公開日: 2019.10.23 相続

再転相続ってなに?再転相続の問題点と概要について解説

執筆者 : 長崎元

皆さんは「再転相続」という言葉をご存じでしょうか?相続において、相続人が相続を承認するか放棄するかを選択しないまま亡くなり、次の相続が発生することをいいます。
 
 
長崎元

執筆者:

執筆者:長崎元(ながさき はじめ)

行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。

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「再転相続」とは

「再転相続」とは、具体的にどんな場合が該当するのか考えてみましょう。以下のような場合です。
 

 
(1)伯母が死亡。父が相続人となるが、相続を承認するか放棄するかを検討中に死亡。
(2)「私」が父の相続人となる。

 
この場合、「私」は伯母と父、両方の相続人になります。伯母の相続に関しては、父が行わなかった「相続を承認するか、それとも放棄するか」の選択を行うことができます。これは、父から“承認か放棄を選択する権利”を相続したからです。
 
伯母の相続分を放棄し、父の相続分を承認できます。逆に、伯母の相続分を承認し、父の相続分を放棄することはできません。これは、父の相続分を放棄することは、伯母の相続について“選択する権利”を放棄することと同じだからです。
 

 
上図のケース(3)は、父の相続を放棄しているため、伯母の相続について選択する権利がありません。よって、伯母の相続を承認することができないというケースです。
 
よって、再転相続とは、
『2つ以上の相続が立て続けに発生することで、後続の相続人に、相続を承認するか、放棄するかの“権利”が引き継がれる』
このような相続を指します。
 

再転相続の問題点

再転相続は、相続を承認するか放棄するかが未確定な場合には、それを“確定する権利”を相続できるという点で、非常に有用です。
 
いくら親せきといっても、借金があるのか、お金があるのかなどは、日本ではなかなかオープンに話をすることはありません。普段、付き合いのない親戚の相続を「承認」するか、それとも「放棄」するのかは、本当に難しい選択です。
 
相続で曖昧な部分があると、後々のトラブルにつながります。そうならないためにも、選択する権利を活用し、相続を承認するか、それとも放棄するかを確定させましょう。
 
実は、再転相続には問題点があります。それが「熟慮期間」 と呼ばれるものです。民法では、相続財産を放棄できる期限を「自分のために相続が始まったことを知った時から3カ月間」としています。この期間を熟慮期間と呼びます。相続を放棄する場合、この熟慮期間内に手続きを行うことになります。
 
それでは再転相続の場合、熟慮期間はどのようになるのでしょう?
 
判例では、再転相続の熟慮期間は「相続人が相続の承認または放棄をしないで死亡したときは、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する」とされています。
 
上の図に置き換えてみると、「私」が伯母の財産を放棄するには、父が亡くなったことを知った時から3ヶ月以内に行う必要がある、となります。
 
ここで問題となるのが、「そもそも再転相続人となっていることを知っているか?」 という点です。伯母の相続を放棄する手続きは、「私」が行う必要があります。そのためには当然、「私」が伯母の再転相続人となっているということを知っていなければなりません。
 
これを知らずに熟慮期間が過ぎてしまった場合、もし、伯母に多額の借金があったとしても、それを放棄できません。「私」が相続するしかないのです。
 
このように再転相続の場合、通常であれば相続放棄を選択するような場合でも、再転相続が発生していることを知らず、結果として相続してしまうというケースが問題となります。
 

最高裁の新たな判例

先述のとおり、再転相続には熟慮期間という問題点がありました。それについての新しい判断が、2019年8月9日、最高裁判所によって示されました。
 
最高裁判所は、
「再転相続で相続人になったことを知らないまま熟慮期間が始まるとすると、相続を認めるか放棄するかを選ぶ機会を保障する民法の規定の趣旨に反する」とし、熟慮期間は「再転相続人になったことを知った時点(通知が届いた日)を起算点にすべき」
と結論づけたのです。
 
熟慮期間を「再転相続人になったことを知った日から3カ月間」とすることで、これまで起こり得た「転相続人になったことを知らないまま期限が経過し、意図しない相続を行ってしまう」というケースが解消されます。
 

まとめ

単身者や子どものいない方も多くなっていますから、親族の債務や、再転相続を知らないがゆえに不要な債務を背負ってしまう場面は今後も増え続けるでしょう。
 
今回の最高裁判断により、相続放棄の解釈の可能性が広がることで、背負わなくてもよい負担を背負ってしまう人が少しでも減ることを期待したいと思います。
 
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表

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