更新日: 2020.09.15 その他相続

相続トラブルを防ぐためには? 遺言・相続に関する実態

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

相続トラブルを防ぐためには? 遺言・相続に関する実態
遺産分割にともなうトラブルは、思った以上に身近なもの。まだ自分には縁がないからと後回しにするのではなく、いざというときのためのシミュレーションや備えは大切です。
 
今年7月には、遺言書の紛失・改ざんを防いだり相続手続きの円滑化を進めたりする目的で「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が施行されたばかり(※1)。そこで今回は、遺言・相続に関する実態について見ていきましょう。
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相続関連で一般人が一番知りたいこととは

相続・終活相談の専門家である相続終活専門士は、日頃どのような相談を受けているのでしょうか。
 
一般社団法人相続終活専門協会が発表した「遺言・相続に関するアンケート」の調査内容(※2)を紐解いてみます。
 
【相続についてどのような相談内容が多いですか?】
1位:相続税がいくらかかるか 約50%
2位:相続の基本情報     約17%
3位:財産・遺産分割     約15%
4位:他の相続人との関係   約 5%
5位:遺言作成        約 4%
 
半分の人は、相続税がいくらかかるかという相談が多いと回答しています。
 
具体的には、「親が所有する土地・株を相続する時に相続税がいくらかかるか知りたい」といったものや、「自分の遺産を相続させる子がいない。夫の親族に渡したくない」といったややドロドロしたもの、さらには「問題を起こす親族への対応方法を考えたい」「他の相続人に相続の話を切り出せない」といったなかなか知り合いには相談しにくいものなど、さまざま。
 
お金が絡むものだからこそ、みなさんプロに相談するということなのでしょう。

相続終活専門士の10人中3人は相続トラブルの相談経験アリ

続いて、「相続トラブルがお客様に起きたことはありますか?」という質問については、30.6%の人が「ある」と回答しています。
 
10人中3人が相続トラブルの相談を受けているというのは、相続にあたりトラブルが起きることは少なくないという事実を反映しているかのようです。さて、具体的にどのような相続トラブルが多いのでしょうか。
 
【どんな相続トラブルがありましたか?】
1位:遺産分割     約80%
2位:相続手続き    約10%
3位:空き家処分    約 3%
3位:相続債務(借金) 約 3%
3位:追徴課税     約 3%
 
およそ8割の相続トラブルは、遺産分割であるということがわかります。
 
具体的には、「兄弟姉妹での相続財産の取り合い」「遺言書が無効。故人の意思を無視した相続になった」「被相続人の面倒を見ていない、同居していない親族が、法定相続分を欲しいと言ってきた」など、たとえ親族でもお金が絡むと大変なのだなと思い知らされるような内容が多い様子。
 
相続トラブルでぐったりするのを避けるために、早めに手を打っておきたいものですね。

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プロが教える! 相続トラブルを回避するコツ

では、相続トラブルを回避するためにどのようなコツがあるのでしょうか。
 
【相続トラブルを回避するには何が最も大切だと思いますか?】
1位:遺言を作成する       約52%
2位:相続税対策をする      約25%
3位:財産目録を作成する     約18%
4位:相続人を把握する      約 5%
5位:家族間のコミュニケーション 約 1%
 
半数以上の人が、遺言を作成すると回答しています。なにはなくとも、まずは有効な遺言が必要なのですね。プロの助言のもと遺言を作成し、相続税対策の相談もいっしょにするというのが、効果的と言えそうです。
 
ところで、実際に遺言を作成している人はどれくらいいるのでしょうか。
 
【遺言書作成した死亡者数の割合(平成30年度)】
・遺言書なし  90.6%
・公正証書遺言  8.1%
・自筆証書遺言  1.3%
 
厚労省のデータをもとに、一般社団法人相続終活専門協会が導き出した数値は上記のとおり。なんと9割の人は遺言を作成していないということがわかります。遺言を作成している人たちは、かなり希少ということになるのでしょうか。
 
また、トラブルになりがちな遺産分割の件数については、以下のとおり。
 
【全国の家庭裁判所で扱った遺産分割事件数】
・平成15年度:約 9000件
・平成20年度:約1万件
・平成25年度:約1万2500件
・平成30年度:約1万3000件
 
こちらは、一般社団法人相続終活専門協会が司法統計第44表からピックアップしたもの。遺産分割がトラブルに発展するケースは、この15年で40%ほど増えているということがわかります。
 
年々増え続ける相続トラブルを回避するためには、遺言作成が大切。先回しにせず、プロに相談して有効な遺言を作成しておくのが安心かもしれません。
 
[出典]
※1 法務省「法務局における遺言書の保管等に関する法律について」
※2 一般社団法人相続終活専門協会「遺言・相続に関するアンケート」(@Press ソーシャルワイヤー株式会社)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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