに1,525万円以上の貯蓄額の差が生まれるのです。
 

もらえる公的年金の金額は、どのくらい違う?

貯蓄額だけではありません。共働きとそうでない場合では、老後の公的年金の受取額にも差が現れます。
 
厚生労働省が発表している「平成28年度の厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、男性の老齢厚生年金受給平均月額は166,863円、女性は102,708円となっています。また女性の老齢基礎年金受給平均月額は52,708円です。
 
このデータから、仮に夫婦共働き世帯が夫婦とも会社等に勤め、厚生年金の受取がある場合は月額269,571円ですが、夫のみ働いている世帯では、夫婦の老齢年金は月額219,571円でその差は毎月50,000円、年換算で60万円の差となります。
 
なぜこのような差が生まれるのかというと、勤めの人が加入する厚生年金は“報酬比例”といって、現役時代の給与額に応じて老齢厚生年金の受取額が決まる仕組みだからです。
 

長生きすると、3,000万円以上の格差が生まれる

仮に、上記年金額を夫婦ともに65歳から90歳までの25年間もらい続けた場合、夫婦共働き世帯では年金収入だけで約8,087万円となり、夫のみ働いている世帯の年金収入6,587万円と比較して、約1,500万円の差が生まれます。
 
もちろんこれは平均額をもとにしていますから、それぞれの実際の公的年金額によっても違います。
 
また、このほかに年金以外に収入がある場合や、住んでいる地域により非消費支出(税金や健康保険料、社会保険料などの強制的な支払いとなる支出のことです)の金額にも違いがあるため、単純ではありませんが概算すると、65歳までの蓄えの差額と合わせ約3,025万円もの差が生まれるのです。当然長生きをすればするほどその格差は大きくなります。
 

人生100年時代を見据えた資金計画を

65歳以降の収入が公的年金のみなど、毎月の生活費をすべてまかなえない場合、不足する分はそれまでに築いた資産から切り崩して生活をしてゆくことになります。
 
高齢夫婦無職世帯の消費・非消費の支出を合計すると月額267,546円ですから、夫のみ働いている世帯の年金収入だけでは毎月47,975円の赤字となり、それまで築いた資産(約2,104万円)から切り崩して生活をした場合、36年間で資産がゼロになってしまいます。
 
これは万一の長期入院や介護が必要になった場合を考慮していない数字です。長生きをすれば、病気や介護にかかる費用も大きくなる可能性が高いので、もっと早い段階でお金の寿命が尽きてしまうかもしれません。
 
将来の年金受取額の減少や物価上昇の可能性も考えると、人生100年時代が現実味を帯びてきている今、現在の収入だけではなく、将来の収入と支出を考えてライフプランニングをしていくことがますます大切になっています。
 
Text:宮出まり(みやで まり)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP認定者、相続診断士
監修:福島 えみ子(ふくしま えみこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表

宮出まり

Text:宮出まり(みやで まり)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP認定者,生命保険協会認定FP、相続診断士

広島大学出身。教育業界で17年間勤務。高校生・予備校生の受験指導、大学生へのキャリア教育を経験するなかで、キャリアと金融教育の必要性を痛感し、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。外資系生命保険会社に勤務し、セミナーでわかりやすくお金の知識を発信するとともに、生命保険を活用した保障、資産形成、相続対策等のコンサルティングを通して、一度きりの人生をより幸せで豊かに生きる、ライフプランの実現をお手伝いしている。

福島 えみ子

監修:福島 えみ子(ふくしま えみこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表

大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。

http://mdtheory.co.jp/

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