更新日: 2023.05.10 年収

専業主婦がパートタイムで働くときのさまざまな壁<その4>~税金の壁 103万円の壁

執筆者 : 浦上登

専業主婦がパートタイムで働くときのさまざまな壁<その4>~税金の壁 103万円の壁
「その1」から「その3」までは、専業主婦のパートタイムでの年収にかかる社会保険の壁として、106万円・130万円の壁に関する説明と、その壁を超えた場合にどのくらい社会保険料を支払わなければならないか解説してきました。
 
「その4」からは税金の壁として、103万円・150万円の壁の内容について説明していきます。
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

税金の壁の意味

パートタイムで働く専業主婦の年収が税金の壁、例えば、103万円の壁を超えた場合、本人の収入から所得税、住民税などの税金を支払わなければなりません。その分、手取り収入が減少することになります。
 
税金の壁の意味はそれだけではなく、パートタイム主婦の扶養者となっている夫が税金の計算上、配偶者控除などの控除を受けられなくなり、その分の税負担が増加して夫の手取り収入も減少します。
 
すなわち税金の壁は、パートタイム主婦の手取りの減少と夫の手取りの減少について、両方の観点から見ていかなければなりません。これがまず初めに注意すべき点です。
 

公式サイトで申し込み

【PR】みずほ銀行カードローン

mizuho

おすすめポイント

・<金利年2.0%~14.0%
・ご利用限度額は10万円から最大800万円
・さらに入会金・年会費は無料!24時間、WEB申込受付中!

融資上限額 金利 審査時間
最大800万円 年2.0%~14.0%※1 最短当日
融資まで 来店 収入証明書
最短当日 - ※2
※1 住宅ローンのご利用で、本カードローンの金利を年0.5%引き下げます。引き下げ適用後の金利は年1.5%~13.5%です。 ※2 ご希望のご利用限度額が50万円以下の場合は不要です。 ※2 学生は20歳以上で安定収入がある方に限る

103万円の壁とは?


 
103万円の壁とは、パートタイム主婦の年収がその金額を超えると、それまで支払いの必要がなかった税金について、本人が支払わなくてはならなくなる境目のことをいいます。103万円の壁を所得税の計算上から見ると、次のようになります。
 

年収:103万円

 
給与所得控除(※1):△55万円
合計所得金額:48万円
基礎控除(※2):△48万円
課税所得金額:ゼロ

 
所得税は、収入から国が認めた必要経費や控除額(税金がかからない金額)を差し引いて課税所得金額を算出し、課税所得金額に対して税額の計算を行います。パートタイム主婦に対して認められる控除は次のとおりです。
 
(※1)給与所得控除
給与所得者に対して認められる控除。年収103万円の場合は55万円
 
(※2)基礎控除
合計所得2500万円以下の人に認められる控除。年収103万円の場合は48万円
 
すなわち、パートの年収が103万円以下であれば、控除額を差し引いた課税所得金額がゼロになるため、所得税はかかりません。一方、年収103万円を少しでも超えると、超えた部分に対して税金がかかることになります。
 
ここまでの説明は所得税(復興特別所得税については少額なので説明を省略)に関するものですが、個人の所得に対してかかるもう一つの税金、個人住民税(以下「住民税」)の場合は計算が少し異なります。
 

年収:100万円

 
給与所得控除(※1):△55万円
合計所得金額:45万円

 
住民税の場合、合計所得金額が45万円以下であれば非課税となります。合計所得金額が45万円を超えた場合、基礎控除を引いて課税所得金額を計算します。
 

年収:101万円

 
給与所得控除(※1):△55万円
合計所得金額:46万円 → 住民税課税
基礎控除(住民税の場合)(※3):△43万円
課税所得金額:3万円

 
所得税と異なり、基礎控除の金額が43万円(※3)なので、年収100万円を超えるとパートタイム主婦に対して住民税がかかることになります。それほど大きな違いではありませんが、違いがあることは覚えておく必要があります。
 
「103万円の壁」を正確にいうと、「103万円または100万円の壁」となることが分かります。
 
図表1
パートタイム主婦の年収が本人の税額に与える影響 (単位:万円)

パートタイム主婦の年収 100万円 103万円 105万6000円 130万円 150万円 175万円 201万円
本人の所得税
(復興特別所得税を除く)
0 0 1000円 1万4000円 2万4000円 3万6000円 4万9000円
本人の住民税(均等割・調整控除を除く) 0 5000円 8000円 3万2000円 5万2000円 7万7000円 10万3000円
本人の税金計 0 5000円 9000円 4万6000円 7万6000円 11万3000円 15万2000円

 
※筆者作成
 

まとめ

「その4」では、パートタイム主婦の年収が、その金額を超えると本人が税金を支払わなければならなくなる「103万円の壁」、または「100万円の壁」(通常の場合は両方を合わせて「103万円の壁」といいます)について説明しました。「その5」では、「150万円の壁」を説明したいと思います。
 

出典

厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック

 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー