最終更新日:2019.01.11 公開日:2018.01.18
相続

遺産相続後に、5000万円の連帯保証人の契約書を発見!その時どうなる?

考えたくない問題ですが、多くの人が避けて通れないのが遺産相続の問題。また、体験した多くの人がその大変さを語ります。

遺産相続に関する3つの選択肢

相続するかしないかは、相続人の意思です。原則として全ての財産と債務を承継するのが「単純承認」。自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月間何も手続きをしなければ、自動的に単純承認とみなされます。
 
相続によって得た財産の限度で亡くなった方の債務等を弁済するという前提で相続の承認をするのが「限定承認」。自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。限定承認の場合、相続人全員で共同して行うことが必要です。
 
もう一つが、借金の方が明らかに多かった場合などに選択される「相続放棄」。こちらも、自己のために相続の開始があったことを知ったから3か月以内に家庭裁判所に申し出る必要があります。
 
相続発生後、3つの内どれを選択するのか、上記期間内によく考えてみてください。
 

遺産相続後に他人の借金の連帯保証契約書が見つかったら

ところで、負の財産の中には他人の借金を連帯保証する債務なども含まれます。他人の借金の連帯保証は、家族にだまって行う方が少なくないのではないかと思います。もし、遺産相続した後に、亡くなった方が他人の借金を連帯保証した契約書が見つかった、もしくはその借金の返済が滞り、連帯保証人のところに支払いの通知が届いた場合はどうなるのでしょうか?自分に起こったとして、想像すると怖いですね。
 
この件について、遺産相続に詳しい、東京桜橋法律事務所の山中大輔 弁護士にお聞きしました。
 

相続人であると知ってから3ヶ月経った後でも相続放棄が認められる場合も

相続放棄の申し出は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に行う必要がありますが、その申し出期間の起算点(開始時点)は必ずしも一義的に明らかなわけではありません。そのため、仮に、被相続人が死亡し、自分が相続人となったことを知った時から3か月を経過していても、上記の起算点の解釈とその認定により、相続放棄が有効と認められる場合があります。
 
例えば、自分が相続人となったことを知った時から3か月を経過していても、相続放棄しなかったのが「相当な理由」によって「相続財産が全く存在しないと信じたため」であり、かつ「相続財産の調査を期待することが著しく困難な事情があった」場合には、相続放棄を有効とした最高裁判所の判例があります。
 
さらに、最近では、上述した「相続財産が全く存在しないと信じた」場合に限らず、「自分が相続する財産がないと信じた」場合にまで拡大して、相続放棄を有効と認める裁判例が出てきています。相続発生から3か月を経過していても、あきらめることなく、相続放棄が有効と認められる可能性があるかについて法律の専門家に相談してみることをお薦めします。
 
なお、裁判所は、被相続人の生活歴や、相続人との交際状態などを加味して上記判断をしていますので、放棄の効力が争いになった時はこれらの要素を具体的に主張していくことが大切です。
 

借金の契約内容はきちんと確認

そのほか、連帯保証している借金の消滅時効が完成していないかについても確認しておくことをお薦めします。相手が貸金業者であり、最後の返済から5年を経過している場合などには、時効によって貸金債務とともに連帯保証債務も消滅している可能性が十分にあります。
 
そのような場合、貸金業者に債務を支払うと伝えることや、支払いの猶予を求めることは、時効の利益を失うことになりかねませんので禁物です。貸金業者に問い合わせをし、借入れ内容と返済の状況について充分に調査しましょう。
 
相続発生後に連帯保証債務等の負債が発覚したときの対応は上記に限るものではありませんので、すぐにあきらめることはせず、専門家に相談するなど、早めに対応することが肝心です。
 
TEXT:山中 大輔 (やまなか だいすけ)
弁護士
東京桜橋法律事務所所属http://tksb.jp/
相続・事業承継、人事労務、借地借家関係を中心に取り組みながら、子どもの権利擁護にも取り組む。

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FINANCIAL FIELD編集部

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

山中大輔

慶應義塾高校卒,慶應義塾大学法学部政治学科卒。2009年に弁護士登録し現在まで,相続・事業承継,人事労務及び借地借家関係を中心に,依頼者にとっての最善の解決を求めて日々奮闘中。協議による解決重視がモットー。
また,小中学校に出張し法教育やいじめに関する授業を行ったり,少年事件の付添人活動を行うなど,子どもの権利擁護にも真剣に取り組む。



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