更新日: 2019.01.10 相続

遺贈を受けた人物が遺贈を放棄した。遺贈の対象であった財産はどこへいく?

執筆者 : 柘植輝

被相続人(亡くなった人)が相続人以外に財産を譲り渡す方法の一つに「遺贈」という制度があります。
 
遺贈は被相続人が単独で行う行為であり、事前に受遺者(遺贈を受ける人)の意思確認までは必要とされていません。
 
そうなると、受遺者が遺贈を放棄するということも充分に考えられます。では、遺贈が放棄されたとき、その対象となっていた財産の行方はどうなるのでしょうか。
 
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Text:柘植輝(つげ ひかる)

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現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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受遺者の息子が受贈者の地位を主張してきた!

AさんとBさんは相続手続きのため、父の遺産の整理を進めていました。
 
そして、発見された遺言には次のような内容が記載されていました。
 
「畑はかつてお世話になったCさんに遺贈する。」しかし、Cさんは「畑をいただいても私には管理することができない。ありがたいお話だが今回はお断りさせてもらうよ」と、遺贈を放棄しました。
 
Cさんが遺贈を放棄したことで、AさんとBさんは遺言書の遺贈にあたる部分は効果がないものだと考え、遺贈の対象となっていた畑も含め、遺産分割の協議を進めてしまいました。
 
ところがある日、Cさんの息子と名乗る人物が訪ねてきてこう言ったのです。
 
「父(Cさん)が畑の遺贈を放棄したと聞きました。つきましては、父に代わり息子である私が受贈者として遺贈を受け入れたいと考えています」
 
それに対しAさんとBさんはこう反論しました。
 
「受遺者であるあなたのお父様は遺贈を放棄されています。その時点で遺贈は効果が失われているのでは?」
 
この場合どちらの言い分に正当性が認められるのでしょうか。
 

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遺贈は放棄されるとどうなるの?

さて、放棄された遺贈について法律はどう規定しているのでしょうか。
 
答えは民法995条にあります。
 
少し長い条文であるため、今回の事例に関係する部分をかっこ書きで強調してあるため、まずはその部分だけでも目を通してみてください。
 

民法995条

「遺贈が、」その効力を生じないとき、又は「放棄によってその効力を失ったときは、受遺者が受けるべきであったものは、相続人に帰属する。」「ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」
 
では、上記条文の「」で囲った部分を事例に即して読み替えてみます。
 
すると、今回の事例における結論は次のようになります。畑の遺贈は放棄によって効果を失っており、かつ、その場合について遺言で特に何も定められていないため、畑は相続人であるAさんとBさんへ帰属する。
 
つまり、遺贈の対象であった畑はAさんとBさんの相続する財産となるのです。
 

遺贈は遺言者のした大切な意思表示

次の場合において遺贈の対象となった財産は基本的に相続人に帰属します。
 
(1)何らかの理由によって遺贈が効果を生じないとき
(2)遺贈が放棄されたとき
 
ただし、上記に該当する場合でも、遺言によって何らかの意思表示がされているときはその意思表示に従うこととなります。
 
今回の事例においては特段の意思表示が存在しなかったため、相続人たるAさんとBさんのもとへ帰属することとなりました。もし、遺言に「Cさんが遺贈を放棄したときはその子に遺贈する」
 
といったような意思表示がされていれば、Cさんの息子が受贈者となっていました。遺贈は遺言者の行う大切な意思表示です。
 
遺贈について疑問に思うことがあれば、できるだけ早い段階で相続の専門家へ相談するようにしてください。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士