2018.02.08 相続

「うちは大丈夫」がトラブルのもと?親が60代のうちにしておきたい相続の話

年末年始の帰省などのタイミングで実家に帰ったり、親と久しぶりに話をした人も多いのではないでしょうか。筆者のところに家計の相談に来る人は、多くが30~40代前半です。そのため親御さんも若いことが多いですが、それでも必ず「相続」について確認します。ほとんどの人が避けて通ることができないからです。

まだまだ「相続」について意識することがない年代の、今のうちからできることについて考えます。

相続は資産家にだけ発生することではない

まず、相続と相続税は違うということを認識しなければいけません。相続という言葉を出すと、決まって「うちはそんな資産はないから」という人が多いです。ですが、相続税がかからなくとも、財産や負債を残してお亡くなりになれば、それは誰かが引き継がなければなりません。相続が発生することと、相続税が発生することはまったく違うことなのです。
 
平成27年に相続税の基礎控除が引き下げられる改正がありました。それまでは相続人が2人いれば7000万円までの資産には相続税がかかりませんでした。それが平成27年の改正で、同じく相続人が2人でも4200万円から相続税が発生する可能性が出てきました。
 
退職金などの現金と、持ち家があればそれほどありえない数字ではありません。多くの人が「うちは普通だ」と感じるレベルですら、相続税の対象になる可能性があると知っておきましょう。
 

タブー視される、お金と死の話こそが相続

夫婦間ですら、お金の話をしたことがないという人も多くいます。ましてや、親とお金の話を気軽にできる人は本当にわずかです。さらに多くの日本人にとっては死の話は避ける傾向にあります。そのどちらも避けて通ることができないのが相続です。
 
自分の気持ちをはっきりと伝えず察してもらう文化は、相続などではトラブルのもとになる可能性もあるのです。この問題を相続が起こってからいきなり解決しようと思うのは無理があることです。だからこそ、時間をかけて相続とは関係ない話ができるうちから練習しておくことも、十分に相続への備えになります。
 
今の60歳代は、個人差はあるにせよ元気です。まだ「お年寄り」と感じないことも多いでしょう。死が近いものでないと漠然と感じているうちだからこそ話し合えることも多いのです。
 

自分のルーツを知る。それが相続の第一歩

相続を経験した人はご存知かもしれませんが、相続が発生すると相続人が誰かという判定が重要になります。実は離婚経験があった、実は養子に入っていた、実は後妻だった……。そんなことが相続で初めて明るみに出ることもあります。筆者も自分の祖父が亡くなったときに、実は彼には若いころに2カ月ほど祖母以外の人との婚姻の履歴があったことにずいぶん驚いたものです。
 
もちろん、人があえて隠したいものを暴くために行うものではありません。昔語りの一環で、親やその親はどこ出身なのか、どこに住んでいたのか、いつ頃結婚したのか、どの辺に住んでいたことがあるのか。こういう情報があるとないとでは、相続手続きを行うときのスムーズさが違うのです。
 
相続の手続き自体は専門家に任せることも多いですが、それでも知っているといないでは手続きのスムーズさは違ってきます。
 
親がまだ60歳代だとすると、親の親(祖父母)が健在ということも十分に考えられます。特別に問題がない限りは、人は自分のことに関心を持ってもらうのはうれしいもの。簡単な家系図などを作りながら、生い立ちなどを聞くのもいいかもしれません。
 

「暮らしぶり」は意識してみておきたいもの

親の「羽振り」「財布のひも」を改めて意識したことはありますか? 家を出るまでは当然その使い方が「自分の基準」になっていることが普通です。社会に出たり結婚したりすると、相手とのお金の使い方の違いに驚くこともありますね。親の世帯のお金の状況を把握するのは容易なことではありませんが、持っているものや買っているもの、お金の使い方についても少し意識してみるといいかもしれません。
 
もちろん収入や財産と見合わない使い方をしている人もいるので、たくさん使っている=資産があるということではありませんが、最近やけにお金を使っている。逆に、いきなり困っているような発言をし出したなどは、トラブルを早めに見つけるきっかけにもなります。普段近くで暮らしていないならなおさら、帰省などのタイミングで少し意識してみるといいでしょう。
 
「うちは大丈夫」ほとんどの人がそういいながら、実際に相続が起こったときには、なんとなく腑に落ちないまま「未消化」の気持ちを抱えてしまいます。その小さな引っ掛かりが次の相続のときのトラブルに発展することもあります。
相続で引き継ぐのはお金のことだけではありません。人間関係も相手への想いも引き継いでもらいたいのです。
 
遺す側も、受け取る側もそれぞれが納得できるように、「相続なんてまだ考えられない」今だからこそ、できることを知っておいてほしいと思います。
 
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

塚越 菜々子

Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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