更新日: 2023.05.30 その他相続

おひとりさまが亡くなったら、財産はどうなるの?

執筆者 : 大竹麻佐子

おひとりさまが亡くなったら、財産はどうなるの?
未婚率の上昇や出生率が下がり続けていること、また、離婚や死別など理由はさまざまですが、「おひとりさま」人口は増え続けているのが現状です。日々の生活において不安はなくとも、唯一気になるのが、自分が亡くなったときのこと、後のことかもしれません。
 
「おひとりさま」が亡くなったら、財産は誰にどのように相続されるのでしょうか。今できることがあるのであれば、少しずつ準備を始めておきたいものです。

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大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP🄬認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

誰が相続する?

相続が発生した場合、亡くなられた方を「被相続人」、亡くなられた方の財産を引き継ぐ方を「相続人」と呼びます。民法では、配偶者以外の相続人となるべき人を血族相続人として、順位が定められています。
 
第1順位は子ですが、子がいない場合には第2順位が親などの直系尊属となり、いない場合には第3順位の兄弟姉妹となります。兄弟姉妹がすでに他界している場合には、その子が代襲して相続人となります。最近では1人っ子も多く、法定相続人がいないというケースも珍しくありません。
 

法定相続人がいない場合

両親はすでに他界、兄弟姉妹はいないといった方の相続が発生すると「相続人不存在」となります。家庭裁判所への申立てにより「相続財産清算人」が選任され、一定の手続きの後,相当と認められれば、被相続人と特別の縁故のあった者(特別縁故者)が相続財産を受け取ることができる場合もあります。
 
「特別縁故者」とは、内縁関係など被相続人と生計を同じくしていた人、被相続人の療養看護に努めた人、その他被相続人と特別の縁故があった人などを言います。
 
法定相続人がいない、借金などの債務もなく、特別縁故者からの請求もなければ、最終的に財産は、国庫(国)に帰属します。
 
ただし、財産が共有財産であった場合には、国庫には帰属せず、他の共有者に帰属することになります。
 

おいやめいなど法定相続人がいる場合

自分自身「おひとりさま」という認識であっても、実は、兄弟姉妹の子など法定相続人が存在するケースも見られます。最近では親族間の付き合いが希薄となり、連絡が途絶え、どこに住んでいるかも不明というケースもあるようです。このような場合には注意が必要です。なぜならば、法定相続人は法律で定められた正式な相続人であるためです。
 
相続が発生すると、相続人を確定するために、その方の出生から死亡までさかのぼって戸籍を確認する必要があります。思いがけず相続人となり、相続手続きに巻き込まれることや複数のおい・めいによる遺産分割協議がまとまらず「争族」へ発展するといったトラブルもあり得ます。こうしたトラブルを回避するためには、遺言書の作成が有効です。
 

遺言により、自分の意思を明確にしておく

その人の最期の意思表示となるのが「遺言」です。遺言書がある場合には、財産は遺言書に記載されている通りに引き継がれます。法定相続人がいる場合も、いない場合も、元気なうちに自分の財産を明確にしたうえで遺言書を作成しておくことをおすすめします。
 
遺言書には、形式により「公正証書遺言」「自筆証書遺言」などがあります。正しく作成していないと無効となってしまうこともあるため注意が必要です。
 
「公正証書遺言」であれば、費用はかかりますが、口述した内容を公証人が作成し、公証役場で保管されるため確実で安心でしょう。
 
「自筆証書遺言」は手軽に作成できるのがメリットであり、法務局の保管制度を利用すれば紛失のリスクを回避できます。「自筆証書遺言」の作成にあたっては、有効となる要件として、(1)全文を自筆で書く(2)日付(3)署名(4)押印が必要です。財産目録を添付する場合には、それぞれに署名および押印すれば自筆でなくても構いません。
 

遺贈寄附という選択

無用な相続トラブルを回避し、社会貢献ができる手段として、「遺贈寄附」は有効な選択肢と言えます。「遺贈」とは、遺言によって、特定の個人や団体に財産を遺すことです。自分の財産がどこでどのような使途に活用されるのか、自分の意思で決められることに大きな意味があります。
 
遺贈の寄附先として、さまざまな慈善団体、非営利団体がWEB上でも検索できますので確認してみることをおすすめします。これまで築いてきた大切な財産ですので、有効に活用されるためにも、信頼できる団体か慎重に判断しましょう。直接問い合わせや相談をしてみると、より詳細を知ることができます。
 

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今できることから、準備をしておきたい

遺言書を作成したら、遺言執行者を指定することをおすすめします。遺言執行者は、遺言書に記載されている内容を実現してくれる人です。友人など個人に依頼することもできますが、手間やトラブル対応に迷惑がかかる可能性もあるため、弁護士等の専門家に依頼しておくと安心です。
 
いずれにしても、おひとりさまである場合、相続については早めに準備をしておきたいものです。遺言書は書いておいた方がよいという認識はあるものの、気になりつつなかなか行動できないという声も多く聞かれます。体制を整えておくことで、心配ごとが減り、より充実した毎日を送ることができるでしょう。悩み、迷ったときには専門家への相談をおすすめします。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士