2018.01.11 相続

弁護士から見た 有利な遺産相続のポイントとは?

Text : 村松 宏樹

クライアントの方から、「将来のことを考え、有利な相続対策をして欲しい」といったご相談を受けることがしばしばあります。

終活ブームともいえるこの高齢化社会の中で、相続対策は大きな関心事であることは言うまでもありません。

ですが、ここでいう相続対策とは何をすることを指すのでしょうか。


有利な相続とは?

納める税金を極力少なくすることも、立派な相続対策であることは否定しません。
 
しかし、弁護士から見た有利な相続というのは、やはり争いが起きない相続です。遺産分割をめぐる争いが生じてしまうと、解決に時間がかかります。その結果、本来相続人が受けられる税額軽減や、相続税の納税猶予・免除などが先送りになってしまうのです。争いが長引くだけ、相続人は損をする可能性があります。
 
有利な相続を実現するには、何よりも「遺産争い」を起こさず、相続人の間で円満に相続ができるための対策をすることが大事です。
 

昨今の遺産を巡る紛争の実情

今でも、遺産を巡って家庭裁判所に持ち込まれている事件は多く、相続開始から5年を経過しても解決に至らない事案もあります。
 

遺産を巡る争いが長期化する場合のデメリット

極端な例ですが遺産分割で相続人間の争いが長期化し、相続開始後10ヶ月間の申告期限を過ぎてしてしまうと、無申告加算税、延滞税が課せられることになります。また、申告期限内に相続税の申告を行ったとしても、相続人間での話し合いがついていない場合は、本来受けられる恩恵が受けられません。
 
ここでいう恩恵とは、本来相続人が受けることの出来る税務上の特例による恩恵のことです。具体的には、配偶者の税額軽減(配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した遺産については、1億6000万円と法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続税がかからないという制度)、小規模宅地等の相続税の課税価格計算の特例(相続又は遺贈により取得した一定の宅地等について、相続税の計算上、最大80%まで減額するという制度)、農地等に対する相続税の納税猶予及び免除の特例などです。
 
遺産分割協議が成立するまでの間、特例による恩恵を受けることが出来ずに金銭的に大きな負担を被ることがあります。
 

有利な相続は優しい相続

このように、相続人間の遺産争いが長引くのは金銭的に大きな痛手です。それだけでなく、それまで仲良く過ごしてきた家族が骨肉の争いを続け、顔を見るのも嫌という状況になるのは悲しいことです。親の法事や親戚の結婚式にも出席しないという事態に陥りますし、親族は皆ストレスが溜まる生活を送ることになるでしょう。
 
相続争いを繰り広げている当事者だけでなく、その子供達も、親の相続争いを目の当たりにして、将来同じような遺産争いを繰り返すことにもなりかねません。自分の子供達が醜い争いをして自分の法事も行って貰えないということを考えれば、相続にあたって絶対に争いを起こしてはいけないということは理解できるはずです。
 
円満に遺産分割を済ませることが出来れば、親の法事には子供や孫が一堂に会して「親の思い出話」に話をはずませるという幸せな時間を過ごすことも出来るのではないでしょうか。自分の子供達に限って…と皆思っていますが、人は置かれた状況によって心変わりしたり、魔がさしてしまうこともあるということを考えておく必要があります。
 

争いを起こさせないようにするには

それでは「遺産争いを生じさせない相続」はどの様にしたらよいのでしょうか。そのもっとも有効な対策の一つは、やはり遺言書を作成することです。遺言書は簡単に作成できますので、ぜひ試してみて下さい。なお、「遺言書は一度作成したら最後」というものではありません。簡単に書き換えることが出来ます。
 
遺言書を作成しても他界するまでに何年あるいは何十年も時間がありますので、その間家族関係や財産内容は大きく変化します。そこで、後に書き換えることを念頭に、とりあえず試しに遺言書を作成してみることはいかがでしょうか。
 
Text:村松宏樹  弁護士 第二東京弁護士会所属
早稲田大学法学部卒。銀行勤務を経て弁護士登録。
企業法務、相続、事業承継、成年後見、借地借家関係、民事介入暴力対策、家族問題等、様々な分野に精力的に取り組む傍ら、講演活動等も行っている。
司法書士資格を併せ持ち、不動産登記、商業登記にも造詣が深い。

村松 宏樹

Text:村松 宏樹(むらまつ ひろき)

弁護士 第二東京弁護士会所属

早稲田大学法学部卒。銀行勤務を経て弁護士登録。
企業法務、相続、事業承継、成年後見、借地借家関係、民事介入暴力対策、家族問題等、様々な分野に精力的に取り組む傍ら、講演活動等も行っている。
司法書士資格を併せ持ち、不動産登記、商業登記にも造詣が深い。

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