公開日: 2021.04.05 相続

昨今のお墓事情と墓じまい、どう変化している?

執筆者 : 高橋庸夫

最近、「たくぼ(宅墓)に注目が集まっている」との話題を目にしました。
 
従来のお墓の概念にとらわれず、自宅の室内などにも設置できる小型の「宅墓」のニーズが高まっているとのことです。現在のコロナ禍による影響も相まってか、故郷への墓参りにも自由に行くことができない状況が続いています。ここでは、昨今のお墓事情や「墓じまい」の費用などについて考えてみたいと思います。
 
高橋庸夫

執筆者:

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

高橋庸夫

執筆者:

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

墓じまいが増加する背景

従来のお墓とは、「〇〇家の墓」というように、家単位で代々子孫に受け継いでいくこととされてきました。そのため、毎年の故郷への帰省は、お墓参りのために帰るとの認識も一般的です。この先祖代々継承されてきたお墓を守るという概念は、そもそも明治時代の民法の家督制度(長男が家督の全てを継承する)に起因するところが大きいといわれています。
 
近年、少子高齢化、核家族化、都市部への移住が急速に進展するに伴い、お墓のある地方の過疎化、高齢化や親族が誰も住んでいない状況などが常態化してきています。
 
さらに、お墓そのものに対する概念や価値観も多様化しているのが事実でしょう。前述のとおり、先祖代々継承されてきた「〇〇家の墓」に入るという選択肢だけでなく、お墓にも自分らしさを求め、夫婦用や1人用などさまざまな形態のお墓があるようです。
 
その背景には、核家族化を前提として、自分が万が一の場合に次の世代の子や孫には煩わしい負担を掛けたくないとする傾向が強まっているのかもしれません。
 
このような状況の中、「墓じまい」の件数が年々増加していることは至極当然のことなのかもしれません。また、いわゆるお墓を継承する人がいないため、荒れ果てて放置されたままの「無縁墓」が増加していることも大きな社会問題となっています。
 

墓じまいの進め方

例えば、長男が故郷にあるお墓を、現在住んでいる自宅近くに移すような場合、先祖代々継承されたお墓を「墓じまい」します。
 
その際に最も重要なのは、親族などの関係者から話を聞いて、事前に同意を得た上で「墓じまい」を進めることです。親族の中には反対意見の方もいることが考えられるため、なぜ墓じまいするのか、墓じまいした後にどのようにするのかなどについて、丁寧に説明することで理解を求めておくことが重要でしょう。
 
また、長年の間お世話になった寺や霊園への説明も極めて重要です。地域によっても若干の違いはあると思いますが、多くの場合は墓じまいにより檀家を離れるための「離檀料」を支払うことになります。
 
離檀料の相場については、檀家としての年数やその関係性、地域性などによって異なるため一概にいえませんが、特に法的根拠はないため、可能な限り、こちらから相談してみる姿勢が必要でしょう。
 
その後、寺や霊園から埋葬証明書を発行してもらいます。これは次の遺骨の受け入れ先で必要となりますので、しっかりと保管しておきましょう。そして、遺骨を取り出す際の「閉眼供養」(魂抜き、お性根抜きなどの呼び方あり)などを行った上で、お墓の解体、撤去、更地にする工事を実施して、寺などに土地を返還します。
 

墓じまいの後の選択肢

遺骨の承継者が住んでいる自宅近くの寺や霊園などに新たに墓を建立することも選択肢の1つです。この場合には、墓の工事費用をはじめ、「開眼供養」などの支払いが必要です。
 
東京など都心部を中心に、納骨堂を利用するケースも増えています。電車で行けて、駅からも近く、室内なので天候にも左右されず、いつでもお墓参りができるのがメリットといえるでしょう。
 
そもそも墓地などの土地が少ない都市部に居住する者にとっては、1つのスタンダードな形態といえるのかもしれません。この場合には、施設ごとのサービスメニューのグレードにより料金が明確に定められており、ニーズに合った選択が可能です。
 
その他にも寺などに永代供養をお願いする場合や樹木葬、散骨などの選択肢もあります。そして、冒頭に記載した「宅墓」など遺骨を自宅で供養する形態も増えてきています。
 

まとめ

時代の変化に伴い、今後もお墓の事情は変わっていくことと思います。お墓だけでなく、各家庭に仏壇のある家も少なくなっていくのかもしれません。さらに、「墓じまい」から永代供養までを総合的に支援する業者などのニーズも年々高まっているようです。
 
ただし、形態は変われども、先祖を敬い、供養する気持ちが大切なことは変わることはないでしょう。また、くれぐれも「お墓」の件で親族の間でトラブルやもめ事などが起きることが無いように注意しましょう。きっと、ご先祖さまも見ています。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー