2018.03.19 相続

相続してもお金は金庫へ。せっかく貰ったお金を心配で使えない2つの理由はこれ!

Text : 宮﨑 真紀子

相続で財産を受け取っても、資産を活かすことなく金庫に入ったままのケースは意外と多いもの。

シニア層から若年層にお金を移動させて、経済を活性化させたいという思惑はなかなか難しいようです。

その理由は2つあると考えます。身近な例で紐解いてみましょう。

相続財産は金庫に眠ったままのことが多い

平均寿命が延び、90歳でもお元気な人が増えました。父親が亡くなって相続となったとき、相続人となる息子が70歳代というケースは珍しくありません。
 
すでに現役を退き、年金を中心としたキャッシュフローで生活は落ち着いています。10万円のお小遣いをもらったのなら、家族旅行へ行こう……というように使ってしまうかもしれません。
 
それが相続で100万円、1000万円、さらには5000万円となると、やはりいったんは銀行に入金するのではないでしょうか。そのお金を当てにしなくても生活に困らないので、あえて出金することもなく、このお金は次の相続までお蔵入りとなるのです。
 
このようにシニア層から若年層にお金が移動しないのは、相続の発生年齢が上昇していることが1つの理由と考えられます。
 
Mさんは56歳で、数年前にご両親を次々と亡くされました。ひとりっ子で実家の不動産のほか、金融資産6000万円を相続しました。6000万円というとかなりの高額です。
 
ご主人は60歳で定年退職し、今年62歳になったので特別支給の老齢厚生年金を受給しています。子どもは2人で、どちらも独立しています。
 
Mさんは相続した財産を使って悠々自適に暮らせるはずですが、金融資産は相続時に銀行に預けたまま、手付かずの状態だそうです。現在はパート勤めをしていて、自身の預金もなるべく取り崩さないように努力しています。
 
6000万円は今後どうするの? 思わずたずねたところ、使いたくないとの返事。「両親が一生懸命に貯めたお金なので使えない」気持ちはわかります。「では、ずっと預けたまま?」の問いに「老後は、お金が掛かるでしょう。どれくらい必要かわからないし……」。
 
「何かやりたいことがあるの? 世界一周クルーズとか……」とたずねても、大きなイベントもなさそうです。
 
老後の資金について、根拠のない不安を抱いているように感じました。現役の間に資産を引き継いでも、老後が心配だから使えない……これも、お金を金庫に寝かせてしまう理由だと思います。
 

老後資金を試算してみることが大切

老後の生活資金は、年金を軸に考えるのが普通です。夫婦で合計いくらの年金が受給できるのかを、年金定期便で確認することから始めます。
 
収入金額(年金の合計額など)< 支出金額(生活費など)
 
一般的には支出金額が多くなりますので、マイナス分をこれまでの貯蓄から取り崩します。個人差が大きいのですが、差額の合計額は約3000万円という見積のもと「3000万円用意しないと老後破産する」などといわれているのです。
 
この話をMさんにしたところ、「3000万円!? 年金定期便を確認してみる」とのことでした。
 
自分の寿命は計り知れませんし、将来、思いがけない大病を患うかもしれません。ですが、老後資金を試算しておくことで、ある程度の安心は得られます。
 
“毎年どれ位ずつ取り崩すことになるのか”がわかれば、金庫に眠る資金を運用することで、元本を減らすことなく賄えるかもしれません。試算してみたかどうか、Mさんに確認したい気持ちです。
 
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

宮﨑 真紀子

Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい…。そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

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