更新日: 2022.05.20 相続

配偶者のいる人の相続対策。配偶者には相続税がかからないから、全額相続させればいいって本当?(その2)

執筆者 : 浦上登

配偶者のいる人の相続対策。配偶者には相続税がかからないから、全額相続させればいいって本当?(その2)
前回「その1」では、一次相続で配偶者の税額軽減を使って相続をした場合の節税効果について説明しました。
 
一次相続では、配偶者の税額軽減をフルに活用した方が節税効果が高いという結論になりましたが、「その2」では、二次相続まで含めて考えた場合はどうなるのか説明したいと思います。
 
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
 
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
 
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
 
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。

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二次相続とは?

二次相続とは、一次相続で亡くなった親(父または母)以外の親が亡くなり、子だけが相続人になる場合の相続のことをいいます。
 
通常の場合、親の方が子より先に亡くなることが多いので、相続は一次相続・二次相続をセットで考える必要があり、どちらか一方だけで結論を出すべきではありません。
 

二次相続での相続税額の比較

ここでは前回「その1」で行った、一次相続で配偶者の税額軽減を活用した場合と、法定相続分どおり相続した場合の比較を基に、以下の前提条件で二次相続での相続税額を比較していきます(一次相続での前提条件や比較の結果については「その1」をご参照ください)。
 
一次相続で配偶者(妻)が夫から相続した財産:
【ケース1】1億6000万円
【ケース2】1億100万円
(注)上記財産は一次相続時点から目減りしていないものとします。
 
配偶者独自の財産:4000万円(ケース1、ケース2で同額)
相続人:子1人
 

ケース1:一次相続で配偶者の税額軽減をフルに活用した場合

配偶者が夫から相続した財産:1億6000万円
配偶者独自の財産:4000万円
二次相続の相続税課税価格の合計:2億円
基礎控除:△3600万円(3000万円+600万円×1人※法定相続人の数)
基礎控除後の相続税課税価格:1億6400万円
 
二次相続の相続税総額の計算
子の法定相続分:1億6400万円×1=1億6400万円
子の相続税額:1億6400万円×40%-1700万円=4860万円
相続税総額:4860万円
 
相続人の実際の相続税額
子の相続税額:4860万円×2億円/2億円=4860万円
 
ケース1 相続税額計:4860万円
 

ケース2:一次相続で法定相続分どおり相続した場合

配偶者が夫から相続した財産: 1億100万円
配偶者独自の財産:4000万円
二次相続の相続税課税価格の合計:1億4100万円
基礎控除:△3600万円(3000万円+600万円×1人※法定相続人の数)
基礎控除後の相続税課税価格:1億500万円
 
二次相続の相続税総額の計算
子の法定相続分: 1億500万円×1=1億500万円
子の相続税額:1億500万円×40%-1700万円=2500万円
相続税総額:2500万円
 
相続人の実際の相続税額
子の相続税額:2500万円×1億4100万円/1億4100万円=2500万円
 
ケース2 相続税額計:2500万円
 

一次相続と二次相続を合わせると?

一次相続と二次相続の相続税額を合わせて比較したものが、以下の表です。
 


※筆者作成
 
これを見ると、一次相続で配偶者の税額軽減をフルに活用した場合(ケース1)は、法定相続分どおり財産を分割した場合(ケース2)に比べ、1000万円弱ほど節税効果がありますが、二次相続では逆に相続税額が増えてしまい、一次相続・二次相続の合計で比較すると、ケース2よりも納税額が約1370万円増えてしまいます。
 
一次相続では、配偶者の税額軽減で課税価格が減りますが、二次相続では使えないため、ケース2に比べて課税価格が増え、相続税額も増えるということになります。
 

まとめ

一次相続で配偶者に大きな金額を相続させるのは、配偶者の老後を考えた上では意味のある方法です。ただし、二次相続まで考えた相続税対策としては、かえって効率が悪くなってしまいます。
 
二次相続はいずれ訪れるため、そのときに大きな負担を残さないように、一次相続と二次相続を合わせた総合的な判断が必要といえるでしょう。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
 

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