2019.04.15 相続

相続した空き家の売却に特別控除を受けられるってホント?

最近では、昔のように「親の家を継ぐ」という考えが希薄になってきています。二世帯住宅で暮らすケースもありますが、長男であっても多くが別の場所で自分の家を建てて暮らしているのが実情です。
 
そういった際に問題となるのが、両親が亡くなった後長年空き家状態であった家を相続するケースです。誰も住んでいない空き家を相続し、それを処分するには相続税以外にも多額の費用がかかります。そのため、現在では放置されたままの空き家が増えており、周辺の生活環境を脅かすなど社会問題となりつつあります。
 

相続した空き家を売却処分する場合に受けられる特別控除とは?

社会問題化している空き家対策として、2016年の税制改正時に創設されたのが、「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。
 
相続はしたものの、誰も住んでいない空き家とその敷地を、2016年4月1日以降に売却処分した際に生じる譲渡益について、3000万円まで所得税および住民税がかからなくなるという、特別控除の制度です。
 

この特例が適用されるための要件は?

この特例が適用されるための要件は、次のとおりです。
 
1 その空き家が被相続人の自宅であり、亡くなった日以降継続して空き家であること。
2 被相続人が1人で暮らしていた家屋であること。
3 区分所有登記がなされていない戸建て物件であること。
4 家屋が1981年5月31日以前に建築されたものであること。
5 その空き家が現行の耐震基準に適合するものであること。
6 空き家が耐震基準を満たしていない場合は、耐震リフォームを行うか更地にして譲渡すること。
7 売却価格が1億円以下であること。
8 亡くなった日から3年後の年末かつ2019年12月31日までに売却すること。
9 家屋自体が空き家であったことを、市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」によって証明すること。
 

特例を利用した場合の譲渡所得の計算は?

この特例を利用した場合の譲渡所得は、以下の式で算出されます。
 
譲渡所得=譲渡価額-取得費(※)-譲渡費用(取り壊し費用など)-3000万円
 
もし、長期譲渡所得として3000万円の控除が適用された場合、税率は所得税が15.315%、住民税が5%となりますので、600万円程度の減税特例を受けられることになるわけです。
 

この特例を利用する際の注意点

上に述べた、適用されるための要件を満たしたとしても、注意すべき点があります。例えば、以下のケースに該当する場合には、特例は適用されないか、適用されない可能性が高くなります。
 
1 老人ホーム等に入居し、亡くなる前から空き家になっていたケース
2 賃貸併用住宅となっており、賃貸部分に賃借人が住んでいる場合
3 区分所有の二世帯住宅になっているケース
4 譲渡相手が、「配偶者」「直系血族」「生計を共にする親族」であるケース。
5 譲渡相手が株主の会社であるケース
 
また、この特例は家屋が主体となります。したがって、家屋を長男が、土地を長男と次男が共有で相続し、譲渡した場合は、長男のみがこの特例を受けられることに注意が必要です。
 
相続したものの、住む意思はない。とはいえ、家族との思い出が残っている家を譲渡するのは決心がいるものです。しかし、そのままにしていても、維持管理費の問題が発生することにもなりますので、早めに家族で話し合って対策を立てておくことをおすすめします。
 
(※)取得費が不明の場合は、譲渡価額の5%で計算する。
出典:国税庁 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
 
執筆者:新井智美(あらい ともみ)
CFP(R)認定者
 
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新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者
一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー
住宅ローンアドバイザー
証券外務員

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