更新日: 2022.01.11 年収

収入が多くて年金が停止? 年金額に影響しない働き方とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 新井智美

収入が多くて年金が停止? 年金額に影響しない働き方とは?
60歳以降も働くことを考えていて「60歳以降に働いていても年金はもらえるの?」「働くと受け取る年金が減ると聞いたけれど本当?」など不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
 
老齢厚生年金の額と給与や賞与額によっては、在職老齢年金制度により年金の一部または全額が支給停止となる場合があるため注意が必要です。
 
ここでは、在職老齢年金の内容や条件、2022年4月の年金制度改正後の基準などについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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新井智美

監修:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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働きすぎで年金が減る・支給停止となる「在職老齢年金」とは

 
在職老齢年金制度により、次のような場合に厚生年金額が調整されます。

●70歳未満で厚生年金に加入して仕事をする場合
●70歳以上で厚生年金加入が必要な会社で働いている場合

このような場合は、「基本月額」や「総報酬月額相当額」によって、厚生年金受給額の一部、もしくは全額が支給停止となる可能性があります。
 
※基本月額…「厚生年金受給額(年間)÷12」
※総報酬月額相当額…「(標準報酬月額+直近1年標準賞与額)÷12」
 
在職老齢年金制度は、年齢(60〜65歳、65歳以上)によって年金額の減額条件に違いがあります。
 

60歳以上65歳未満の在職老齢年金の条件

 
60歳以上65歳未満の在職老齢年金は、基本月額と総報酬月額相当額に応じて決まります。図表1のように、基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円以下の場合は年金の一部停止または全額停止はありませんが、合計が28万円を超える場合には年金額が減額されます。
 
【図表1】

基本月額と総報酬月額相当額融 年金の支給停止額
基本月額と総報酬月額相当額の
合計額が28万円以下
0円(全額支給)
基本月額28万円以下、
総報酬月額相当額47万円以下
(基本月額+総報酬月額相当額-28万円)×1/2×12
基本月額28万円以下、
総報酬月額相当額47万円超
{(47万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12
基本月額28万円超、
総報酬月額相当額47万円以下
総報酬月額相当額×1/2×12
基本月額28万円超、
総報酬月額相当額47万円超
{47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12

 
例えば、老齢厚生年金の受給額が年間108万円(基本月額9万円)の方が、総報酬月額相当額28万円(標準報酬月額22万円、標準賞与額72万円※月額6万円)の場合、老齢厚生年金支給停止額と一部支給額は、次のとおりです。
 
基本月額は9万円(108万円×1/12)となるため、図表1の「基本月額28万円以下、総報酬月額相当額47万円以下」に該当します。

●支給停止額:(28万円+9万円-28万円)×1/2×12=54万円(月額4.5万円)
●一部支給額:108万円-54万円=54万円(月額4.5万円)

 

65歳以上の在職老齢年金の条件

 
65歳以上の在職老齢年金も、基本月額と総報酬月額相当額に応じて、年金が一部または全額停止となります。基本月額と総報酬月額相当額の条件は図表2のとおりです。
 
【図表2】

基本月額と総報酬月額相当額 年金の支給停止額
基本月額と総報酬月額相当額の
合計額が47万円以下
0円(全額支給)
基本月額と総報酬月額相当額の
合計額が47万円超
(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2×12

 
例えば、老齢厚生年金の受給額が年間120万円(基本月額10万円)の方が、総報酬月額相当額41万円(標準報酬月額32万円、標準賞与額108万円(月額9万円))の場合、老齢厚生年金支給停止額と一部支給額は、次のとおりです。
 
基本月額は10万円(120万円×1/12)となるため、図表2の「基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円超」に該当します。

●支給停止額:(41万円+10万円-47万円)×1/2×12=24万円(月額2万円)
●一部支給額:120万円-24万円=96万円(月額8万円)

 

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法改正により2022年4月から支給停止基準が緩和

 
年金制度改正法により、2022年4月から60歳以上65歳未満の方の在職老齢年金の支給停止基準が緩和されます(図表3)。
 
【図表3】

現行の支給停止基準 28万円
2022年4月からの支給停止基準 47万円

 
2022年4月からは、現行の65歳以上の在職老齢年金の支給停止基準と同じ基準(47万円)まで緩和されます。改正前と比べて、60歳以上65歳未満の方がより年金減額されにくい制度へと変わります。
 

改正後、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下だと年金は減らない

 
在職老齢年金制度により、老齢厚生年金の額と給与や賞与に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合があります。現行の制度では、在職老齢年金の対象者で60〜65歳未満の方は、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円超、65歳以上の方は合計額が47万円超となると、年金の一部または全額が支給停止となります。
 
しかし、法改正後2022年4月からは基準が緩和され、60〜65歳未満、65歳以上どちらも基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えると一部または全額が支給停止です。
 
60歳以降も働く予定の方は、改正前と改正後で一部・全額支給停止の基準が変わりますので、よく確認しておきましょう。

 
出典
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
公益財団法人生命保険文化センター 在職老齢年金について知りたい
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員