最終更新日: 2020.11.20 公開日: 2020.11.22
家計

勤労者(サラリーマン)の副業の実態と留意点とは?

政府の「働き方改革」の影響もあり話題となった勤労者(サラリーマン)の副業が、コロナ禍で一層の拡大方向にあるようです。従来は、抑制的なスタンスの企業側と副業機会を求めたい個人の間にミスマッチがあったのが、昨今では双方のニーズが合うことが多いようです。
 
ここでは、副業をしている人の実体と、副業機会の多い職種、必要なスキルと留意点について考えてみることにします。
 
植田英三郎

執筆者:

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

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植田英三郎

執筆者:

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

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副業・兼業の実態

副業や兼業をする人は増加傾向にありますが、厚生労働省の資料(※1)に基づき所得階層別に見ると、平成29年では、副業をしている人のうち、本業の所得299万円以下が67.3%、300万円以上が32.2%になっています。
 
注目点は、本業の所得が199万円以下の階層と1000万円以上の階層で、副業をしている人の割合が比較的高いところです。これは、少ない収入の人たちが必要に迫られて副業をしている一方で、高いスキルやキャリアを持つ人も、副業での仕事を求められることを示しています。

出典(※1)をもとに筆者が作成
 

個人にとっての副業のメリット

厚生労働省が2020年9月に改訂した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(※2)によれば、副業や兼業をすることによる勤労者のメリットは以下の通りとなっています(一部文言を言い換え)。
 
(1)離職せずに別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、勤労者が自発的にキャリアを形成することができる。
(2)本業で給与を得ながら、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を求めることができる。
(3)収入が増加する。
(4)本業を続けながら、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができ、人脈を広げられる。
 
となっていますが、他にも、定年を意識する必要がなくなる・経営スキルを磨ける・計画力が磨ける・タイムマネジメント力が磨ける・隠れた才能を見つけられるなどの具体的なメリットも挙げることができます。
 

個人にとっての副業の留意点

上記のようなメリットがある一方で、副業には留意点もあります。
 
(1)就業時間が長くなる可能性があるため、勤労者自身で就業時間や健康管理をある程度しなければならない。
(2)職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識することが必要である。
(3)1週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合には、雇用保険などの適用がない場合があることを知っておく必要がある。
 
このほかにも、本業の会社とのトラブル・税金関連の手間・周りの目が気になる・投資などでは損をすることもある、なども挙げられます。
 

副業に関しての企業側の反応・受け止め

コロナ禍以前の2018年の経産省の調査(※3)では、副業・兼業の解禁をおこなっていた企業数は1割未満にとどまっていました。ところが、コロナ禍で大手企業が副業人材を募集する動きが目立ってきています。
 
Yahoo、ライオン、ユニリーバ・ジャパン、ダイハツ工業、三菱地所、ヤマハ発動機などがニュースに出ていますが、神戸市のような自治体も副業職員を募集しました。
 
直近の正確な公的調査データはありませんが、大企業も、自社の社員を副業で流失させないというこれまでの副業に対する方針から、低コストで即戦力を確保するために副業を活用するという方向に転換したところが相当あると思われます。
 

ニーズが多い副業と必要とされるスキル

副業の種類は50以上あるいはそれ以上もあるといわれており、その区分けのしかたもさまざまですが、ここでは代表的なものを5つに分けてみました。

分 類副業となる職種
PC・IT系プログラミング、Webデザイン、ライティング、データ入力など
クリエイティビティ(創作系)動画制作、オンライン講師、ハンドメイド作品販売など
知識集約系コンサルティング、翻訳など
自営系投資、アフィリエイト、商談アポ設定など
労役提供(外での)系デリバリー、ポスティング、カメラマン、ミステリーショッパー(覆面調査員)など

表は筆者が独自に作成
 
上記のような副業や兼業をする際に求められるスキルとしては、PCスキル・交渉力・リーダーシップ力・プレゼンテーション力・企画提案力・ITスキル・プロジェクトマネジメント力・データ分析力などが挙げられるでしょう。
 
その他にも必要なスキルはさまざまあるのでしょうが、副業で成功するためにはまず、資質や取り組み姿勢が重要となります。
筆者の考えでは、「自主性」、「時間管理」、「忍耐力」、この3つが備わらなければ、スキルがあったとしても成功は難しいのではないでしょうか。
 

副業と税金

副業を行った場合には、税金の問題にも留意する必要があります。副業で20万円以上の所得があった場合は、勤労者(サラリーマン)は確定申告をする必要があります。副業によって得る収入の種類は、給与所得(兼業)、事業所得利子所得、譲渡所得、雑所得があります。
 
給与所得の場合は、兼業先から源泉徴収票の交付を受け、確定申告を行うことになります。
 
一方、事業所得の場合は、副業に掛かった必要経費を記録して収支を計算し、確定申告で本業の給与所得と合算して申告をすることになります。利子・株式譲渡・雑所得の場合も同様です。
 

まとめ

もともと、副業や兼業について考える人は少なくなかったのが、今回のコロナ禍でさらに多くの人たちが副業へ踏み出すこととなり、社会の転換のきっかけのひとつになるかもしれません。本業だけで十分な収入が得られなかった人たちの収入を増やせる機会が増えることは、良いことに間違いありません。
 
また、一人ひとりにとっても、副業がその人の大きな転機になることもあります。そのため、機会を逃がすことがないよう、スキルの取得と、世の中の動きをウオッチしておくことも大切ではないでしょうか。
 
[出典]
(※1)厚生労働省「2017年 副業・兼業の現状」
(※2)厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定、令和2年9月改定)
(※3)経済産業省関東経済産業局「兼業・副業による人材の受け入れニーズ調査報告書(抜粋版)」
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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