更新日: 2021.07.30 相続

相続で知っておきたい遺留分。遺留分を侵害している遺言書はどうなる?

執筆者 : 柘植輝

相続で知っておきたい遺留分。遺留分を侵害している遺言書はどうなる?
法律によって最低限保証された相続財産である遺留分と、相続分を取り決めた遺言書。どちらも相続人に対して法的効力を持つ定めとなるものですが、両者が矛盾し、遺留分を侵害する遺言書が見つかった場合、これらの力関係はどうなるのでしょうか。
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執筆者:

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

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現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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遺留分とは

遺留分とは、被相続人(亡くなった方)の兄弟姉妹以外の相続人に最低限認められた相続財産です。自分の相続分が遺留分未満となった場合、遺留分侵害額の請求をすることで、遺留分を侵害している人に遺留分相当分までの金額を請求することができるのです。
 
具体的には、直系尊属(父母や祖父母)のみが相続人の場合は相続財産全体の3分の1が、それ以外の場合は2分の1が全体の遺留分となります。相続人の組み合わせごとの遺留分の割合は以下のとおりです。

遺留分の割合
配偶者のみ 2分の1
子のみ 2分の1
両親のみ 3分の1
配偶者と子 4分の1ずつ
配偶者と両親 配偶者が3分の1、両親が6分の1

 
※e-Gov 法令検索 「民法」(第千四十二条)より筆者作成
 
上記表の子について、亡くなっている場合は孫、孫も亡くなっていればひ孫が代わりに遺留分を受け取ることができます。また、両親が亡くなっている場合は祖父母が遺留分を受け取れます。
 
該当者が複数人いる場合は、全員が平等となる割合で遺留分を受け取ります。例えば子が複数人いる場合、2分の1という遺留分を人数分で平等に取り分けます。そして、遺留分におのおのの法定相続分をかけて最終的な取り分を算出します。
 
例えば、2000万円の相続財産があるとして配偶者と子で分ける場合、配偶者の遺留分は「2000万円×2分の1(遺留分)×2分の1(法定相続分)」となり、配偶者も子もおのおの500万円ずつが最終的な遺留分ということになります。
 
なお、遺留分については相続財産だけでなく、被相続人が死亡日の前1年以内にした贈与も相続財産に加えて算定されるため、遺留分の確定には十分な調査が必要になります。
 

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遺言書とは

遺言書とは、被相続人の意思が記載された法的効力を持つ書面です。遺言書に相続分や相続財産の分配方法について記載があると、基本的に相続人はその内容どおりに遺産分割をする必要があります。
 

遺留分と遺言書、矛盾した場合はどちらが優先?

遺留分を侵害するような遺言書が見つかった場合、どうすればいいのでしょうか。多くの方が気になることでしょう。もし、遺留分侵害額の請求がされれば、請求を行った相続人には遺留分相当額が支払われることになります。
 
しかし遺言書は決して無効にはならず、有効なままです。遺留分侵害額の請求は、あくまでも遺留分を侵害する部分について金銭で支払わせるものであり、遺言書自体の有効性には影響を及ぼさないため、遺言書が有効なことには変わりないからです。
 
ただ、遺留分侵害額の請求がされなければ、遺留分が支払われることはありません。
 
例えばAさんとBさんが相続人で、Aさんに財産を全額相続させるという遺言書があった場合、Bさんは遺留分を主張することで自分の遺留分相当額の金銭の支払いをAさんに求めることができますが、遺言書は有効なままです。そして何より、遺留分を主張しなければ遺留分はもらえないということになります。
 
遺留分と遺言書で矛盾がある場合、遺留分侵害額の請求がされれば遺留分が優先、そうでない場合は遺言書が優先となるというイメージで覚えておいてください。
 

遺留分の請求方法は?

意外にも思われますが、遺留分を請求するための遺留分侵害額の請求権を行使する方法は法律で決まっていません。ただ、遺留分は遺留分権利者が相続の開始と遺留分が侵害されたことを知ったときから1年、または相続が開始されてから10年がたつと時効となってしまいます。
 
実務では、内容証明郵便に配達証明を付したもので遺留分侵害額の請求の意思表示がなされることが多いです。内容証明郵便は送った相手や内容、送付日などが明確になり、形式的にも厳格なものとなるため有効です。
 
なお、相手が請求に従わない場合は家庭裁判所に調停の手続きを申し立てることも可能です。
 

遺留分を侵害していても遺言自体は有効である

民法には遺留分という規定があり、兄弟姉妹以外の相続人には最低限の取り分が確保されています。しかし、遺留分を侵害する内容の遺言も無効ではなく有効であり、遺留分侵害額の請求をしなければ遺留分を取り戻すことはできません。
 
遺留分侵害額の請求によって遺留分を取り戻せるのは、相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知ったときから1年、ないし相続開始から10年を経過すると時効になるといった期間制限が設けられています。
 
遺留分を侵害する遺言書が見つかったときは、速やかに遺留分侵害額の請求の手続きを取るようにしてください。
 
出典
e-Gov 法令検索 民法
 
執筆者:柘植輝
行政書士